鬼も酔わす酒
白夜から貰った酒を飲むなゆた。
普段、酔わないなゆたが酔い、取った行動とは───
なゆたは白夜から貰った酒を既に半分飲み干していた。
「おいおいおい…これ相当、度数高いやつやで」
「いやでも待て…なゆたの様子が…」
なゆたの目は虚ろになっておりぼんやりとしている。
「なゆた?」
ヤマトが呼びかけると反応が少し遅れる。
「……ん?」
赤く染まる頬はボーッとコップを見つめる。
白夜は言葉を失う。
「酔った?」
「………酔ってないし」
拗ねるように頬を膨らませコップの酒を飲み干す。
「さすがに酔ってるなこれ。ほら、今日はお終い」
コップを取り上げようとすると、
「やだ、まだ足りない…」
「………」
ヤマトは固まり、スっとコップを戻す。
「おい!バカバカバカ!!さすがに悪ふざけがすぎたわ!辞めよう!」
白夜が急いで止める。
その瞬間、ふと目の前に綺麗な銀髪。ゼロ距離に近い。
キスされた…?いや…
「おいクソ犬…その手邪魔やねん」
「っぶねぇ…」
なゆたにキスされる直前。ヤマトはなゆたの口元を押さえる。
不機嫌そうにヤマトを見る。
「なゆた?ダメだろ。誰にでもキスしちゃ」
「でも…」
「でも?」
ヤマトの裾を強く引き顔を目の前に持ってこさせる。
「兄ちゃん、前にキスされてた。人のこと言えない」
「いや、それは不可抗力っていうか俺だって誰とでもキスしたくないよ」
「ふーん」
「じゃあ、兄ちゃんはボクにキスできる?」
「………へ…?」
「キスできるのか聞いてる」
「落ち着こうなゆた。そうだ、水。水を飲んで少しアルコールを飛ばそう?な?」
慌てて距離を置こうとすると胸ぐらを掴まれる。
一瞬だった。
なゆたの顔はヤマトの顔に覆いかぶさられ口を奪う。
そのまま地面に倒れ込んだ。
「…は?」
その場にいた全員が固まる。
「ヒ、ヒヒヒヒメ?!」
急いで引き剥がすと次はニコの口を奪う。
「…っ?!」
ヤマトは立ち上がることなくその場に寝っ転がったまま。
「おーい、クソ犬。今すぐ殺されるか起きるか選べ」
白夜の声にハッとする。
見ると次々にキスしていた。
「私、ヒメと結婚しようかしら…」
「それだけは勘弁してくれ…」
ヤマトは立ち上がりなゆたを抱きかかえる。そのまま椅子に座り後ろから抱きつくように座る。
「動けない…」
「動かなくていーの。ったく、兄ちゃんはそんな風に育てた覚えはないぞ?」
「…ニコが前に言ってた」
なゆたは俯く。
「キスは一緒にいるって意味だって…大切な人とする事だって…」
ヤマトの手に雫が落ちる。
「みんな、どこにも行かないで…ボクの傍にいて…」
ボロボロと涙を流すなゆたをヤマトは頭を撫でる。
「なゆたの傍にいるから何の心配もいらねぇよ。な?みんな」
「当たり前でしょ。ヒメが居なくなったら生きていけないもの」
「王に仕えるのが私の役目」
「ま、俺も仲間と言ってくれたし裏切りはせんよ」
それでも涙が止まらない。
「変だ…なんで泣いてるんだろ…」
「泣け泣け。泣いて溜まってるもんを全部吐き出しな」
撫でていた頭にヤマトは軽いキスを落とす。
なゆたは静かに泣き終わるのを待っていた。
「…あれ、これ寝たんとちゃう?」
「ほんとだ。俺ちょっと寝かせて来るわ」
気づけばなゆたは寝ている。
ヤマトは起きないようにそっとお姫様抱っこをし部屋に向かった。
「片付け任せていいか?」
「ごゆっくり〜」
ヤマトとなゆたの後ろ姿を見つめる。
「なゆたって酔ったらあんな感じなんやな」
「白夜」
「ん?」
「酔いは覚めたか?」
「さっきので一気に覚めたわ」
「そうか。なら俺はサクヤを運ぶ。ニコと片付けを頼んだ」
「ほいほい。ってことで片付けしよかニコちゃん」
初めて見るなゆたの酔った姿。
鬼も酔わすあの酒…白夜から入手先聞くか…
あんだけ飲んであの酒でやっと酔う…
前々から感じていたがなゆたは、あの大妖怪より恐れられている"酒呑童子"じゃないか…?
だとしたらなゆたの強さは筋が通る。
ベッドに下ろしなゆたの髪を優しく撫でる。
「おやすみ、なゆ──」
ギュッと袖を引かれる。
「…行かないで…独りに…しないで…」
目からまた涙。そっと近づきなゆたの隣で横になる。
「大丈夫、ここにいるよ」
ヤマトの胸に顔を埋め服を掴まれる。
「なゆた?俺、片付けの手伝いに…」
「ダメ…ボクのそばに居て」
布団を広げ、
来いと言わんばかりの顔。
「…わかったよ。じゃあ、今日は一緒に寝るか」
大人しく布団に入り、なゆたの背中をとんとんとあやす様に優しく叩く。
だんだん落ちていくなゆたの瞼は限界を迎える。
「おやすみ。俺の宝物」
ヤマトもウトウトとしそのまま眠ってしまう。
2人の寝顔は幸せそうに向かい合う。
ここまで見てくださりありがとうございます。
これですか??あぁ、自分の癖です。なんですか?なんかありました??癖です癖。なんですか??
自分もなゆたにキスされたい(願望)(血涙)




