表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
月下の半妖  作者: 霜月パラド
半妖の鬼と特務退魔課
PR
101/104

二日酔い

初めての二日酔い。気持ち悪さと吐き気に襲われるなゆた。

気を取り直して家に帰るとそこに居たのは───

なゆたは上半身を起こしボーッとしている。

隣を見ると気持ちよさそうに眠る兄。


「頭痛い…気持ち悪い…なんだこれ…」


途中から記憶がない。


もしかして酔った…?


首を傾げ考えているとモゾモゾ動くヤマト。


「ん"ー…なゆた…?」


「おはよう、兄ちゃん」


「おー、おはよ。体は大丈夫か?」


「頭痛い、気持ち悪い。記憶がない」


「ははっ、そりゃあ大変だ。昨日あんだけ酔ってりゃ二日酔いにもなるわな」


ゆっくり身体を起こし伸ばす。


味噌汁の匂い。


食欲は無いのにそそられる。


「昨日、ボクなにしてた?」


ヤマトはニヤッと笑う。


「そりゃあ随分とまぁ、可愛かったもんで」


「イジワル…」


「あっはは!ほら、立てるか?」


「ん、立てる」


2人は広間に行く。すでにニコとサクヤがいた。


「おはよう2人とも。よく眠れた?」


「酒のおかげと安眠枕があったおかげで」


「安眠枕?」


ニコはわけも分からないような顔をする。


「今日はシジミの味噌汁だ。二日酔いに効く」


「う"〜…」


なゆたは無気力に座り、二日酔いと戦う。


「なんでこれから敵と戦うのに二日酔いと戦う羽目に…お酒控えよう…」


珍しく弱音を吐くなゆたに3人は笑う。


「お前ら昨日あんだけ飲んだんにもう起きてはるんか…化け物やろ」


ダルそうにやってくる白夜。


「二日酔いか?」


「せや…久々に飲んだら二日酔いにもなるわ…なゆたは何してんのあれ」


「二日酔いと戦ってる。それより、あの酒…何処で手に入れたんだ?」


「あれはこの国に古くから伝わる酒や。前王が好んで飲んでた。なゆたも好きみたいやったしまたおもろい姿見れると思ったらタダで譲ったる」


「っしゃ。サンキュー白夜」


二日酔いに苦しむなゆたの元に行き、水を届ける。


今日は人間の国に帰る日。


境界の前で止まる。


「なゆた?」


「絶対…絶対誰も死なせない。誰も傷つけさせない」


拳を強く握り1歩大きく踏み出す。


境界の中は静かだった。


「なんか、前と違わない?」


「なゆたが作った境界だ。なゆたの感情の表れだろう」


「じゃあ、」


ニコはなゆたを寄せ頭を撫でる。


「今の感情は穏やかってことでいいのかしら?」


「二日酔いがまだ治らない…」


「この子まだ言ってるわ…」


光が見える。

久々の人間の世界。

境界を抜けるとなゆたたちは足を止めた。


「やぁ、なゆた」

「どこ行ってたんだい?」


「なん…で」


ヤマトは目を見開き動揺。

ニコとサクヤはまるで幽霊を見ているような顔。


なゆたはまっすぐ見ている。


「どうしたんだいなゆた。兄様が来たっていうのに」


「君から来たんだね…黄泉」


"兄様"


懐かしいはずなのに

その言葉は出てこなかった。


ヤマトは一言も喋らない。


「こっちにおいで、なゆた」


優しい笑顔で手を広げる。

だが、なゆたは動かない。


「どうしたの?素直じゃないね」


笑顔は徐々に無くなる。


「もしかして、そこにいる半妖たちの影響かな」


「はん…よう…?」


ヤマトが小さく呟く。


「黄泉様…生きていらして…」


「ねぇ、なゆた。君はここに居ると悪影響だ。やっぱり俺と一緒に行こうよ」


見えていない。

黄泉の目線はただ一人、

なゆただけだった。


「黄泉様!」


「…うるさいよ君。今はなゆたと話してる。邪魔しないで」


鋭い視線。

初めて向けられる目線にヤマトは1歩引く。


「なん、で…」


「知らないものは知らない。俺はなゆたを奪い返しに来た」


俺との記憶がない…?


「そんなはずは…俺は…ずっと…」


「君はなゆたのなに?側近?家族ごっこの1人?それとも、恋人?どっちにしろなゆたとは血の繋がりのない無関係な人だよね?」


「ふざけんな…!俺はあんたの命令で⎯⎯⎯」


「命令?」


椅子に座っていた黄泉はゆっくり近づく。


「そんな命令、君にしてないよ。誰なんだい君は」


「…っ」


言葉が詰まる。


ずっと会いたかった。


謝りたかった。


それなのに目の前にいる黄泉は別人のように見えた。


「さぁ、なゆた」


なゆたは黒い霧から刀を取り出し刃先を黄泉に向ける。


「これ以上、近づかないで。ボクの仲間を傷つけるのはたとえ君でも許さない」


表情が曇る。


「どうして…君は俺の妹だろう…?兄よりその半妖たちを優先するのかい…?」


目が動揺で動く。


「ボクの兄ちゃんは…ヤマトだから」


空気が冷たくなる。


「なゆ、た様…貴女の兄は黄泉様で…」


「黙れヤマト。ボクは記憶がない。この記憶がない中で兄だったのはヤマトだ。君は記憶が無くなる前の兄」


「記憶がない…そう言えばそんなこと言っていたね…どうして記憶がないのかはわからない。けど、俺を殺そうとしたのは」

「なゆたでしょ」


なゆたの妖気が膨大する。


「ボクは、特務退魔課を暴く。死者を蘇らせ何の目的があるのか…黄泉、君はボクらの人質になってもらう」


「人質…?いいよ。かかって来ななゆた。人生で初めての兄妹喧嘩だね!」


黄泉は腰にかけていた刀を取り出す。


「なゆた様…!ダメです!」


ヤマトが止める。だが、その手が振り払われる。


「君は…ボクの兄でしょ?だったら敬うのは辞めてよ」


黄泉は札で帳を落とした。


その瞬間、どちらかともなく黄泉となゆたは互いに向かって走り出す。

ここまで見てくださりありがとうございます。


平和だったのに急に平和じゃなくなる…この作品こういう気持ちのジェットコースターになっております。安全ベルトをし、急降下に気をつけてくださいね^^

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ