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月下の半妖  作者: 霜月パラド
半妖の鬼と特務退魔課
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なゆたという鬼

なゆたVSぬらりひょん


兄の名を知り、なゆたはぬらりひょんの思惑に気づく

「ほっほっほ、おぬし一人でワシに挑むのかえ?」


「ボク一人で全員相手してあげてもよかったけど…」

「それだと仲間が退屈しちゃうかなって思って」


距離はある。なゆたは目を逸らさない。


「舐められたもんじゃ。その大きな口からどんな敗北の声が聞こえるのか楽しみじゃわい」


ぬらりひょんは地面を静かに強く蹴り一気に距離を詰める。

なゆたは大鎌を取り出し、ただ立つ。


目の前、


切られる寸前、


なゆたが消える。


「ほぉ…?」


なゆたはぬらりひょんの背後に立つ。


「…まだ白夜の式神の方が早いかな」

「次はボクの番だね」


大鎌を短く持ち振り向きながら振る。


ぬらりひょんも軽々と避けるもなゆたは素早く追いかける。


「暴力は得意…父親とそっくりじゃ」


「父の顔も性格も知らない。ボクはボクなんだから比べないで」


刃と刃の弾く音。


「昔はすぐ人の後ろに隠れる小娘が…」


「昔でしょ。今は違う」


「記憶がないからかのぉ?失った記憶、教えてあげてもよいぞ」


「じゃあ…」


なゆたは止まりゆらりとぬらりひょんの顔を見る。


「兄の名前を教えて」


「兄?黄泉のことかえ?」


「黄泉…そうか…あの人は黄泉…」


「もう聞くことは無いか?」


「これで最後。なんで妖怪が人間の組織と組んでるの?」


その質問にぬらりひょんの表情から笑みが無くなる。


「…なに」


「知らないとでも思ったの?じいさんとボクの脳じゃ理解する速度も違うか…」


「おぬし…どこまで知ってる」


なゆたは大鎌を大事そうに抱え、笑う。


「さぁ?どこまでだろう?聞き出してみれば?」


「手足を切り落として聞き出すとするかの」


激しい衝突戦。

なゆたは無表情に攻撃を避ける。


「随分と余裕そうじゃの」


「退屈すぎる。大妖怪ってこんなもんなの?」


「ならば…」


ぬらりひょんの妖気が膨大する。

黒く飲まれる木々。

風もなく無音が響く。


「では参るぞぃ」


速度が上がる。なゆたは攻撃を見切り避ける。


「必死そうじゃ。そろそろ本気を出そうかの」


「本気じゃなかったの?よかった。ボクも本気じゃないんだ。おそろいだね」


「強がりも程々にしたほうが良いぞ小娘」


なゆたは大鎌をクルクルと回し消す。


「刀なら平等に」


大鎌は消え、次の瞬間、漆黒の刀。


「無駄に生きたその命はどれくらい重いのかな」


ぬらりひょんは消える。

なゆたは刀を握り集中する。

背後から伸びる刃。


だが、なゆたは振り向きもせず刀で受け止める。


「やるのぉ小娘」


また消える。


「鬱陶しいな…」


目を閉じ、息を吐く。

次の瞬間、黒い霧がジワジワと溢れる。

ぬらりひょんは影から顔を顰める。

森に響く声。


「また暴走するのか?」

「結局なにも変わっておらんではないか」

「忌み子は弱い。弱い時代を作り出したあの前王は死んで正解じゃ」


影から影へ。

ぬらりひょんは音もなく飛び回る。


「まだ完全じゃないか…」


そう言うと、なゆたは懐からお面を取り出し付ける。

次の瞬間、なゆたの妖気はゼロに等しいほど感じられなくなり


消えた。


ぬらりひょんの動きが止まる。


(妖気が消えた…逃げたか…?だがここは帳の中。逃げれるわけない…半妖とは言え妖怪…妖怪が完全に妖気を隠すのは不可能に等しい)


次の瞬間、視界が歪む。


「…へ?」


目の前にはお面を付けたなゆた。


(なぜこんなにも目線と地面が近いんじゃ…?何があった?なぜ身体が動かん)


目の前に見えるなゆたはゆっくり近づき触れられる。そして目線は同じ高さ。

ふと横を見ると倒れている自分の身体。


「な、ななな…」


「長年生きた命…思ったより軽いなぁ。あ、じいさんもう首と胴体離れて切られてるよ」


「なにをした小娘!!!」


「やっと表情崩れた」

「切っただけだよ。じいさんはボクに負けた。まだ生きてる間に教えてよ」

「なんで特務退魔課と手を組んだの」


「…答えるわけなかろう」


「…」


なゆたは無視するように空を見る。帳が消えていく。木に止まるカラスを見つけた瞬間、なゆたはまたぬらりひょんに目を合わせた。


「君の仲間、全員死んだって」


「な、んじゃと…」


その顔はまさに絶望。


「この化け物め…」

「まさ、か…」

「おぬし…"酒呑童子"の生まれ変わりか…っ?!」


「なにそれ、知らない。君たちの完全敗北。負けたから聞かせてよ。敗北の声」


「言うわけ…」


「言え」


鋭く今にも刺されそうな殺気。ぬらりひょんは初めて息が荒くなる。


「そ、そこに…黄泉がい──」


その瞬間、ぬらりひょんの顔と身体は爆発する。

爆発する直前に何かを感じたなゆたは顔を空高く投げる。


「やられた…情報を吐かせないつもりか…特務退魔課の連中め…」


一息つき、刀を消す。


「ボクの兄の名は黄泉…そいつは…」


特務退魔課にいる。


ぬらりひょんはそう言った。


お面取ろうと手をかけるもその手が止まる。


過去を知りまた暴走したら…


震える手でお面を取る。


暴走は、


なかった。


安心したように息を吐く。


遠くから聞こえる声。

振り返るとヤマト、そしてニコを担ぐサクヤ。

白夜とクロガネも来たがその顔は真剣に何かを考えていた。

ここまで見て下さりありがとうございます。


なゆたって煽り耐性本当に高いね。そんな子に育てた覚えはありません

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