カラスは高く飛ぶ
サクヤVS鵺の戦いが始まる。
多くの動物を扱う鵺に対してサクヤはどう戦うのか───
先程まで昼過ぎの空だったのに、今は夜。
これはただの夜ではない。
帳が落ちた。
「驚いて動きもせんか小僧」
「帳を落とすとはな…驚いてはない。貴様をどうやって殺すか考えてただけだ」
サクヤは静かに相手を見る。
「考えんでも良い。どうせ死ぬのはお前じゃからな」
「昔から思ってたが気持ち悪い妖怪だ。外面も内面も。ニコが見れば発狂するだろう」
鵺。猿の顔に虎の手足。胴体は狸のようで尾には蛇。
「失礼な小僧じゃ…夜は妖怪が支配する時間。ワシが支配する時間でもある。日中に活動するカラスのお前は今からワシに食われて死ぬ」
月明かりが濃く滲み、
森全体が鵺の妖気に染まっていく。
「俺は半妖だから昼も夜も関係ない。百鬼夜は夜に活動する」
「夜の戦闘の方がやる気が出るんだ」
槍を取り出し羽を広げる。
「いつでも来い」
「くくくっ、そのぶっきらぼうな面、いつ崩れるかな」
鵺は走り出し大きな爪を振り上げる。
サクヤは軽々と避けるも攻撃はしない。
目線は蛇。
それに気づいた鵺が目を細め笑う。
「気づきよったか」
「その蛇には毒がある。俺は最初にそれを潰すつもりで行く」
「相手に戦略を言うなんておかしなやつじゃ。それなら守るだけよ」
蛇はサクヤ一直線に向かって口を開ける。
槍を突き刺そうとすると、霧が舞う。
「…っ」
瞬時に軌道を変え距離を取る。
「もしかして噛まれて毒を受けると思っておったのか?滑稽じゃ」
「いや、いい」
サクヤは笑う。
まるでバカにするように。
「そんだけ色々な動物の格好を持っているのにカラスのことは知らないんだな。そうか、俺と違って羽は持っていないもんな」
鵺から笑みは消え、代わりに血管が浮き出る。
「さっきからさっきからさっきからさっきから…!!!!」
「ワシのことをバカにしよって…ワシは人間どもから恐れられた大妖怪じゃぞ!!死に急げ小童!!!」
大きな虎の爪、蛇。同時に襲いかかる。だが、サクヤは構えることなく、ただ立ち尽くす。
「借りるぞ」
「ニコ」
"壊さないでよね"
そうニコの声が聞こえた気がする。
次の瞬間、虎の爪は弾かれ蛇は切られる。
「なん、じゃと…っ?!」
サクヤの両手には大きな爪の武器。
「貴様のその爪、羨ましくてな…どちらが上か勝負しようじゃないか」
鵺によって支配された月はサクヤを照らす。
「貴様…っ!貴様だけは許さん!!必ず苦しませながら殺させてやる!!!!」
サクヤは羽を使って高く飛ぶ。そして、羽を小さく畳み風のように相手に向かう。
そして何度も爪で相手を斬る。
鵺の頬から血が舞う。
痛みが遅れてやってくる。
だが、相手が早すぎて見えない。
「厄介じゃ…!」
蛇はすかさずサクヤの腕に噛み付いた。だが、離すことなくもうひとつの手で蛇を掴み引っこ抜く。
大量の血しぶき。
「貴様…っ、よくも…!!」
「もう終わりだ」
───縛れ
鵺の身体に紫の糸。
「な、なんじゃこれは…っ!」
「カラスはな、雑食でなんでも食べるんだ。お前のその毒、食わせてもらったぞ。そしてその毒を糸に宿している」
糸から垂れる紫の液。
ジワジワと糸の方から身体が溶けていく。
「半妖の…忌み子のくせに…っ!ワシが死んでもあの猫の半妖はどうじゃ…っ?土蜘蛛には敵わんじゃろ…!今頃死んでるかもなぁ…っ!!」
その瞬間、サクヤは鵺の顔に爪を突き刺す。
「黙って死ねよ」
ただそれだけ言い鵺は溶けて消える。
「ニコのところに…っく…」
毒は完全に抜けきれていない。
帳が消え、サクヤは膝を着く。
「少し、休むか…ニコは…なゆたたちは大丈夫だろうし…」
カァ⎯⎯
空を飛んでいたカラスが1羽、
溶けて消えた鵺の跡を見下ろしていた。
ここまで見てくださりありがとうございます。
まさかの武器交換とかカッコイイですよね




