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月下の半妖  作者: 霜月パラド
半妖の鬼と特務退魔課
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捨てた異名

ヤマトVS大天狗


ヤマトが捨てた異名とは────

剣と剣がぶつかる。

大剣と大剣。大天狗は攻撃をするもヤマトは全て止める。


「貴様のその腕…名はなんという」


「…ヤマトだ」


「あの小娘の側近と言っていたな。それにヤマトと言う名前…もしや、"赤夜叉"と呼ばれていたあの犬神の半妖か」


ヤマトの耳がピクっと動く。


「周りが勝手に言ってただけだろ」


「恐れられていたあの赤夜叉が王家の側近…笑わせる。随分と丸くなったものだな」


「……」


ヤマトは顔を険しくし息を吐く。


「ちっ、めんどくせぇ…てめぇがその名前で呼ぶなら俺は今だけ側近という立場を捨ててやるよ」


ヤマトの妖気が揺れ膨大する。


「王の犬じゃなく、」

「ただの赤夜叉として相手してやる」


目付きが変わる。鋭くただ相手を見る。

その膨大な妖気に大天狗は握る剣に力を入れる。


「ただの半妖がここまで大きな妖気を持っているとは…」


だが、ヤマトは何も答えない。

身体をユラっとさせ強く踏み込む。


交わる刃。


先程より強い力…これが赤夜叉


「だが、」


弾き返し大きく振るう。

それでもヤマトは無駄に動かず最小限で避け、相手の剣を自分の剣で抑え込む。


「まだだ…まだ足りない…」


ボソッと小さく呟く。

赤い目はさらに赤く燃え、まるで


"ただ殺す"


そう感じ取る殺気。


「そう来なければ困るぞ。赤夜叉」


ヤマトは大剣を横から投げる。

咄嗟に避けた相手の目は見開き、流石に驚きを隠せていない。


「剣を捨てるとは随分と大胆な…っなに?!」


右手を強く握り思い切り殴られる。

すぐさま剣を振り距離を取ろうとしたがまた詰められる。


「こいつ…どれだけ…っ!」


ただ一言も喋らない。相手から目線を外さず、


ただ相手を見る。


「答えろ…!ただの野良犬だった貴様はなぜ故そこまで戦う」


そこでやっと動きが止まる。


「守りたいもんができただけだ」

「なゆたは兄を失い、そして記憶も失い暗闇を彷徨っていた。そこでなゆたは俺という兄の依代を見つけやっと前に進んだ」

「妹の背中を押さずにいてなにが兄だ」


「兄…?貴様は奴隷も当然の庶民。王家の小娘とは立場もなにもかも違うだろ」

「それにあの小娘には黄泉がいたはずだ」


「そうだ、違う。けど、なゆたが俺のことを兄ちゃんと呼ぶ限りは俺はなゆたの兄貴だ。妹の邪魔をするやつは全員殺す。二度と生まれ変われないように殺すだけだ」


ヤマトは白い霧から大剣を取り出す。それと同時に飛ばした剣も円を描いて戻ってきたのを受け取る。


「ここからは楽しい楽しいお遊びだ。新しく身につけた技を披露するからサンドバッグになってくれよ、おっさん」


大きな剣が2つ。それをいとも簡単に振り回し相手を押す。


「流石…っ、犬夜叉と呼ばれただけある半妖だ…!」


「ほら避けろ避けろ!避けねぇと死んじまうぞ」


「ぐっ…」


大天狗は高く飛び空に逃げた。


だが、


ヤマトは深く膝を曲げ、高く


"飛んだ"


「な…っ?!」


「空なら安全だと思ったか?」


2つの大剣を揃え地面に叩きつける。


「ぐぁ…っ!」


「んだよ…古の最恐大妖怪って聞いたから強いと思ったが、所詮こんなもんか。半妖半妖とバカにしてた割にてめぇの方が弱いんじゃないのか?」


「くくっ…」


相手は笑いながら立ち上がる。


「図に乗るなよ小僧。お遊びはここまでだ。これからは本気で殺しに行く」


右手の大剣を前に突き出し、ヤマトは歯を見せ笑う。


「そう来なくっちゃ」


どちらからとも無く消え、気づけば刃と刃が交わる。

着地で地面が割れる。


「記憶がない王を守ってどうする。またこの国を滅ぼす気か」


「なゆたの話しは今はいらねぇよ。目の前のことに集中しようぜおっさん」


木々は次々倒れていく。だが、ヤマトは休む間もなく剣を振るう。


「この化け物が…っ」


「化け物?あっははは!!言われ慣れてるよそんな言葉!褒め言葉に聞こえる!!」


ヤマトの重い一撃が相手に入る。

膝をつき肩で息をする。


「なんだもう終わりか…4割程度って感じってとこか…」


ヤマトはゆっくり近づき剣をあげる。


「まて…侮辱したことは謝る…なぜ我々が…ぐぁ…っ!!!!」


相手の悲鳴が響く。

ヤマトは先程笑っていたとは思えないほど

冷酷に、

無表情に、

相手の羽を片方切り落とす。


「これで飛べなくなっちまったな。どうする?不格好だしもう1つ切るか」


そして残った羽を切り落とす。


「あ"ぁぁっ!!!」


"半妖のくせに"


"あんたなんか産まなきゃよかった"


「痛いか?痛いよなぁ」


ヤマトは屈み、相手と目線を合わせる。

その目は赤いのに、凍えるほど冷たく見下ろしていた。


「けど、なゆたの方がもっと苦しくてもっと痛かったと思うぞ」


立ち上がり、首に剣を当てる。


「時代は変わってんだよおっさん。じゃあな」


一気に剣を引き、首を落とす。

その首を足で蹴り、息を吐く。


「昔のことなんかとっくに捨てたと思ってたんだけどな…」


剣を消しゆっくり歩く。


妹の元へ。

ここまで見てくださりありがとうございます。


赤夜叉…厨二病心を擽る名前ですね…

普段うるせぇ男が静かに首を落とすって怖すぎんか…?

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