世界を嫌う理由を辞めた
ヤマトとの戦いが終わり、和解する双子。
そこで初めて、国の姫を目にする
「同じ環境ってどんな環境にいたの?」
「そうだな…俺は村から嫌われてたから食べるもんもなけりゃあ、親からも嫌われていた。盗んだり喧嘩の毎日」
「で、今の王に拾われて今の俺が完成!ってわけ」
ヤマトと話すと印象が変わった。
ただ偉そうにしてるだけかと思えば普通の少年。
「お前らは?」
「俺たちは半妖だからと虐められ母と父を殺された。妖怪にだ。半妖ってだけで」
サクヤは自分たちが半妖ということは隠さなかった。
驚いたヤマトは目を開く。
「お前らも半妖なの?」
「"も"?」
「俺も半妖だからさ!半妖同士仲良くしようぜ!」
嬉しそうに笑う。
「半妖と言えば…」
ヤマトが言いかけた時、遠くから声が聞こえる。
「ヤマ⎯⎯」
前を見ると銀髪の少女がいた。不思議そうに見ている。
それは国王の娘、なゆたがいた。
「姫様!」
ヤマトはすぐ駆け寄りなゆたに目線を合わせるように膝を着く。
「……?だれ?」
「こんなところでどうされたんですか?」
「えっと、その……」
姫、なゆたは恥ずかしそうに視線を泳がせる。
ヤマトの後ろにいるニコとサクヤを見ていた。
「こちらは新しく入った新兵ですよ。ご挨拶できますか?」
先程のうるさい感じはなくなり優しく静かに問いかける。なゆたは小さく頷くと、ヤマトの後ろに隠れ、その裾をぎゅっと掴んだ。
ニコはその姿が可愛くて目線を合わせる。
「初めまして。貴方が姫様?こんな可愛らしいのね」
「えっと、は、初めまして……なゆたです……」
隣にいるサクヤを見て肩を震わせ怖がる。
「あんたの顔、怖いって言ってるわよ」
「うるさい。言ってないだろ」
ニコは揶揄うように笑う。サクヤはため息をつき、その場に屈む。
なゆたと目線を合わせ、ふっと笑った。
「サクヤです。よろしくお願いいたします。姫様」
「よろしく……」
言い終わると、またヤマトの後ろへ隠れる。
サクヤはまるで昔の自分を見ているみたいだった。
「んー!かっわいい!」
その瞬間、声がする。
「なゆたの恥ずかしがり屋もまだ直らないみたいだね」
「よ、黄泉様!」
二人はすぐに膝をつき頭を下げた。
そこにはなゆたの兄、黄泉がニコニコと立っている。
「でもちゃんと挨拶できて偉いね」
「そうそう、俺は二人の――」
「ヤマト」
低い声。
副将がヤマトを呼んだ。そのままニコとサクヤに命令を出し、王の所へ向かう。
「2人は兄妹なのかい?」
「え?」
ニコが思わず振り向き黄泉を見る。
「顔つきが似てたから…違ったらごめんね」
「いえ、合っています。俺たちは双子でニコは俺の姉に当たります」
「ニコの方がお姉ちゃん?」
なゆたが興味津々に聞く。
「そうですよ。姫様」
「ヤマトはどうだったかい?」
黄泉は遠くなるヤマトを見つめ問う。
「…正直、手も足も出ませんでした」
「圧倒的な力と身体能力…同じ半妖とは思えないほどの強さでした」
2人は口を揃えて正直に話す。
「2人もヤマトに負けたの?」
「はい。次は絶対勝ちますけど」
「ボクと同じこと言ってる!」
楽しそうに笑うなゆたを見て3人は微笑む。
「ニコ、サクヤ。君たちは普通だよ。なにも変わりはない。だから自信を持ってほしい」
その言葉がどこか穴の空いた心に響く。
初めての言葉。
初めて普通だと言われた。
2人は心から目を細め笑った。
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