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月下の半妖  作者: 霜月パラド
半妖の鬼と特務退魔課
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ネコとカラス

幸せな時間に不幸が積もる。幼い双子は────

「お母さん…大丈夫…?」


母は布団に入ることが多くなった。


「大丈夫よ、ニコ。それよりサクヤがお野菜取ってきてくれてるから様子を見に行ってくれる?」


「うん…」


母の様態は日に日に悪くなる。


父は妖怪と結婚したことにより妖怪に殺された。母も人間と結婚したことにより妖怪から距離を置かれている。


「サクヤー?」


畑にサクヤの姿が見えない。

少し歩くと、子供の声。歩く足は段々、早くなり気づけば走っていた。


「サクヤ!」


屈みこみ小さくなるサクヤ。その周りには前の子供。


「なにやってんのよ!あんたたちも懲りないわね!」


「ニコが来た!」


サクヤの前に立ち手を広げる。崖の上。1歩でも間違えれば川に落ちそうな距離。

だが、ニコは気にせず声を出す。


「うちの弟を虐めないでちょうだい!」


「半妖のくせに生意気なんだよお前!」


「なんですって…!」


その瞬間、


トンッ


肩を押される感覚。


「…え?」


崖から落ち、川に一直線。


「ニコ…?!ニコ!!」


子供にしては深く流れの早い川。

溺れるニコはどんどん流されていく。


「ざまぁみろ!」

「半妖のくせに逆らうからこうなるんだ!」


「ニコ!!!」


サクヤは考えるより先に川へ飛び込む。

ニコを抱え飛んだ。

今まで飛べなかった。

飛んで落ちるのが怖かったから。

けど、そんなことより、


ニコを失うのが1番怖い。


「はぁ…っ、はぁっ…!」


「に、ニコ…」


「サクヤァ…」


いつも気が強くしっかりしていたニコは弱々しく涙を流す。

その瞬間、サクヤの中で何かが湧き上がる。


「おい!生きてるぞ!」

「しぶといやつめ…!」


サクヤは羽を大きく広げ相手を威嚇する。


「よくも…よくも僕の姉ちゃんを泣かせたな…っ!」


走り相手を殴る。


「許さない…!お前らだけは絶対許さない…!!!」


ニコが止めるまでサクヤは殴るのを辞めなかった。

相手がどんなに謝ろうが泣こうが関係なしに初めて人を殴った。


「ニコ…っ、ニコぉ…!」


「いつまで泣いてるのよ。お野菜も取れたし、私も無事。サクヤが殴ってくれた時はすごくスッキリした。ありがとう」


「もっと強くなる…強くなってニコも母さんも守れるようになりたい…」


「私も、もう舐められないように強くなりたい…」


2人は笑い合い、家に帰る。

向かう途中、人が慌てていた。


「火事だ!」

「誰かが火をつけやがった!」


2人は眉を顰め家に帰る。

家に帰っているはずなのに、煙も火も大きくなる。


「嘘…嘘よ…」


家が燃えていた。


「母さん…!母さん!」


「お前ら危ねぇぞ!」


「お母さんは?!」


誰が?

誰がこんなことを?


サクヤは周りを見渡すと隠れている子供。

先程の子供だった。

ニコは泣き崩れ、サクヤはただ呆然と見ていた。


中から焼けた猫の妖怪の跡。

崩れた家。


「サクヤ…なんで私たちばっかこんな目にあうんだろうね…」


ニコの目から涙はまだ止まらない。

サクヤはフツフツと湧き上がる感情を殺し、ニコから離れる。


「サクヤ…?!」


ニコの声は届かずそのまま歩き出す。


「ちょっとしたイタズラだったんだって…!」

「辞めろよサクヤ…!」


1人は血を流し倒れもう2人の子供は怯えていた。


「イタズラ…?イタズラで人の家族を殺していいのか?人を殺すことがイタズラなのか?だったら俺がお前らを殺してもイタズラで済まされるんだな」


槍。


誰かに教わったわけでもなく、気づけば自然と出ていた。

その槍で、サクヤは



3人の子供を殺した。



「妖怪も人間も全部…全部全部全部嫌いだ!俺から大切なものばかり奪っていく!!」


ニコは…ニコだけは殺させない。そのためであれば…


「サクヤ!」


気づけば目の前にニコ。


「殺したの…?」


「……」


ただ黙る。


「そ、っか…」


優しく、だけど強く抱きしめる。


「ねぇ、私はもうこの世界が嫌い。妖怪も人間も全部無くなってしまえばいい…だから、」

「2人で軍に入ってそれから、頂点に立って世界を変えたい。絶対に2人で」


「…うん、俺は…ニコさえ生きていればそれでいい。そのためなら」


悪でも何ににでもなるよ。ニコ

ここまで見てくださりありがとうございます。


早めの投稿になります

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