色んな感情
珍しく朝早く起きるといたのは白夜。静かな時間に起きて来たニコが白夜に渡したのは。
そして、ヤマトの部屋に置いてあった写真を見て───
朝は嫌い。太陽が眩しいから。
でも、晴れた空好き。
だけど今日は雨。
味噌汁の匂いはしない。
代わりに
焼けたパンの匂い。
下に降りると白夜がいた。
「おはよぉさんなゆた」
「おはよう。あれ、みんなは?」
「サクヤくんはキッチン。他はまだ寝てると思うわ。こっち来て少し話さんか?」
なゆたは素直に白夜の隣に座る。
「…」
ほんの少しの静かな空間。
「なゆたはヤマトのこと好きなんか?」
「好き…?んー、好き。頼りになるしそばに居てくれるし、自慢の兄ちゃんだよ」
その顔はただ兄として見ている顔。
「そうかいな…世間で兄のこと大好きなことなんて言うか知っとるか?」
「知らない」
「ブラコンって言うんやと。で、妹のこと大好きなんはシスコン。あんたら2人にお似合いの言葉や」
「白夜は物知りだね」
「そりゃあ、色んなもん見てきとっから」
その言葉になにかが刺さる。それを感じた白夜がふと笑う。
「なゆたはこれから色んなもんを見ればええよ」
「うん、そうする」
キッチンからサクヤが現れる。
「おはよう、なゆた。パン焼いたが食べるか?他はまだ来ないから先に食べてしまおう」
「そうする」
「狐、タオル持って外にいる副将を連れてこい」
「ほいほい」
外に出ようとするとニコが降りてくる。
「おはよぉ、あれ?ヒメ今日は早いのね」
「みんなが遅いだけだよ」
白夜は止まる。
しっぽはどこか焦るように揺れていた。
「あら、狐もいたのね」
「やぁ、ニコちゃん」
いつもの笑顔。だが、顔が見れない。
「…」
ニコは近づき、笑う。
「これ」
「え?」
渡されたのは軍服。
「仲間になった証よ。もしかして、昨日のこと意識してるの?残念♡そう思わせたんならごめんなさいねぇ」
「はぁ?!?そんなんちゃうわ!紛らわしいねん!このアホ!でもまぁ、素直に受け取っとくわ!!」
大事そうに抱え、白夜はクロガネを呼びに外に出る。
「あっはは!あの狐、ほんと弄りがいあるわ!」
「遊ぶのも程々にしろよ…ヤマトは?」
「珍しくまだ寝てるわ」
「ニコが遅くに起きるの、珍し…ん?」
よく見るとニコの目の下にクマ。
「ちょっと楽しくなっちゃって」
笑うニコに、サクヤはため息を吐く。
「なゆた、ヤマト起こしてこい」
「わかった」
階段を上がりヤマトの部屋に入る。
静かな寝息。
軽く揺らすも起きない。
「ヤマト、ヤマト」
声をかけても起きない。なゆたは隣に座りふと机を見る。
爪で強く削られた跡…
「ん?」
机の隙間から写真が見える。
なんだろう
「…っ」
その写真を見て黒い霧が一瞬溢れ出る。
「なゆ、た…?」
なゆたは慌てて写真を隠しヤマトの傍に行く。
「起こしに来てくれたのか。すまねぇ…」
眠たそうに起き上がるヤマトは大事そうになゆたを見る。
「おはよう。なゆた」
「おはよう、兄ちゃん」
写真に映ってたのは赤い髪に犬耳を生やした少年、すぐにヤマトだとわかる。
それに、銀髪の青年と
楽しそうに笑う幼い自分の姿。
あれは血の繋がりのある兄…?でも死んだと聞いた…じゃあ、あの日見た同じ色の髪をした青年はなんでボクの前に…
「なゆた?どうかしたか?」
「ううん。お腹すいたのとまだ寝足りない」
「じゃあ、寝るか」
ヤマトは布団を広げなゆたを誘う。
そこに飛び込み丸くなって目を閉じた。
兄、きっと記憶を無くす前の本当の兄なんだろう。生きていた?
でも、生きていようがボクには兄ちゃんがいるから…
そのまま眠りにつこうとしニコが叩き起しに来るまであと数分。
ここまで見てくださりありがとうございます。
いつも朝起きる順番は、ヤマト➞サクヤ➞ニコ➞なゆた
の順番です。
そして白夜…ドンマイ…




