兄妹喧嘩
本音で戦う兄妹。
ヤマトとなゆたがずっと思っていたのは、何なのか
激しい衝突音。
走る火花。
なゆたとヤマトはお互い引かない。
「ボクが王になるのがそんなに嫌なの?」
「違いますよ。相談して欲しかった…!1人でどこかに行かれる回数が多すぎなんですよ!」
本気でぶつかり合うのに話す余裕はある。
「それはボクの勝手でしょ。それともまだ兄だと思ってるの?」
「…っ、そうですよ。俺は…」
まだ兄でいたい。
「兄じゃなくても傍に居たら良かったじゃないか…なのに…なのになんで兄って嘘ついたんだよ!」
「それは!!!」
なゆたの手首をつかみ動きを止める。
「俺が兄でありたかったからだ!!」
「命令じゃない。俺は俺の意思で兄になっていた!貴女が…なゆたがこの命より重くて大事だからだ!」
「ボクはずっと怖かったんだ!!記憶のない中で生きる辛さが分かるの?!」
なゆたが叫ぶ。痛いほど苦しく。
腕を振り下ろし、なゆたの動きは早くなる一方、剣先が頬をかする。血が出ても気にしない。
「だから、傍にいたんじゃないんですか」
優しく笑う。その顔に動きが鈍る。
大剣を投げ捨てなゆたの両手首をつかみそのまま倒れ込む。
力を入れようともビクともしない。
「…っ離して…」
「俺は、貴女様と出会ってから光を見た。温もりを知った。幸せを知った。そして、
家族を知った」
なゆたの頬に浸る雫。
初めて、
「…初めて、ヤマトの泣く姿を見る」
緩むヤマトの手を離し、そっとヤマトの目から落ちる涙を指で拭う。
「血は繋がってないし種族も立場も違う…だけど、俺はずっと…ずっとずっとずっと…!」
「ずっとなゆたを妹として見てた!!今更そんなこと言われても引き下がれない!引き下がりたくない!!」
「それだとずっと君のことを縛ってしまう」
「別にいい!!俺はお前に縛られてる方がよっぽど安心できる…」
「なゆたさえそばに居てくれれば他になんて何も要らないんだよ…」
倒れ込むように抱きつく。
「なゆたが居なくなったら俺はこの先どうやって生きてけばいいんだよ…離れないでくれなゆた…ずっと傍にいてくれ…俺にもう二度とあんな思いはさせないでくれ…」
だんだん小さくなる声。
ずっと頼りになって大きかった背中が今は小さく見える。
「…ごめ、ん…」
声が震える。
「ごめん、なさい…ごめんなさい…っ!にいちゃ…兄ちゃんっ…!」
小さな子供のように泣く。
記憶を失ってから一度も泣くことがなかった。
「離れないで…っ!どこにも行かないで…!!」
「行かないし俺もお前をどこにも行かせない…」
ドアの外で安心したようにサクヤとニコ。そして、クロガネが静かに見守っていた。
2人はただずっと手を繋ぐ。
「本当に王になるのか?」
「…なる。ボクはもう守られてばかりじゃダメだ。進まないといけない」
「それが辛くても?」
「うん」
なゆたは立ち上がる。腕で涙を拭って振り向く。
「ボクの兄ちゃんはこれまでもこれからもヤマトだけだから」
力が抜けたように笑う。
重い腰を上げるかのように立ち上がり、周りを見渡す。
「さてと…これどうしようか…」
倒れてる白夜を見る。
「なんやかんやお前は良い奴だったよ。白夜…」
「なんやかんやってなんやねん。バカ犬」
「……は?」
倒れていた白夜はゆっくり起き上がる。
そして固まった身体を伸ばすかのように腕を上げる。
「結局、中途半端やんけ」
「白夜は大事な友達なんだから殺すわけない」
チラッと部屋の隅を見る。そこにはカラスが止まっていた。
そう。本気で行かないと上手く行かなかったから。
ここまで見てくださりありがとうございます。
なゆたが泣いた!!白夜が生きてた!!情報量!!
兄妹ってこんな重いっけ…?




