月の目
王の座を賭けて白夜との戦いが始まる。
そして3人はクロガネを超えることができるのか
全ての狐火を避け、大きく踏み込む。
相手は少しの剣術もあれば術も使う。なにをして来るか分からない…
だから、白夜を選んだ。
「君を倒して、今ここでボクが王となる」
「そうはさせへん。中途半端のお前に何ができるって言うんや」
大鎌を振りかざすも、白夜は刀を取り出し止める。
「王になりたいんやったら、俺を殺す気で来ぃや。なゆた」
「最初からそのつもりだよ」
なゆたは一度体勢を整える。
「邪魔だなぁ…」
大鎌を見下ろし
高く、
高く、
上に振り投げた。
攻撃が来ると思い目で大鎌を追う。だが、間違いだった。
その隙を狙ってなゆたは白夜の懐に入る。その距離はゼロに親しい。
「…っな?!」
手には短剣。喉を狙って振り上げる。
ギリギリのところで白夜は避け刀を振りかざす。
「ほんっま…昔から無茶する…」
いつもなら"昔"というワードで動きが止まるはず。
はずだった。
それでもなゆたは止まらない。
「昔?昔なんて知らない。興味無い」
「…は?」
「今は目の前に集中しないと、死んじゃうよ?白夜」
日が沈む。暗くなるはずなのになゆたの目は月のように輝く。
◆◇◆◇
「本当にこの道なの?前の境界とは違うけど…」
「カラスが案内してるんだ。間違いない」
3人はなゆたを求めて歩く。
前の境界とは反対の道。ニコは不安げな顔。
「ねぇ…なんでヒメは…なゆたは故郷に行ったの…?」
「分からない。分からないから確かめに行く」
「そもそも境界があるのかもわからないじゃない」
ただヤマトは黙って歩く。髪で表情も読めない。
「すまねぇ。今は黙ってて欲しい」
低く重い声。
ニコは大人しく口を閉ざした。
なゆた…さすがに何回もそんな失踪されてちゃ守れないわよ…ヤマトも…何回も不安にさせないでちょうだい…
カラスが鳴く。目の前にはおびただしい形をした境界があった。
「本当にあった…」
「まるで俺たちを誘い込んでるような感じだな…でも、なんでこんな何も無いところに境界が…?」
「確かに…ってヤマト?!」
ヤマトはズンズン前に進み境界の中に入る。
「ま、待ちなさいよ!」
一言も喋らない。
ただ強く拳を握る。
オレンジの光が見え、出口だとわかる。
故郷に足を踏み込むと黒い大きな影が3人を包む。
「…クロガネ…なゆたはどこだ」
「ここを通す訳にはいかない」
「こんな時に冗談言う奴じゃねぇだろ。退けろって言ってるんだ」
「できない。王の命令により貴様らを排除する」
思考が止まる。
王の命令?
王って誰だ?白夜か?
ちがう。クロガネにとっての王は…
「なゆ、た…?」
なゆたの命令?
なんで?俺たちを排除しようとしている?
分からない…
どうして?
目が揺らぐ。
「ヤマト」
サクヤが隣に並ぶ。
「直接、なゆたから聞かないとわからないだろ。言葉を鵜呑みにするな」
確かにそうだ。
なゆたがそんな命令するわけない。
何かの間違いだ。
この目で、この耳で直接聞かなければ…
だから、
「邪魔だ、オッサン…さっさと退けろ」
「王の命令によりできない。王は本気だ」
大剣を取り出し構える。
クロガネもハンマーを取り出し構えた。
「邪魔だっつってんだろ!!!さっさと退けろよ!!!」
一気に踏み込み振り下ろす。
だが、横からハンマーが迫り来る。
「ちっ」
軸を変え、横から振ってくるハンマーを交わす。そのままハンマーの上に乗りもう一度、剣を振る。
鎧の隙間から見えるクロガネの目は懐かしそうにヤマトを見た。
「…こうやってまともに交戦するのは初めてだな」
「…っ?!」
動きが止まる。
昔の記憶。
「…今の俺に余裕はない。本気でお前を殺してしまいそうだ」
「王の命令は絶対だ。破ることはできない。その相手が弟弟子でも」
「ヤマト」
サクヤが声をかけニコと2人で前に出る。
「お前は先に行け」
「でも…」
「こんな戦いよりなゆたの方が最優先だ」
「…っふー…」
息を吐き、大剣を消す。
「ぜってぇ死ぬなよ」
「待て…!」
ヤマトは持ち前の身体能力でクロガネを軽々、飛び越える。そのまま一直線に王座に向かった。
クロガネが追いかけようとすると2人に止められる。
「あなたの相手はこちらです。副将」
クロガネは武器を持ち直し2人の前に立った。
「いざ参る」
ここまで見てくださりありがとうございます。
ほら、もー…兄ちゃん激おこじゃん…




