ボクの場所
部屋に行くと居なくなっていたなゆた。
向かった先とは───
「なゆた、いるか?」
ドアをノックしても返事がない。不思議に思いドアを開けると、
静かな誰もいない空間。
冷や汗が出る
「なゆ、た…」
焦りが出る。
そこへ、サクヤも来る。
「ヤマトどうし…は?」
空っぽの部屋を見て、前のことが頭によぎる。
カァ
カラスが窓から覗き込む。
サクヤが違和感を覚える。
このカラス…確かに俺が使ってるカラスだ…なのになぜ俺の術が消えてる…?
「…っ、なゆた…!」
飛び出そうと振り返るヤマトの腕を掴む。
「まて、このカラスになにか付いている」
サクヤはカラスの脚に付いていた手紙を読む。横からヤマトも覗き込んだ。
「これって…」
そこには、
【みんなへ。すぐ戻ってくるから心配しないで。いってきます】
それは確かになゆたの文字。
不安がヤマトを包み込む。
「まさ、か…」
あの女に会いに…?
なゆたとあの女は帳の中でなにか話した。その結果、戻ってきた時に深刻な顔をしていた…
「探さないと…っ」
「カラス、答えろ。なゆたはどこに行くと言った?」
言えない。
まるでそう言ってるような目。
だが、サクヤも引き下がれない。
じっと見つめ
早く答えろと急かす。
「やっと話したか…」
「カラスはなんて…?」
「なゆたは…
俺たちの故郷…妖怪の国に行った」
「なんで…」
思い出すため?
それとも別の目的があるから?
分からない。
なゆたのことを分かってきたはずだった。
なのに今、なゆたのことが分からない…
◇◆◇◆
虫の声
風の音
全てが大きく聞こえる。
手を前に出し、力を込める。
その瞬間、
境界が現れる。
境界を出す条件はボクには必要ない。
だって、王家の血が入ってるから
門が開き、迷うことなく中に入る。
笑い声
呻き声
泣き声
境界の中はそんな声で響く。
少し前は不気味に思ったが、
今となっては
「ただうるさい…」
妖怪の国。
ボクの故郷。
けど、知らない国。
境界を抜ける。
夕暮れの空。
「行かなくちゃ…」
足を急ぐ。向かったのは、
王の城。
ドアを開けまっすぐ王座に向かう。
頭は分かってないのに身体が覚えてる感覚。
そんな感覚はもう慣れた。
王座の扉を開く。
目の前には、
嬉しそうにユラユラと尾を揺らす妖怪の姿。
「待っとったで、なゆた」
「…白夜」
「いやぁ!まさかなゆたから来てくれるとは思わんやん!で、1人かいな?守り人達はどないしたん?」
「……」
なゆたは冷たく、笑いもせずただ無表情に言う。
「邪魔だから置いてきた」
「…へぇ」
「クロガネ」
なゆたが呼ぶと影からクロガネが現れる。
「ヤマトたちはきっとボクを追ってここまで来る」
「失礼ですが、その根拠は」
「境界をそのままにした。それを辿ってヤマトたちは来る。絶対に。だからクロガネ。命令だ。
境界から来る半妖を力づくで止めろ」
「…承知しました」
頭を下げその場から去る。
「ええんかいな。あいつらはお前のこと宝石のように大事にしてたんやろ」
「いい。もういらない。そういうの。もう時間が無いんだ。白夜、」
なゆたは黒い霧から大鎌を取り出す。
「その場所はボクの場所だ。退け」
白夜は目を見開き歯を見せて笑う。狐火が一気に増えなゆたに向かって攻撃を開始した。
ここまで見てくださりありがとうございます。
白夜との対戦が再び始まりましたね。




