成長
サクヤと鍛錬をするなゆた。
ヤマトのことを知り、なゆたが取った行動とは────
腕に抱きつき震えるなゆた。
あの帳で一体何が?
いや待て…
どうして帳が降りた?
そして、あの女…
「やっぱただの人間じゃなかったか…」
なゆたの頭を撫でる。
「大丈夫、俺は好きで勝手になゆたの傍にいるんだ。離れろって言っても離れないし、どこにも行かない」
「兄ちゃんは嘘つかないよね…」
嘘。
俺は、本当の兄じゃないということを黙って兄の代わりになっている。
「…あぁ、嘘つかないよ」
なゆたの顔は見えない。
「絶対に、渡さない…ヤマトは…ずっと」
耳がいいヤマトでさえ気づかない小さな言葉。
なゆたの目になにか火がつく。
買い物を終え、家に帰ると真っ先にサクヤの元に向かう。
「サクヤ」
本を読む手を止め顔をあげる。
「鍛錬に、付き合って」
「鍛錬…?ヤマトじゃなくていいのか?」
「サクヤがいい」
すぐに察する。
これは、何かあったな。
「わかった。今からか?」
「そう」
「じゃあ、行くぞ」
食材を片付けるヤマトは気づかない。
2人は森の中に入り武器を取り出す。
動きが早い…
昨日のヤマトとの鍛錬で一気にレベルが上がってる。
だが…
響く鉄音。
なゆたはすぐに引き再び構える。
「まだ…もっと…」
感情が揺れる。
なのに、
黒い霧は出てこない。
「なゆ──」
次の瞬間、気づけば懐になゆたがいる。
ギョッとし、槍を振る。
身軽に交わされそのままなゆたは、
槍を掴み思い切り押す。
バランスが崩れたサクヤの首筋に大鎌。
「…っ」
まだ成長するのかこの人は…
大鎌が消え、手を差し伸べる。
「ごめん…本気になりすぎたかも」
「いや、それでいい」
「なにかあったのか?」
なゆたは知っている。
サクヤに隠し事は通用しないことを。
諦めたように目を伏せ、立ち尽くす。
「ボクは、ヤマトのこと…縛ってていいのかな」
「なぜ?」
「何となく、そう思っただけ」
そう言われたから。
なんて言えなかった。
言えば、サクヤはカラスを使って探すから。
「あいつはなゆたのことを心から大事にしている。でなければあんなにもしつこくなゆたなゆたと言ってないだろう」
口を開けばなゆた。
そんなやつが離れるわけがない。
サクヤはそう思い素直に伝える。
「恋愛もどこか遊びに行くこともできなくて、ヤマトは楽しいんかな」
「元々あいつは恋愛は…まぁ最近は興味無いって言っているし、ここだけの話だが…」
「あいつは…ヤマトはこの4人の中で1番寂しがり屋だ」
「…え?」
驚く。
いつも笑ってその場を盛り上げてくれる人が寂しがり屋だということに。
「だから、1人でどこか遊びに行きたいなんて思ったことないんだろうな。出かける時はいつも誰かを誘うし」
「知らなかった…」
ずっと一緒にいたのにヤマトのことが知らない。
いや、
知ろうとしなかった…
そこへサクヤの元にカラスが来る。
「…飯ができたみたいだな。帰ろう」
「2人が待ってる」
なゆたはサクヤの並んで歩く。
「カラス触ってもいい?」
「もちろんだ」
家に帰ると、ヤマトが飛んでくる。
「なゆたぁぁぁ!どこ行ってたんだよぉぉ!!兄ちゃん心配したんだぞぉぉぉ…!!」
「ご、ごめん」
抱きつき離れようとしないヤマトをニコが引き剥がす。
「はいはい、ほら食べるわよ」
暖かい空間。なゆたはホッと息をつく。
もっと強くなってこの幸せを守らなきゃ…だね
三日月が光る中、
なゆたはお面を手に取り窓を開ける。
「じゃあ、行ってくるね。みんなに伝言、頼んだよ」
窓に立つカラスを撫で、
なゆたは飛び出した。
ここまで見てくださりありがとうございます。
サクヤってパパみたいですよね。
そしてなゆたお前!!!またどっか1人で勝手に行きやがって!!!3回目だぞ!!!!!




