アレキサンダー
店に現れた白雪。
彼女はヤマトに近づく。
カラン
店のドアが開く。
「いらっしゃいませ!」
「こんばんわ〜♡」
ツインテールの少女。
ニコは少しだけ眉が動く。
「こちらの席どうぞ」
「ありがとうございまぁす。お姉さん、すごく綺麗ですね」
「あら、ありがとう。今日のオススメは…ってちゃんと成人してるわよね?」
「してますよぉ」
ケラケラと笑う少女。
なゆたは目線だけ向ける。
嫌な感じがする
本能が拒否をする。
「オススメをください♡」
「はーい。お願いしまーす」
カウンターにいる人物に話しかける。白雪は視線移すと、動きが止まる。
そこに現れた男が静かにグラスを置く。
「お待たせしました。本日のおすすめはアレキサンダーになります」
「…あはっ、お兄さんすごくカッコイイね。吸い込まれそうになっちゃった」
「…ありがとうございます。では、ごゆっくり」
「あ、まって!」
袖を引っ張り止める。
「お兄さんのお名前、教えてよ。私は白雪!」
「ヤマトです」
「ヤマト…ヤマトくんね!覚えた!本当にかっこいいね。彼女とかいるの?」
ヤマトは困ったように笑う。
ヤマトはモテる。だが、ニコは知っているからこそ止めない。
「居ませんが…」
「そんな彼女より大事な人がいるので」
その言葉に少しだけ笑みが崩れる。
グラスを小さく揺らしながら、
「へぇ…それはどんな人?」
「大切な…妹みたいなやつです」
「はぁ〜出た出た。妹みたいな関係だから大丈夫とかいうやつ。でも、いいんだぁ。私は、」
関係なく奪えるから。
「ねぇ、よかったらさ…今度2人で出かけない?」
「…仕事があるので」
「仕事に真面目なんだぁ。いいねぇ…そういう誠実なところもますます好きになりそう」
「こちら、お通しになります」
ヤマトを守るかのように現れたのは、
なゆた
無表情に、どこか観察するようにジッと白雪を見つめる。
「…あなたは?」
「ヤマト。仕事中だよ。まだお客さんはいる」
ヤマトの手を引き、白雪の質問には答えない。
だが、白雪は笑っていた。
「あれが、なゆた…忌み子…」
「あら?」
誰もが目を離した瞬間、その場に白雪は居なかった。居ない代わりにお金とメモ。
「お酒、美味しかったよ♡また会いに行くね」
木の影から窓を見つめる影。
「なゆた…忌み子の王…ヤマトくんの隣にいるの邪魔なんだよねぇ…殺しちゃダメって言われてるけど、半殺しにしちゃダメとは言われてないよね?」
月を背景に笑う姿は闇に消えた。
「さっきの子はいったい…」
なゆたはヤマトの傍から離れず着いてまわる。
「な、なゆたさん…?」
「気にしないで」
「気にもなるんだが…」
忙しさに終われ、あの少女のことは頭から抜ける。
「終わったぁ…」
ニコは座り大きく息を吐く。
「んで、なゆたどうしたんだ?」
締め作業中、ヤマトが聞く。
「さっきの…」
「さっき…?あぁ!あの白雪とかいう女?」
忘れていたかのように思い出す。
「…」
気をつけて。
なんてまだ言えない。
勘だけが働く、違ったらあの人に失礼だと思ったから。
「ねー、今日の営業で結構、今日買い忘れた物の材料なくなったから明日行ってきてくれない?」
「わかった」
「ボクも行く」
締め作業も終わり4人は各自部屋に戻る。
「白雪…」
その名前だけがなゆたの頭に引っかかる。
綺麗なお面はどこか忠告するように月に照らされていた。
ここまで見てくださりありがとうございます。
一目惚れってやつ??




