付き合って
付き合って
そうなゆたに言われヤマトは────
「付き合って」
そんなこと言われて動揺しない男はいない。
ましてや実の妹のように接してきた相手だ。
俺にも全くそんな気持ちはない。
そう、断じてだ。
けど、俺だって男。
まともな青春というものを触れてこなかった俺は少しばかり期待する。
ちがう。
期待していた。
「なのに…」
目の前で大鎌を振るなゆたの姿。
「こんなのありかよぉぉぉ…!!!」
「どう?ヤマト」
「いいよ…すごく今の動き完璧だよ…あの言葉さえ無ければ100点満点だったよ…」
「えぇ…なんで泣いてるの…」
なゆたから見たことない引いた顔。
――力を制限したい
そう、なゆたに言われ基礎的な特訓に付き合う。
なゆたから微量の黒い霧。
だが、ヤマトは動かない。
霧に気づくなゆたは大きく深呼吸をする。
霧が収まっていく…
なゆたの霧はなゆた自身の"感情"の表れ?
だとしたら、今のうちにコントロールさせとくのは正解かもな。
「なゆた、身体の変化はあるか?」
「霧を抑えることで重く感じる。けど、それも慣れなくちゃ守れない」
ずっと守られてきた側。
なのに今は守る側にまわる。
「なゆた」
動きを止め、ヤマトの方に顔を向ける。
そこには大剣を構えるヤマトの姿。
「え…?」
記憶を失ってから人と仲間と剣を交える事はなかった。
暴走するのが怖かったから。
けど、なゆたは前に進もうとしている。その背中を押すのが兄ってもんだろ。
「全力で来い」
一瞬、驚いた顔がすぐ真剣な顔に戻る。大鎌を構え、
一気に
強く、
踏み込む。
大きな金属がぶつかる音。
両者は引かない。
だが、なゆたは軽い身体をふわりと浮かし、後ろに回り込む。
が、そう一筋縄ではいかない。
なゆたの腕を掴み、それを軸にし正面。
お互い、負けを譲らない戦いになる。
なゆたは振り払い距離をとる。
「…っ?!」
なゆたの霧が大きく漏れ出る。
いつもならすぐヤマトが駆けつける。
だが、今回は来ない。
そのまま真剣な顔で大剣を構えたままでいる。
大丈夫。
そう言い聞かせ、また一歩踏み込む。
ヤマトは身体をひねり交わしたり武器の流れに沿って弾いたり観察をする。
「なゆた、1回止まれ」
ピタリと止まるなゆたにヤマトは前に出る。
「今の動きは悪くなかった。が、まだ詰めが甘い。今みたいに来るんだったら…」
的確なアドバイス。
言われた通りに動けば身体は軽く黒い霧も出てこない。
そうか、戦い方にも問題があったのか。
なゆたはまた一つ覚え、ヤマトに挑む。
「次は絶対勝つ…」
息が上がり膝をつくなゆたにヤマトは汗の一つも無い。
「はっはっは!俺に勝とうなんざ100年早いわ!」
「…また意地悪言う」
「……ぇ」
小さな声。
よく聞いたセリフ。
だが、本人は気づいていない。
あぁ、やっぱなゆたはなゆただ…
また刃が交わる。気づけば夕方。
「ただいまーって、2人いるじゃない!」
「どこ行って…」
2人は咄嗟に口を閉じる。
そこにはソファーでお互い寄りかかり眠る2人の姿。
ここまで見てくださりありがとうございます。
なゆたさー、そういうのよくないと思うよー?期待したじゃん




