開店準備
敵を迎えるため、開店準備を行う4人。そこに白夜が現れる。
「確かに、嫌な予感がしてたわ」
風呂から上がり真剣な顔で呆然と立つニコ。
ニコは感覚が鋭い。
鋭すぎるがため、鈍感なふりをする。
知るのが怖いから。何回もそんな経験をしたから。
「店開けて、なにか情報が集まるかもしれない」
「サクヤ、落ち着いた?」
「あぁ、すまない…なゆた」
震えるサクヤの手は止まる。
「店を開けるって…本気?」
「開けた方がなにかとあっちからも来てくれる。その方が都合がいい。だから、」
ヤマトの声と共に小さな炎の光。その光は大きくなり人の形に変わる。
「はいはぁい、白夜さんのお出ましやでぇ」
にこやかに笑う白夜が出てくる。
白夜は一人一人舐めるように見たあと、なゆたに目が止まる。
「…少しずつ、戻ってきてるな…」
「戻ってる…?」
「何もないで」
口角を上げ笑う白夜にニコはヤマトを壁に連れ込む。
「ちょっと…!なんであのクソ狐を呼んでんのよ!」
その声はヒソヒソ声。
「結界はあいつの得意分野だ。今日の客は妖怪だけにする。それで、あのメガネの傍観者とかいうやつが入ってきたらおかしな話だろ」
「そうだけど…なにより!」
ニコは白夜を指さす。
「よりによってこいつ…っ!」
「飴ちゃんあげる」とニコニコとなゆたを餌付けする白夜はニコに気づく。
「俺は協力しに来たんやない。なゆたを守りに来ただけや。守ろぉ思っとったところにお前らがおるだけやろ?」
「むっっかつく!!!」
サクヤはニコの肩に手を置きなだめる。
「落ち着け。ニコ。今回、こいつは裏で動く。俺たちの目標は言ってない。ただ、結界を貼るだけの仕事だ」
「そーそーサクヤくんの言う通り。ヤマトが頭下げてお願いしてくれるんかなって思っとったら最終兵器のなゆたを出しよって…」
「なゆたのお願いならお前も断れねぇのはお見通しってことよ」
「ほんま、昔からいけ好かんわ…」
「そりゃどーも」
「まぁ、でもなんで結界を貼るんや?」
白夜は至る所に結界を貼りながらヤマトに問う。
「…なゆたを守るため」
「お前、それ都合のいい理由にし過ぎてへんか?」
「あの双子に昔話をした」
その言葉に手が止まる。
白夜だから知っていた。
ヤマトがずっと過去に囚われていることに。
「…なんやて?」
「なゆたの過去、お前との出会い。そして、あの日の出来事」
「…お前は変わらん。だから好かん」
「お前は変わりすぎだけどな。昔は泣き虫でオロオロしてたのに」
「昔の話やろ?俺は前に進んだんや」
ヤマトがふと笑う。
「なゆたに執着してるやつのどこが進んでんだよ」
「それはなゆたが王やから───」
「なゆたは王じゃない」
時が止まる。
脳が理解に追いつかない。
ヤマトが?なゆたを王と言ってるこいつが?
「あの日、即位される前に壊れたんだ。だから、なゆたは正式に王になってない。ただ、王の権利を持っているだけで」
あの日を思い返してみれば確かにまだ祭壇にも上がってない。
「それでも、俺はなゆたを王としてみてまうわ」
「ここでお前と意見が合うとは反吐が出る」
「口悪すぎとちゃう?」
そんな無駄口を叩きながら2人は結界を貼り終える。
「まぁ、こんなもんだろ。ごくろう。帰っていいぞ」
「ほんま、昔から人使い荒いわ」
ヤレヤレと言うように白夜は去ろうとする。
「おい」
「まだなんかあるんかいな」
「なゆたに会ってかなくていいのか?」
「さっき十分顔を見たからそれでいいわ。ほんなら。気をつけなね」
狐火の中に消える白夜を見届けたあと、月を見上げる。
「ありがとよ。白夜」
小さく呟く。
クロガネを呼ぶべきか?いや、呼ばない方がいい。あいつはあいつで国を守っている。
虫の声ひとつもしない。
満月だけが静かに店を照らしていた。
「ここからは戦場だ」
その声とともに店の服ではない、軍服の3人が階段を降りてくる。
守られるためではない。
敵を迎え撃つために。
ここまで読んでくださりありがとうございます。
白夜くん、君さー…初期とだいぶキャラ違うくない??




