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月下の半妖  作者: 霜月パラド
半妖の鬼とその仲間
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静かな日常

過去を話し、前に進もうとするヤマト。

だが、その裏では───

重い空気の中、カーテンだけが揺れる。


「ヤマトと黄泉様たちの関係…」


ニコが重い口を開く。


「ねぇ、なんで私たちはクロガネ…副将のこと忘れていたの…?」


サクヤもハッとした顔で気づく。


(確かに…俺らと関わりがあった。なのにどうして…)


あの狐との戦いで初めての感覚があったんだ…?


「それは、黄泉の影響だろ。術は不完全だった」

「だから…周りにも影響が出たんだろ」


「そう言われると腑に落ちる」


ニコがなゆたを見つめる。

まるで、赤子を見るかのように


「私たちが初めてなゆた様に会って、恥ずかしがり屋で可愛いと思ってたけど…」


「ま!そーゆーこった!」


ヤマトはいつもの笑顔に戻る。

サクヤとニコはまだ暗い顔をし、ため息が出る。


「もう過去の話だ。今さら悔やんだって、黄泉は帰ってこない」


「ヤマト…あんた、勝手に兄づらしてるわけじゃなかったのね」


「おいコラ、言い方ってもんがあんだろ」


ニコは息を吐き白い天井を見る。


「まぁ、いいわ。ヤマト、あなた。なゆた様の傍にいてあげて」


ニコは立ち上がりドアに向かう。


「私は夕飯の準備をしてくるわ」


その瞬間、2人は固まる。


「お、おおおい…待て。ニコ?早まるな」


「お前、何回キッチン燃やそうとした…?」


慌てる2人にニコは眉間に皺を寄せる。


「私だって料理本見たら作れるに決まってるでしょ!ほら、行くわよ!サクヤ」


珍しくサクヤが怯えながらニコと階段をおりる。

静かな空間。

眠る顔は、兄。黄泉とそっくり。


「なぁ、黄泉…俺はちゃんと兄に成り代わってるか?」


小さな声は誰にも届かない。


ただそれが合図かのように、


なゆたがゆっくりと目を覚ます。


「兄…ちゃん…?」


「おはよう、なゆた」


優しい笑顔。まるで、


自分が黄泉だと言い聞かせるように


「ボク、なんで寝て…」


「今日は寝坊助だなぁ。ニコが飯作ってるから待ってようぜ」


その言葉に普段、表情を出さないなゆたが心から嫌な顔をする。


「……え"っ…」


その顔に吹き出す。


「あっははは!!寝起きにしては良い顔すんじゃねぇか」


勢いよく起き上がり、震えるなゆた。


「わ、笑ってないで止めに行こうよ…」


その瞬間、


ドンッ!!


大きな音が響くと同時にニコの叫び声、サクヤの


「ニコお前!!」


という大きな声。


2人は顔を合わせて小さく笑う。

なゆたのぎごちない笑顔。

ヤマトも安心した笑顔。

笑う種類は違えど、笑っている。


なぁ、黄泉。なゆたは少しずつ笑えてるよ。

ここにお前がいたら、腹抱えてうるさく笑ってるんだろうな。


風が揺れる。


ヤマトの思いに返事をするかのように。





「なんで貴方ってすぐいなくなるんですかって…こんな派手に妖怪を殺して…」


「いいじゃないか。俺の自由だろ?仕事はきっちりこなす。少しの自由ぐらい目をつぶっててほしいな」


暗い路地で風に揺られる銀髪。淡い色の無くなった紫の瞳は、


冷たく死んだ妖怪を見下ろしていた。

ここまで読んでくださりありがとうございます。

2話続けての投稿です。


ニコさん料理できないんだね…

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