賑わう夜の違和
賑わう夜。
笑い声が響く店にカクテルシェイカーを振る音。そっとグラスに注ぎカウンターに置く。
「ニコー、これ3番テーブル」
「はーい。注文置いとくわね」
「空いたグラス持ってきてくれ」
忙しない3人を横目に、なゆたはグラスを片手に上の空でいる。
「なゆたー?ごめん、ちょっとこれ運んで」
「うん」
グラスを離すことなく、チーズのおつまみをテーブルに運ぶ。
「…お待たせしました」
「それ何飲んでるんですか?」
「…お酒です。ごゆっくり」
妖怪と人間が入り交じる店。
妖怪は人間に化け紛れ込む。
しばらくしヤマトは腰を伸ばす。
「はー…ちょっと休憩。酒どう?」
「美味しい」
「そりゃよかった。あともうちょいだけど頑張れるか?」
「………うん」
「ははっ、無理はしなくていいからな」
と笑うヤマトの隣に腰をおろす。
「賑やかだね」
「そーだな。今日は賑やかだ」
視線をまわし、ひとつのグループが気になる。
「あれは、タヌキか?人に化けるのが上手い」
…なんかちがう
なゆたは眉をひそめた。
「…祢々切丸のこと何か知ってるかな」
「タヌキだろ?たいした連中じゃない」
それもそうか。いや、でも…
グラスの中の酒はいつの間にか空になる。
「気になるならカラスを追わせるか?」
客も落ち着きサクヤはなゆたに新しい酒を渡す。
ジッとタヌキを見つめる。
「…そーだなぁ…念の為ってやつ?」
「カラスにそう伝えておこう」
その言葉のあと、窓の外で影が揺れた。
「サクヤのそれ、便利だね。やっぱ同じカラスだから?」
「それもある」
カラスがたくさん集まったら空でも飛べるのかな…
「…なゆた、変なこと考えてるだろう」
「カラスを使って空は飛べないからな」
「…なんだ飛べないのか…」
「なぜ飛べると思ったんだ…」
何かを思い出したかのようにヤマトはニヤニヤとサクヤを見た。
「そーいや、お前…カラスに求愛されてなかったか?」
「…忘れろ」
「あれ、返事どうしたんだ?」
「忘れろ。俺は興味がない」
一方でニコは客の心を掴んだかのように視線を集めていた。
「ニコちゃん今日も可愛いね〜」
「ありがとうございます!なにか変わったこととかあります?」
あの目は、情報を集めてる目だ
その時。
ニコの笑みが、一瞬だけ止まった。
「……なんかあったみたい」




