壊れてない、それだけで
修正しました
赤い空
叫び声
泣き声
飛び散る血
「……っ!」
味噌汁の匂いに誘われ目を覚ます。
……またあの夢…
外は明るく、まるで昨日のことは夢のように思えた。
体を起こしひとつ伸びをする。まだ覚めきってない脳を刺激するかのように叫び声が聞こえた。
「きゃあぁぁぁ!!!!」
重い体を動かし階段を降りる。そこで見たのはパンイチでコーヒーを飲む男がいた。
「…なにしてんの」
「おー、なゆたおはよう。今日は早いな」
パンイチの男、ヤマトは気にする様子もなくコーヒーをまた1口飲む。
「な、ななにしてんのよ!そんな格好で!!目が腐るじゃない!ヒメ!見ちゃダメよ!目が腐る!!」
「腐んねぇよ!!失礼だな!!」
叫び声の張本人、ニコは慌ててなゆたの目を両手で塞いだ。
またいつもの日常。
それだけで十分だった。
奥のキッチンから右手にオタマを持ったサクヤが現れた。
「おはよう。なゆた。味噌汁作ったけどいるか?あと、ヤマトは服を着てこい」
「おはよう。うん。とりあえず、顔を洗ってくるよ」
ニコの手を退かし、洗面所に向かう。
いつもの光景。
なゆたはそんな日常を求めていた。
水は少し冷たく一気に脳が起こされる。
顔をあげると鏡に映っていたのはただの人間の少女。少し息を吐き、目を閉じる。
そして、すぐにまたゆっくりと目を開けるとそこには昨日の夜、人間を救った鬼の少女。
なゆたは"半妖"と呼ばれるもの。
妖怪と人間の間に生まれてきたのだ。
とある言葉が脳裏を過ぎる。
━忌み子━
その言葉だけは、忘れたことがない。
あの場所には、もう戻れない。
また目を閉じ、人間の姿にもどる。
人間に混じり、人でも妖でもない。居場所はここだけ。
「その為なら、世界を敵にしてでもこの平穏を守ってみせる。祢々切丸…一体どこにあるんだ…」
心の声が知らずに出る。
「なゆたー?朝飯出来上がったってよ」
「…今行く」
ヤマトはいつも通りの声で呼ぶ。
━だが、その目だけは、わずかに鋭かった。
ヤマトはポンっとなゆたの背中を優しく叩く。
「腹減った?」
「うん」
「人間来るかもだから人間の術かけときな」
「わかった」
小さく息を吐くと角が消える。
その場を後にし、3人のいる場所に向かう。
何としてでも、祢々切丸は見つけなくちゃいけない。
━手遅れになる前に




