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まだ取れない包帯

「ヤマトー?入るわよ…って居ない…?」


部屋は綺麗にされ誰もいなかった。

外から聞こえる木の倒れる音。まさかと思い急いで外に出る。


そこには、


まだ包帯を巻いて鍛錬をするヤマトがいた。

倒れている1本の木。横腹を押さえ苦しそうな顔をしていた。


「い"っ……」


息を吐く。


「…っふー…ちょっと体力落ちてんな…」


「なにしてんのよ!」


「うわっ?!ニコ?!」


片手には大剣。ニコは肩を震わせる。


「怪我して3日目で鍛錬始めるバカがどこにいるって言うのよー!!!!」


ニコの叫び声が森全体に響く。


「うるっせ…んだよ、別にもう動けるし傷もだいぶ塞がった。ずっと寝てばかりじゃ退屈だったんだよ」


「あんたね!仮にも1日昏睡してたのよ?!すごい熱を出して!そもそもあんだけの怪我で1日だけの昏睡?!昏睡から3日目で鍛錬?!あんたの体力と回復力はどうなってんのよ!!」


ギャーギャーとキレるニコにヤマトは耳を塞ぐ。


「お前は俺のかーちゃんかよ…」


「心配して言ってるの!!ほら、戻るわよ!!」


ヤマトの尾を掴み引っ張る。


「い"っででででっ!!!!おい!ニコ!!!何すんだてめぇ!」


「は?なに?このまま引きちぎってもいいのよ?」


ニコの眼力にヤマトは肩を小さくする。


「……すみません、自分で歩けるんでそこを掴むのやめてもらってもよろしいでしょうか…」


ため息をつき、パッと手を離す。まだ日が昇らない黎明。ヤマトとニコは家に戻る。


「あっははは!!!そりゃあニコちゃんに怒られるわ!!」


朝食。白夜は手を叩きながら笑う。


「うるせぇな…いいだろ少しぐらい」


「それで傷開いても治療しないから」


「……はい」


「ヤマト。今日は店どうする」


ヤマトは少し考えたあと、笑う。


「出るに決まってんだろ?リンネが来るかもしれないからな」

「そういえば俺がいない間にリンネって来たか?」


「いいえ、来てないわ」


「そうか…まぁ、仕事で忙しそうだししゃあないか…」


少し寂しそうに目を伏せる。


「そのうち来るさ。待てばいい」


その言葉を信じて食事をする。


食べ終え食器を洗っているとニコが顔を出す。


「じゃ、買い出し行ってくるから」


「ニコが行くのか?」


「たまにはね。ほら、行くわよ白夜」

「あ、あとヤマト。鍛錬は禁止よ」


「はーい」


「ほな行こか〜!」


ニコと白夜は外に出る。ヤマトは目線だけ玄関に向けた。


「最近、よくあの2人で出かけるよな」


「なんでもニコの化粧品などの好みを理解してくれるらしい。ニコが話してたからな」


「………へー…」


「なんだ?」


「いやー…?へー…そういうことなんだー…」


「どういう顔だそれ…ところでヤマト。傷はもう大丈夫なのか?ニコが物凄く怒っていたからなにがあった?」


「鍛錬してただけだよ」


「それは…お前…ニコもキレるだろ…」


サクヤは呆れる。


「…時間が無いんだ」

「もし、こうしている間にもあの子が苦しんでたらって思うと寝ていられない」


「…あの子?前話していた妹かもしれないって人物か」


「あぁ。"まだみんなと一緒にいたい"」

「あの文字は本音だ。早く見つけてあげないと間に合わない気がするんだよ」


「そう苦しい顔をするな。きっと見つかる」

「そういうことなら軽い鍛錬には付き合ってやろう」


ヤマトはふと笑う。


「俺、お前のそういうところ大好き♡」


「やめろ気持ち悪い」


「ははっ!さーてと早速始めるか?」


「そうしよう」


2人は外に出て武器を持つ。


夕暮れ。


ヤマトとサクヤは正座をさせられる。


「で?私、朝なんて言った?」


「えー…?いやぁ…なんでしたっけ…」


「とぼけないでね?」


「鍛錬は禁止と仰ってました…」


「そうよね?で、サクヤ。なんであなたまで一緒に鍛錬していたのかしら?」


「…」


ニコは目線を合わせ肩に手を乗せる。


「なんで、一緒に、鍛錬を、して、いたの?」


滝のように流れる汗。


「いや…少しぐらいならいいだろうと…」


「へー…少しぐらいねぇ…帰ってきた時に木を見たけど相当倒れてたのよね。それが少しなのね?じゃあ、少しじゃなかったらこの森の木、無くなってたのかしら?」


ニコは笑っているのに笑っていない。チラッと白夜に助けの目線を送る。白夜はため息をつきながらニコの隣に行く。


「そーいえばニコちゃん」


「なによ」


「はいこれ」


白夜はひとつのラッピングされた袋を渡す。


「…なにこれ」


袋を開けると中から出てきたのは香水。ニコは目を輝かせる。


「なによこれぇ!かわいい!え、待って匂いもすごい好み!いつの間に買ってたの?!」


「せやろ?絶対合うと思ってん」


「有難く受け取るわ!ありがとう白夜!」


先程とは打って変わってニコは上機嫌になる。

正座させられている2人は親指を立て、白夜も親指を立てた。


「助かった」


「まじでありがとう白夜…」


「ったく、まだ3日目や。そりゃあニコちゃんも心配なるやろ。ずーーっと寝ずに看病してくれとったんやで?」

「少しはニコちゃんの気持ちも考えてやり」


「悪かったって。さてと、開店準備に取り掛かるか」


ヤマトは着替える。半袖の黒のカッターシャツ。その上から長袖の薄いパーカー。包帯はまだ取れない。


リンネが来るかもしれない。

そう思うと、気持ちが楽になった。


「早くリンネに会いたいなぁ」


下に降り開店準備。


日が沈む。


「いらっしゃいませー!」


今日も笑顔で接客をし、リンネを待つ。

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