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戻ってきて

大きな音を立て火花が散る。両者は1歩も引かなかった。

ヤマトが思い切り大剣を振りかざす。大鎌で押さえるも受け止めきれず飛ばされる。


「王が押されてる…刺されたのが効いてるのかしら…」


「刺されたのが効いてるのはあるが、ちがう。見た感じ、様子を伺っているようにも見える」


王は立ち上がりまた踏み込む。隙がない。


「つまんねぇ…もっと本気で来いよ!!楽しませてくれるんだろ?!ほら!」


足を出そうとするとフラつき、お面の間から血が溢れる。


「あかん、あの王…限界迎えとる…出血の量がハンパやない…」


白夜は王を見つめる。


ほんまに頼むで王なゆた…


「はぁ…っはぁ…」


王は膝をつき、肩で息をする。


「…っ」


大鎌に体重を乗せて立ち上がる。

立ち上がるもフラフラとしている。


「なんで…あの王はあそこまでして…」


「わからへん…けど、俺らに敵意がないことは確かや」


大鎌を上げ振りかざそうとした。


だが、


先にヤマトの大剣が王を切る。


「あ"…っ?!」


お面の隙間から吹き出る血。それでも膝を着くことはなくゆっくりヤマトに近づく。


「王なゆた!もうあかん!!1回下がれ!!」


それでも進む。


ゆっくり、


ゆっくりと、


ヤマトに近づく。


ヤマトは再び大剣を振り上げる。


「王!!」


ギリギリのところで避け、押し倒す。

両手を持ち、大剣を離させた。


「…ヤマト」


ヤマトの目が開く。


そっと手を退かし、


お面を取る。


金色の瞳。


「もう、大丈夫だよ」


ひとつの札を口に咥える。

札に血が滲み、赤く染まる。


「王である我の命令だ。半妖ヤマトよ鎮まれ」


顔を近づけ唇にキスを落とす。


咥えられた札は小さく光り、消える。


赤く黒い瞳から


黒が消える。


3人からは背中しか見えない。


フードが揺れる。


「今、お面を取った…?」


「あぁ…けど見えなかった」


「大丈夫。ボクがいる。なにも壊れることはない。戻ってきてヤマト。そして、またデートに行こう?」


優しい声。


「お、れ…なにし、て…」


血まみれの王。


投げ捨てられた大剣。


怯えた仲間たち。


「俺は…」


視界が揺れた。


電源が切れたかのようにヤマトは目を閉じた。

ゆっくり身体を起こす。

フラフラする身体に力を入れる。


「待て、半妖の王。ヤマトに何をした」


振り返る。


そこには、


またお面を付けた鬼。


ニコが駆け寄る。


「ヤマト…ヤマト!」


小さく動く胸。だが、血色の良い肌はなく、冷たい。


「気を失っている…妖力が薄い…いつ息が切れるかの問題だ…」


「そんな…っ!」


その言葉に王は咄嗟にヤマトの手を握った。


白い光。


少しずつ肌の色が戻る。

3人でも感じる妖力。


「王の、能力…」


「妖力を分ける力か…」


ヤマトを見つめたあと、王は立ち上がり立ち去ろうとする。


「待て」


ピタッと止まる。


「王なゆた、ヤマトを助けてくれてありがとう」


王は振り返らずその場から消え、帳も消える。


「とりあえず、ヤマトの治療が優先だ」


「私がやるわ」


目に溢れる涙。堪えながらもヤマトに能力を使う。


「ここまで酷いと全部は難しいわ。ガーゼと包帯、タオルを持ってきて」


ニコはヤマトの治療をする。


「白夜、ここら一帯に結界を貼ってくれないか。この状態でまたあの陰陽師が来たら対応ができない」


「わかった」


「死ぬんじゃないわよ…!バカ…」


ヤマトの暴走。

王の秘密。


3人は口に出さなかったものの、恐怖と不安に押しつぶされていた。


「…っゲホっ、…っお"ぇ…っあ"…っはぁ…っはっ…う"っあ"…っ」


口から出る大量の血。


立ち上がることすら難しい。


刺された腹。


切られた上半身。


「はぁ…はっ…ヤマ…ト…」


溢れる涙は視界を塞ぐ。


遠くなる意識。その寸前で誰かに抱えられる。


「お前が死んだら俺も死ぬ。心に入れておけ、なゆた」


「しゅ…て…ど…」


意識が落ちる。王を抱え歩くのは、


酒呑童子。


「赤子が無理をするでない」


王を抱えた酒呑童子は闇に消える。

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