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立ちはだかる王

路地裏を進むリンネと男。

ニコは足を踏み出す。


「あかん…!ニコちゃん」


手を引き、抱き寄せ身体を隠す。

リンネは振り返り白夜たちの方を見ていた。


「誰かいたのか?」


「ううん、なんでもないよ。行こう」


2人は進む。


「ちょっと何すんのよ」


「狐の本能ってやつ…?あの男はあかん気がする…」


「なんでそんな男とリンネちゃんが…?」


白夜は目付きを鋭くし凝視する。


「ちょっと距離置いて様子見ようか」


次の瞬間、


足元が揺れ、


帳が降りる。


「帳…?!」


帳に包まれそうになりリンネは遠くなる。


「くっそ…!ニコちゃん!」


守るように強く抱き締め周りを見る。


目の前に現れたのは、


黒いお面に鬼の角。白いフードをした、


「半妖の王なゆた…っ」


額から汗が出る。


天と地の差がある相手。


「ニコちゃん、離れとき」


「あんたは…?!」


「男っちゅーもんはな、どんな時でも女の子を守らなあかんやろ?守らんのはダサい」

「女の子を守るのは男の役目や」


白夜は刀を出す。


金色の耳に尾。


深く息を吐く。


「半妖の王…相手は俺だけにしてくれや。この子には触れさせんで」


一気に踏み込む。刀を振り上げる。


半妖の王は大鎌を取り出し、片手で防ぐ。


「ちっ…」


大鎌を掴み引く。もう片手で刀を振る。

だが、それも交わされる。

白夜の手首を掴み勢いよく振り投げる。


起動を変えて着地。


「やっぱあかんか…」


ゆっくり立ち上がる。


「なぁ、王様。あんた、一体何が目的や?俺らを守ったり攻撃したり…ちと矛盾してへんか?」


攻撃してくる様子はない…なんなら敵意もない…


「目的を言え。俺は本気でお前を止める」


剣先を半妖の王に向ける。険しい目線。

半妖の王はゆっくり両手を上げ、大鎌を落とす。


「…っ」


カランと鉄の音。

それでも白夜は警戒する。


ずっと見つめていた。目を離さなかった。


それなのに


目の前には誰もいなかった。


ロウソクの炎が吹かれたように一瞬で。


消えたと思っていた。


「白夜!!」


後ろから気配。


振り向くと同時に目の前には短剣。


「まず…っ」


ガキンと大きな音。

桃色の長い髪。


ニコが爪で防いでいた。


「無茶すんじゃないわよ…っ!」


押し返す。


クルッと宙に円を書きながら半妖の王は着地する。


「女を守るのは男の役目?ふざけないで。私は守られるほど、か弱い女をやっていないの」


白夜は目を見開き、嬉しそうに笑う。


「ニコちゃんらしいわ」


まぁ、そういうところに…


「行くわよ。白夜」


「はーい」


武器を構える。

一気に踏み込み、刃を振り上げる。


「めんどくさい…」


ポツリと聞こえた声。お面によって篭った声は子供のようだった。


王の声。


その言葉と同時に、


手を前に出した。


本能が反応し、ニコの身体を抱き寄せ避ける。白夜は片手でニコを抱きしめ膝を着く。

前を見ると誰もいない。


「逃げた…?あの手はフェイクか…」

「しかも喋って…」

「…」


白夜は消えた跡をただ見つめる。


「帳が消えるわ。武器とか消しましょ」


耳と尾、武器を消しその場に立ち尽くす。


「おかしなこと言ってええか?」


「なに?」


「俺、半妖の王なゆたの正体はリンネちゃんやと思ったんや」


「…何言ってんの…?」


「リンネちゃんが現れてからあの王は顔を出すようになった。背丈も似とる。けど、声聞いた感じ、違うようにも感じた。わからへん」


「あの子は人間でしょ?妖怪が完璧に妖気を消せるはずがない。半妖の私たちですら妖気は僅かに漏れる。けど…」

「リンネちゃんからは一つも妖気を感じれない。もし仮に半妖の王がリンネちゃんなら辻褄が合わないわ」


「言われてみればそうか…ま、無事で──」


「ボクがどうしたの?」


後ろから声。振り返ると、そこには


リンネが立っていた。


そして、すぐ隣には赤い髪の中年の男。


「ボクがなに?」


「リ、リンネちゃん?!」


「知り合いか?」


「ボクがいつも行ってるお店の店員さんたち」


リンネは男と普通に話している。


「そ、そちらの方は…?」


「ボクの仕事の上司だよ。ね、酒田さん」


ガタイがよく威圧的。

そう思ったのも束の間。


「お前らがリンネがよく行ってる店の店員かぁ!!!リンネが世話になってるな!!!」


歯を見せ笑う。


ニコと白夜はただ目を開いて呆然としていた。

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