いつも通り
「ただいま〜ってヤマト?!」
「んぁ?」
2人が帰るとそこにはヤマトと白夜がご飯を食べている。
「あんた、もう大丈夫なの…?」
「あぁ、心配かけたな。どこか行ってたのか?」
「ちょっと買い物に…」
いつものヤマト。
その姿を見てサクヤは肩を下ろす。
「てか、その頬どうしたの?」
「こいつに殴られた。俺可哀想」
「なぁにが可哀想やねん。いつまででもウジウジしよって気持ちわりぃ」
「んだとてめぇ」
「やんのかコラ」
「ほら、すぐ喧嘩しないの!でも、元気になって本当に良かった」
「すまなかった。俺はもう大丈夫だから」
ニコは笑う。その場の空気が明るくなる。
「てか、買い物行ったんだろ?いつもに比べて荷物少なくね?」
「あぁ…今日はリンネの服を買いに行ってたんだ」
「は?!」
勢いよく立ち上がる。
「リ、リンネに会ったのか?!」
「昨日、お店に来てて買い物に行く約束したの」
「昨日って…来てたのか…今日は?!」
「今日は来れないみたいよ。てか、ヤマトが元気じゃないから居ないかもって言っちゃった」
「なんてことだ…」
肩を落とす。ニコが慌てて慰める。
「ま、まぁ!明日はきっと来るはずよ?ここのお店が好きって言ってくれたし!」
「はぁ〜俺、会えなさすぎて死にそうなんですけど〜」
「ヤマトヤマト、自己責任って言葉知っとるか?ひとつ覚えて賢なったな〜!」
「ぶち殺されてぇのかテメェは…ま、仕方ねぇ。今日は昨日の分までしっかり働くとするよ」
「そうしてくれると助かるわ」
夕方。
今日はリンネは来ない。それでも夜は来る。
リンネに会いたい気持ちだけが募る。
黒く
黒く
空いた穴を埋めるかのように。
「店の準備するぞ」
「あれ、双子はご飯いらへんの?」
「食ってきた。どうせヤマトはまだ食える状態ではないと思ったし白夜は勝手になんか作ってると思ったからな」
「俺、初めてサクヤくんに名前呼ばれた気がする」
「無意識だ。狐に訂正しよう」
「やめてー!!白夜がいいですー!!白夜って呼んでやー!」
「うるさい。行くぞ白夜」
白夜は機嫌良くサクヤとキッチンに向かう。
「あー…ニコ」
「なに?」
「リンネは元気だったか…?」
「えぇ。けど、昨日からずっとヤマトのこと心配してたわよ?」
「俺の事話したのか?」
「風邪ってことにしといたわ。さすがに屍になってますなんて言えないもの。本当に消えてしまいそうなぐらい落ち込んでいたわ」
ヤマトはため息を吐く。
「リンネに悪いことしたな…」
「そう思うなら来た時にまたどこか連れてってあげなさい」
「あぁ、そうする。ところでリンネにはどんな服を買ったんですかね」
「会った時に見ればいいじゃない」
「気になって仕方ねぇんだけど…」
「はい!動くわよ!!昨日の分までしっかりこき使うから!」
ヤマトは元気になった。
いつもと変わらない笑い声。
準備も終わり、開店する。今日も客は賑わう。
「いらっしゃいませー」
「よかった」
木の上から笑う影。
嬉しそうにヤマトを見つめていた。
「なゆたさん」
木の下から声。
「…どうして特殊部隊を4人にぶつけたの。神咲さん」
「なんのことでしょう?」
「とぼけなくていいよ。わかってるから」
「あの、犬神の青年とお付き合いされてるんですか?」
「そうだよ」
神咲は顔を顰める。
「どこまでも狂っている…普通、兄妹で付き合いますか?」
「けど、血の繋がりはない。兄様の命令でヤマトはボクの兄として接していた他人だよ」
なゆたの目はヤマトから離れない。
「今日はやけに落ち着いてるんですね」
「そうかな。そうかもね」
なゆたは木の上から降りる。神咲の隣に行き立ち止まる。
「ボクはそろそろ準備が整う。それまで首を洗って待っててね。神咲さん」
その言葉と共に影に消える。
「本当に殺す気で来るならこちらも手段は選ばない…どんな手を使ってても貴方を苦しめますよ。なゆたさん」
神咲の目はヤマト。
殺意のこもった目で
ただ、
ヤマトを見ていた。




