親友
双子とリンネちゃんが出かけた。ヤマトはずっと部屋。
静かなこの場所はどこか穴が空く。
「ヤマトー?入るで」
食べられた形跡のないおにぎり。
昨日と変わらない位置。
そして、
光のない虚ろな目。
「なぁ、ヤマト。ずっとそうしてるつもりか?」
返事がなければ動きもしない。
「リンネちゃんだいぶ心配しとったで」
"リンネ"
そのワードに少し目が動く。
「……たい」
「は?」
「リンネに…会いたい…」
「はぁ〜…どこまででも惚気けよる。会いたいのは分かるけど今の状態で会ったらそれこそ心配するんとちゃうんか?会いたいならしっかり食べてしっかり寝て元気な状態で会ってやりぃや」
また動かなくなる。
白夜は下に降り、またおにぎりを作る。
そして、再びヤマトの元に。
「なぁ、ヤマト」
ヤマトの胸ぐらを掴み顔をあげさせる。
「ええから食えよ」
おにぎりを持ち無理やり口に突っ込む。
「あ"…っ?!」
吐き出そうとする口を押さえ咀嚼させる。
「う"ぇ…っ!!」
吐き出すのも構わずまた口に突っ込む。
「な、にしてくれてんだテメェ…っ!う"っぇ"…っ」
白夜は強く拳を握り思い切りヤマトに向かって殴る。
「アホかテメェは。子供みたいにウジウジしよって。そんな奴がリンネに会いたいだ?自分の感情管理も出来ひんやつが大層なこと言ってんなや」
鋭く白夜を睨む。
「なんや。睨むほど元気が出たか?なぁ、過去に縋って苦しんではるとこ悪いけど今はどうなんや?リンネちゃんがおるなら幸せとやないんか?」
「…」
「また黙りか。苦しむのは今が幸せやからや」
わかってる。今が幸せってことを。
ただ…
誰かも分からない人物を忘れる罪悪感。
この罪悪感をどうすればいいのかわからない。
「ヤマト。お前は黄泉様のことでも悩んどった。それが少し前にやっと進んだ。同じことや」
「人生ってな、茨道しかないんや。けど、それがどうした。茨道でも道はある。傷ついても痛くても前に進めヤマト!!」
指が動く。
自然と拳を握る。
「バッカみてぇだな…俺は…お前にここまで言わせてしまうとは…けど、すまねぇ。無理なんだ」
白夜は眉を顰める。
「頭に縋る声、記憶。忘れたらもう引き返せなくなってしまう…どうすりゃいいか分かんねぇんだよ」
「分からんなら全力で答えを見つけ出せ。甘えんな。お前は自分に甘い。すぐ逃げる。逃げた先になにがあるんや?逃げた後はどうするんや。ええ加減にせぇよ」
低く
ゆっくりとした口調。
「俺はお前が大事や。初めての友達であり、俺にとっては親友やからな。一緒に肩並べて前に進みたいんや。せやから、」
ゆっくり
ゆっくり
肩に触れる。
「お前の…ヤマトの痛みを一緒に背負ったるわ」
「なん、だそりゃ…ははっ…お前でもくさいセリフって言うんだな…」
「確かに言う通りだ…この状態でリンネには会えねぇ…」
ヤマトは頬を思い切り叩く。
「過去のことはゆっくり思い出す。焦ったのが悪い。悪ぃな白夜」
ヤマトの目には光が宿る。
拳を白夜の前に出す。
「ほんま、堪忍して欲しいわ…」
白夜も拳を前に出し軽くぶつける。
「あーあ、なんか普通に戻ったら腹減ったな…なんか作るか」
「いや、このおにぎりどないすんねん」
「お前が食っていいぞ?俺はなんか作ってこよーっと」
「てめぇに肩貸したのが間違えやったわ!!!このクソ犬!」
ヤマトは立ち止まる。
「ありがとな白夜。お前のお陰で吹っ切れた。お礼にお前の好きなもん作ってやるよ。あと、」
「俺もお前のことは親友だと思ってるから」
白夜は一瞬目を開き、
すぐ笑う。
「ははっ、そりゃあ楽しみやわ。揚げさんでなんか作ってや〜」
「しゃーねぇな」
2人は下に降り料理をする。
今はリンネがいるから過去は、
ゆっくり思い出せばいい。




