それはいつもの日常
朝起きると味噌汁の匂い。
重い体を起こし階段を降りる。
「はよ〜」
「おはよう、ヤマト。今日は遅いんだな」
サクヤの頬には絆創膏。それでも味噌汁をお椀に入れていた。
「なーんか疲れてたみたいだ。怪我はもういいのか?」
ニコは笑う。
「ええ!すっかり!サクヤも能力で治したから大丈夫よ」
「にしても、異型が急に襲ってくるとはね…」
「それはよかった」
窓を開ける。
晴天。
今日も風が気持ちがいい。
「まだ起きてきてないのか…」
ポツリと呟き、ヤマトは階段を上がる。
「ヤマト?みんな起きているわよ?」
聞こえてないかのようにヤマトは部屋に行く。
ドアをノックしようとしたところで気づく。
「あれ…俺何して…」
「ヤマト!」
横を見るとニコが立っている。
「どうしたの?暑さで頭やられた?物置部屋に誰を起こしに行こうとしてるのよ」
「わりぃわりぃ。寝起きで頭回ったなかったみたいだ」
「変なの。先行くわね」
"ヤマトって変だよね"
「…っ?!」
頭に響く声。だが、誰の声かは分からない。
「ヤマト?」
「なんでもねぇ…今行く」
今のは誰だ…?
「おはよぉさん」
「白夜…」
「えらい顔してはりますなぁ…ほら、ニコちゃん呼んどるから行こうや」
「なぁ、白夜…俺らってどうやって出会ったっけ…」
頭を抱え、俯く。
「何言っとんの…俺らはずっと昔から一緒にいたやろ。半妖の王が即位され俺らを追放した。人間を襲う王を止めるために俺らは集まっとる」
「そう、だよな?」
じゃあ、あの少女は一体…
笑う顔。
泣いた顔。
どこか張り付くのに黒く塗りつぶされ思い出せない。
ヤマトは息を吐き、階段を下りる。
「サクヤー、醤油取って」
「はい」
「ありがとう。ところでヤマトと狐。買い物行ってきてくれる?」
「えぇー…なんでこいつと…」
ヤマトは嫌な顔をし、白夜を見る。
「はぁ〜?そんなん俺やって嫌やし」
「ワガママ言わないの。2人は幼なじみなんだから」
ニコの圧に勝てず2人は頷く。
太陽が刺さる。
「あっちぃ…あいつぜってぇ暑いから俺らに行かせただろ」
「ほんまにな…ニコちゃんには敵わへんわ」
横切る銀髪。ヤマトは足を止める。
止めた先に見えたのはたい焼き屋。
「…」
ただジッと見つめる。
たい焼き…
小さいひと口…
「ヤマト?お前なんか今日変やで?」
「…なんか、忘れてる気がするんだ…あれは誰だった…?」
白夜はため息をつく。そしてヤマトの頭を叩く。
「俺らずっとあの双子と過ごして来たんに他におったはないやろ。あの日、赤い空…あの日に黄泉様は殺された。それから俺らは半妖の王をただ殺す。それだけ」
「そう、だよな…」
「前王を殺され、たった一人息子の黄泉様も殺された。王が不在となり前王と黄泉様を殺した半妖なゆた…あんな小さい子供が王になるとはな」
白夜は拳を握る。
ヤマトはただ、たい焼き屋を見た。
「なんや、ヤマト。たい焼き食いたいんか?」
「食ってこうぜ。せっかくだし」
2人はたい焼きを買い、口に運ぶ。
「ニコは鼻がいいから怒られるかもな」
「はぁ?!それ先言えや!」
ヤマトは笑う。
ずっと過ごしてきたこの4人の組織。百鬼夜。
ただ、
半妖の王、なゆたを倒すため。




