↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
135/181

ただの妹

眠るなゆたはずっと魘されている。


「服…」


軍服のままでは寝れない。

ヤマトはその場を離れ、かつて使っていた自分の部屋に行く。


懐かしい部屋。


「俺の服、そのままにしてあるんだな」


ひとつ取り出し濡れたタオルを持ち、なゆたの元に戻る。


柔らかい頬。


長いまつ毛。


綺麗な銀髪。


ボタンに手をかけたところで思考が止まる。


汗だくの身体。


苦しそうな顔。


「……あー…そっかぁ…まじかぁ…」


大きなため息。ベッドに顔を伏せ深呼吸する。


なゆたは妹。


それ以外の感情は消す。


そう、それだけ。


覚悟を決め、ボタンを取る。

身体を拭き、服を着させる。


「……はぁ〜〜しんど…」


けど、


「しんどいのはなゆたも一緒か…」

「こんな俺でごめんな。なゆた」


軍服を綺麗に掛け、ベッドの横に座る。


「月、綺麗だな」


ただ静かな空間がヤマトを縛る。


月は好き。なゆたと同じ色をしているから。


夜も好き。俺という存在を否定しないから。


百鬼夜が好き。俺が俺で居れるから。


なゆたが好き。世界でたった1人の家族だから。


「愛してるよ。なゆた」


髪を撫で額を合わせる。


「大丈夫。そんな苦しい顔すんな。兄ちゃんがずっと隣にいるから」


そのまま横になり目を閉じる。


"あの人間にさえ会わなければお前とも会わなかった"


"化け物…あんたなんか産まなきゃよかった!!"


"顔も見たくない!父親そっくりな顔して!"


「ヤマト」


"このまま殺してしまおうか…あんたなんか家族だと思ったこと1度もないよ!!"


「兄ちゃん」


「……っ!」


目の前にはなゆた。


呼吸が荒れる。


「はっ…っ、はぁっ……」


「…大丈夫?」


心配そうな顔。外は明るい。

身体から汗が伝う。


「なゆ、た……」


「おはよう。着替えさせてくれたんだね。ありがとう。魘されてたけど…怖い夢でも見た?」


「俺…」


震える手。


なゆたはそっと抱きしめる。


「大丈夫だよ。ボクはここにいる。怖くないよ。昨日は心配かけてごめんね。もう大丈夫」


力強く抱きしめる。


血の繋がりがある親でさえ拒否して家族として見てもらえなかった。

なのに、目の前にいる少女は血の繋がりがないのに家族だと、兄だと言ってくれる。


「……ごめん、落ち着いた」


「うん。でも、ボクがもう少しだけこうしてたい」


大きいシャツ1枚。

なゆたは気にすることなくただ抱きつく。


「…」


小さく息を飲み込む。


「なゆた」


「ん?」


「あー…昨日のこと覚えてるか?」


「……覚えてない。封印の場所に行ったことは覚えてる。そこから頭痛がして記憶にない」


「そうか。今が元気ならそれでいいよ」


首に光るネックレスをなゆたは指でなぞる。


「…似合ってるね。それ」


「なゆたが選んだやつだろ?そりゃあ似合うさ」

「さてと、飯でも食うか。今日も色々忙しくなりそうだし。ニコたちに連絡入れとくから先に行ってくれ」


「わかった」


馬乗り状態から降り、部屋の外に行く。


「きっついな…ニコたちに連絡…ってちょっと待て」


なゆたの服を思い出す。


「な、なななゆたさん?!?」


慌てて部屋の外に出る。


なゆたが振り向くと同時に白夜が出てくる。


「おはよぉさん2人とも。って、なゆたその格好なんや…?」


「これはヤマ────」


「ストーーーーーップ!!!なゆた〜?着替えてから行こうな?」


その瞬間、白夜はヤマトの胸ぐらを掴む。


「おいコラクソ犬…一線は超えんって話しやったんとちゃうんか?」


「超えてない超えてない超えてない!!!黄泉に誓って一線は超えてない!」

「軍服のまま寝かせられねぇし、汗だくだったし」


「お前……」


白夜は手を離し、肩に手を置く。


「まじで頑張っとるんやな…同じ男として同情するわ…」


「いらねぇよ!!」


「兄ちゃん」


呼ばれ振り向く。

軍服姿のなゆた。

手には先程着ていたシャツ。


「あー、それもう小さくて着れねぇし捨てるからこっちちょうだい」


なゆたは大事そうに抱える。


「ダメ。ボクがもらう」


「なゆたにしてはデカくないか?」


「いいの」


頑なに離さないなゆたに諦める。


「ほら、行くぞ。今日は忙しい」


クロガネが出迎える。


たわいない話をしながら食事をし、ニコとサクヤに状況報告。


ただ、


2人からの連絡はまだ返ってこない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。