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増えた宝物

「白夜、本当に来ないのかな」


「調べもんあるって言うししゃーねぇよ」


横に並び街に出る。


走り回る子供。


話をしている女性。


平和そのものを表す。


「2人きり…じゃあ、」


なゆたは手を繋ぎ、ヤマトの顔を覗き込む。


「デートってやつだね」


「ぜってぇニコの入れ知恵だろそれ。まぁ、そうだな。せっかくのデート思う存分楽しもうぜ」

「ほら!行くぞ!」


手を引かれ走る。


「ま、まって…!」


どこか懐かしい街なのに新鮮に見える。


「お団子…!」


「寄ってく?」


2人は団子屋に寄る。


「すみませーん、みたらし団子2つお願いしまーす」


「はいよー…って、王様?!」


店主はなゆたの姿を見て頭を下げる。


「みたらし団子3つお願いします」


「2つも食うの…?」


「今お持ちしますね」


団子が来るのを2人は待つ。

目線が刺さる。


「なんか、すごく見られてる…」


なゆたは恥ずかしそうにヤマトのマントの中に入る。


「そりゃあ、王が街にいたら物珍しさで見てしまうだろ」


「やだなぁ…」


その瞬間、


後ろから声がする。


「あたしらの王様がこんな可愛らしい方なんてね」


振り向くと首の長い女性。


ろくろ首。


「はい!みたらし団子3つね」


「ありがとうございます。やっぱ王が街にいると威圧的ですか?」


ヤマトはなゆたに1つ団子を渡しながら聞く。


「威圧的というか珍しさだね。ほら、8年正式な王様がいなかっただろう?そこに小さな女の子があんなカッコイイ演説したらそりゃあ興味も持つさ」


なゆたは話など聞いておらず団子を頬張る。


「なるほど…でも、上手くまとまって良かったっす」


「あんたは…王様の側近かい?」


「そう───」


「ちがう。兄ちゃん」


「兄ちゃん?」


ろくろ首は長い首を傾げる。


「あー…まぁ、側近です」

「昔から一緒にいたんで懐かれてるだけっすよ」


なゆたは眉を顰め、ヤマトを見る。


「そうなのかい!そりゃあ王様も安心だ。これオマケね」


団子を2つまた貰う。


「…ありがとう」


「王様に感謝される時が来るとはね長く生きている甲斐があるよ。また寄ってっておくれ」


手を振りその場を離れる。


「オマケの2つは白夜にでもあげようか」


「…ねぇ」


「ん?」


ジッとヤマトを睨む。


「なんで嘘ついたの」


「俺が兄って知られたらなゆたの立場が無くなる。俺らの立場を守るためだよ。ごめんな」


「…わかった」


不満そうに頷く。


「あ!王様のおねーちゃんだ!」


「ほんとだー!」


子供たちがなゆたの元に来る。


「あ、えっと…」


「大嶽丸さんとの戦い見たよ!強かった!」


「ね!凄かった!どうやって強くなったの?」


「えぇっと…」


戸惑うなゆたはヤマトに助けを求める。だが、ただ腕を組んで笑うだけ。


「…えっと…あそこに居る赤い髪の…犬の兄ちゃんに教えてもらったの」


「えー!すごーい!」


次の標的はヤマトに移る。


「俺にも教えて!」


「弟子!俺、弟子になる!」


「弟子だぁ?100年早えーよ」


イタズラに笑うヤマト。

そんな姿を見てどこか懐かしく思う。


「ケチだ!ケチ犬!」


「あ!今なんつったクソガキ!こっち来い!大人の怖さってやつを教えこんでやる!覚悟しろよ!」


笑いながら両手を広げ子供たちを追いかける。


「わー!妖怪だー!犬の妖怪が来るぞー!」


はしゃぐ子供とヤマトを見てなゆたは振り返る。

そのまま歩き出し、その場を離れる。


ヤマトが誰かに囲まれて笑っている。


それを見ていると、胸の奥が少しだけモヤついた。


「なゆた?」


しばらくしヤマトがなゆたに気づく。


「…迷子か…?」


その場を離れることができずしゃがみ込む。


ここは妖気が多すぎて分かりにくい。

匂いも色んなもんが混ざって機能してない。


「もー…どこ行ったんだよぉ…」


その瞬間、後ろから抱きつかれる。

振り返るとなゆたが立っていた。


「なゆた!」


「心配した?」


「そりゃあ心配したよ。どこ行って──」


首に違和感。目を下げるとそこには


シルバーのネックレス。


「これ、は…?」


「ボクのって証。お守りだよ」


そっと優しく触れる。


「兄ちゃんは犬だから首輪必要かと」


「どこでそんなジョーク覚えたんだ?怒らないから教えなさい」


なゆたは目を逸らし口を閉ざす。

そんななゆたを見てふと笑う。


「なゆた」


ヤマトは跪き、なゆたの右手を手に取る。


そして、


そっと指輪を付ける。


「お返し」


指輪を付けた指に軽いキスをする。


「…綺麗だね」


「本当はもっと前に渡そうと思ってたんだ。似合ってる」


小さな手に光る指輪。

大事そうに手を押さえる。


「帰ろうぜ。白夜が待ってる」


「うん」


手を繋ぐ。


夕暮れの空がただ静かに2人を照らす。


首に光るネックレス


右の薬指に光る指輪


また1つ宝物が増える。

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