再戦
目を覚ましたヤマト。
夢を見てヤマトが決めた覚悟とは。
笑う子供。
晴天。
全て上手くいっていた。
黄泉。
死ぬ。
なんで壊れた?
誰かが黄泉を連れていく。
あれは誰だ。
「…ト…」
誰かが呼ぶ。
「ヤマト…!」
ゆっくり目を開ける。目の前にはニコの顔。
「ニ、コ…?」
「…っ!ヤマト!意識と痛みは?!」
まだボーッとする。
俺は何して…
ふと刺されたことを思い出す。
勢いよく身体を起こし、隣を見る。
隣には涙でグシャグシャのなゆたがいた。
「兄、ちゃ…兄ちゃん!!!!」
勢いよく抱きつく。
離れないで
まるでそう言ってるかのように強く抱きしめられる。
「すまねぇ…心配かけちまった」
「ほんま焦ったわ…ガチで死んだんやないかって…まぁ、それはそれでなゆたとの新婚旅行プラン考えとったけど」
「それは残念だったな。ごめんな、なゆた…」
頭を撫で落ち着かせる。
サクヤとクロガネも肩を下ろし安心する。
「…睦月…」
「睦月?」
「俺は夢を見て…」
頭を押さえる。なゆたがまだ心配そうに見つめていた。
「なゆたが無事ならそれでいいんだ。俺も簡単に死ねねぇ」
目から落ちる涙を指で拭う。
「少し休もう。まだヤマトが万全じゃない」
「…いや、行こう」
「行くって言ったって…」
「祢々切丸は黄泉の中にある。黄泉か祢々切丸か…俺は…」
「俺は祢々切丸を選ぶ。黄泉は元は死んだ身体。それを無理やり起こして使われて可哀想だろ。早く眠らせてあげたいんだ」
やっと出た答え。
黄泉は死んだ。
あの日、あいつが黄泉を連れ去り生き返らせた。
だったら、眠らせてあげるのが友達だ。
「祢々切丸は黄泉様の中って…」
「なゆたはそれでええんか?仮にも血の繋がった兄やろ?」
「…」
「なゆた?」
返事がない。ハッと顔をあげる。
「ボクもそれでいい。兄ちゃんと同じ意見だ」
誰も気づかない。
黒い闇のような光に。
「このまま第2の奇襲しよか」
白夜は刀を持つ。
「ねぇ、ヤマト…本当に大丈夫なの…?」
「問題ねぇ。ありがとうなニコ」
それぞれ武器を持ち部屋から出る。
「サクヤ」
なゆたの足が止まりサクヤが振り返る。
「ヤマトとボクを置いて先に逃げて欲しい」
「何言ってるんだ」
「いいから」
「これは命令だよ」
ゾワッとする。その目はどこか淀んで見えた。
何も言えなくなりただ頷く。
なゆたなのに冷や汗が出た。
「兄ちゃん」
ヤマトの手を掴む。
「行こう。ボクらの問題に終止符を打とう」
「は?ちょっ…なゆた!」
強引に手を引きそのまま手すりをを超え飛び降りる。
「ちょ!2人とも」
追いかけようとするとサクヤが止める。
「行くな。これは王の命令だ。なにか策があるんだろう。俺たちは逃げるぞ」
「2人で向かうとか…なゆた、気ぃ狂ったんか?」
「いや、あれはもう止められん。俺たちの命も危なくなる。ヤマトがいるから大丈夫だ」
ニコは心配そうに小さくなる2人の背中を見る。
「けど、今のヤマトには…」
「ニコ、俺たちが生きるのが優先だ。それに」
「なゆたはもう手遅れだ。狐」
「だったら余計に…!」
「なゆたも分かった上でヤマトを連れて行った。自分を止めてくれる唯一の人物を」
「まぁ、ニコちゃん。あの2人を信じようや。心配なのもわかるけど」
白夜は目を細め2人を見る。
「頼んだで、ヤマト」
「おい…!なゆた!2人じゃ勝てねぇって」
「勝てる。兄ちゃんが決めたなら勝てる」
「けど…っ!」
なゆたの足が止まる。
金色の月のような目の光は雲に隠れたように濁っている。
「行こう、ヤマト」
「行かなくてもこっちから迎えたぞ。半妖ども」
「なんだ、赤夜叉。死んでいなかったか」
なゆたは目線だけ向ける。
「無駄に走らなくて済んだみたいだね」
目の前には如月と黄泉。
「死ぬ覚悟を持って来たんだろう。ならば次は確実に殺す」
「ボク、君に怒っているんだ。大事な人を傷つけて黙ってはいられない。だから…」
なゆたは黒い瞳で笑い、大鎌を出す。
「さっさとくたばれ人間風情が」
なゆたが風と共に消える。
後から音が追いつき、気づけば如月と刃を交えている。
「君もさっさと死んでもらうよ赤夜叉」
その呼び名に、ヤマトの瞳が僅かに揺れる。
「そうだな、黄泉。思い出したよ…お前は安らかに眠ってくれ」
ヤマトは静かに大剣を取り出し黄泉に向かって走る。
再び始まる決戦。
ここまで見てくださりありがとうございます。
なゆたってヤマトを見ているので口悪かったりします。可愛いね




