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3つの選択肢

ずっと探していた祢々切丸。あった場所とは───

「そろそろなゆたを返してほしいんだけど」


「悪いがそれは出来ない」


「なぜ?」


ヤマトは剣を肩に担ぐ。


「黄泉、てめぇを連れて帰る」


「…」


ジッとヤマトを睨む。


「そんなの必要ない。俺はなゆたさえ──」


「お前が必要なかろうが俺は必要なんだ」

「帰ってきてくれ黄泉…っ!」

「そして、また昔みたいに───」


「はぁ…何言っても聞いてくれなさそうだね。だったら君を殺してなゆたを手に入れる」


ヤマトは奥歯を噛み締める。


「…んで…」

「なんでそんなこと言うんだよ!!俺の事忘れたなら忘れたでいいさ!けど!!」

「なゆたを物みたいに言ってんじゃねぇよ…」


「ヤマト!!」


振り返ると如月と戦うなゆたの姿。


「感情的になるな。相手の思うつぼだよ」


頷き、息を吐く。


「ぜってぇ連れ戻す。目的はそれだけだ。黄泉」


「しつこい!」


刀を振り上げる。だが、ヤマトは交わす。

ただ交わすだけ。


「思い出せよ黄泉。俺らが笑いあった日、初めて剣を交えた日…そのお陰で今の俺がいんだよ」

「お前にとって俺たちはその程度だったのか?!なぁ!」


「だから、そんなの知らないよ」


ヤマトはただ避け続ける。

攻撃を仕掛けようともせず。


「攻撃してこないの?殺されるよ?」


「…くっそ…っ!」


避け続ける。


すると、


背中になにか当たる感触。

振り返るとなゆたが居た。


「大丈夫か、なゆた」


「うん。兄ちゃんは?」


「俺も平気だ」


ジッとお互いの相手を見る。

すると、如月が笑う。


「はっはっは…祢々切丸が欲しいと言っていたな」


「そうだよ」


「何処にあるか教えてやろう」


指先に力が入る。


「祢々切丸は…」


如月が真っ直ぐ指をさす。

2人はその指の方向を咄嗟に見た。


「黄泉の身体の中にある。取り返そうと抜けば黄泉は死ぬ」


思考が停止する感覚。

ヤマトは目を見開く。


「なん、だよそれ…おい、冗談笑えねぇぞ」


声と指が震える。


「冗談ではない。あの日、死んだ黄泉に祢々切丸を埋めた。そうしたら、蘇った。どうする?それでも祢々切丸が欲しいと言えるか?」


ヤマトの呼吸が荒くなる。


祢々切丸を使えば能力は戻る。

けど、そうすれば黄泉は死ぬ。

一体どっちを…


「じゃあ、黄泉を殺す?」


なゆたが静かに言う。


「……は?」


「どうするかは兄ちゃん次第。けど、ボクには太陽が必要だから」


そう言ってなゆたは如月に向かう。


俺次第…どうしろって言うんだ…


「殺すか殺されるか」

「俺が自害するか」

「3つも選択肢がある。どうするの?赤夜叉」


「その異名はお前から1番聞きたくねぇ…」


足が動かない。


悩んでる暇などないのに


頭では分かっているのに


動かない。


「あ"ぁぁぁっ!!!!くそっ!!!!なんでだよ!!!!どこまで俺たちを追い詰めれば気が済むんだよ!!!!!!なぁ!!!!誰か教えてくれよ!!」


膝から崩れ落ち、小さく呟く。


「俺は…どうすれば、いいんだ…?」


誰も答えてくれない。

そんなことわかってる。


「兄ちゃん…っ!!」


なゆたが押されてる。力をフルに使えてない。

それなのに俺はなんで戦えないんだ…黄泉がいるから?


でも、黄泉が居たら俺の場所は…


「ダメだ…兄ちゃん!!」


ヤマトの手首を掴み、なゆたは柱の陰に隠れる。


「ごめ、ん…なゆた…俺はまた…っ迷って…」


「大丈夫。少し、落ち着こう…」


なゆたはただ周りを警戒する。


「ボクは、決断しているよ。最初から」


「決断…?」


「ボクは血の繋がりより絆を選んだ」

「ヤマトがそうじゃないって思うのもわかる。それでも、」

「今のボクには兄ちゃんが必要だから」


握られる手が震えている。


あぁ、なゆたも怖いのか…

妹に辛い決断させるなんて


「俺はとんだ大馬鹿者だな…」


「話は終わったか?」


影が2人を覆う。顔をあげると如月が刀を上げて立っている。


「2人諸共殺すぞ。忌み子ども」


間に合わない…っ


なゆたは刀を出そうとすると、


ドンッ


押され後ろに飛ぶ。


その瞬間、


舞う血飛沫。赤い髪。

なゆたの瞳に赤いっぱいの色。


「兄、ちゃ…?」


「ちっ、庇ったか」

「だが、次は────」


「あ"ぁあ"ぁぁぁぁああっ!!!」


地面が揺れ、耳を割くような叫び声。思わず耳を塞ぐ。


「兄ちゃっ、兄ちゃん!!!!!」


すぐ駆け寄り揺らす。


腹と口から大量の出血。


それでも優しくなゆたを見た。


「……っな、ゆた…無事か…?」


「やだっ…!兄ちゃん!!!ねぇ!!!!」


「すぐお前もそいつの元に───」


「少し…黙れよ…っ!!!!」


目だけで感じる圧。


黒く。


まるで底が無いほどの、


黒。


如月の動きが止まる。

その隙を見て、なゆたはヤマトを抱え札を地面に貼る。


転送術式


誰もいない部屋。

なゆたとヤマトだけ。


「兄ちゃん…兄ちゃん…っ!」


「泣くな、よ…なゆた…兄ちゃんはここに居る…」


「やだ…やだやだやだ!!!嫌だ!!!」


なゆたは頭をフル活用し考える。


死なない方法…っ

ニコたちは…?!


必死に血を止める。


「いやだ…死なないで…兄ちゃん…」


目にたくさんの涙。


大丈夫だって…ちょっと切られただけだろ…

考えすぎたのか眠い…

すまねぇ、なゆた。

少し、


「ねか、せてくれ…」


「…っあ"ぁぁぁぁあああ!!!!!」


なゆたの声に白夜の耳が動く。


「なゆた…?」


4人は足幅を大きくし声のする方に向かう。

そこには泣きじゃくるなゆたと大量の血を流し倒れているヤマトの姿。


「ヤマト?!」


ニコはすぐに駆け寄り能力を使う。


「やだ…っ!やだぁ!!兄ちゃん…兄ちゃん!!」


「なん、やこれ…」


「白夜、俺たちの気配と姿消せるか?」


「任せとき」


札を入口の前に貼る。その瞬間、その場にいた妖気と姿は消える。


「なゆた、落ち着きなさい。治せない傷じゃないわ」


私の妖力が減らない…能力を使えば多少減るのに…無意識になゆたが出している…?


「けど、まぁ…助かるわ」


「ヤマト…てめぇ絶対死ぬなよ…っ!死んだらてめぇの大事な妹貰うからな…」


白夜はヤマトのそばに行き、強く手を握る。

サクヤとクロガネは念の為、入口を見ている。




「…ト、ヤマト!」


「うわっ、なに?」


「なにボーッとしてんの?ほら、ザリガニ釣り行くんだろ?行こうよ!」


なんだこの夢…

あれは俺と…


「睦月…?」


太陽の下で揺れる白い髪の少年、と赤い髪の少年。

白い少年は笑ってヤマトに手を差し伸べる。

ここまで見てくださりありがとうございます。


まさかのまさかです。

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