その声は
黄泉を取り返そうと必死になるヤマト。
なゆたはその中で頭に響く声。その声とは───
「黄泉…っ!」
「ダメ…!ヤマト…!!今行けば確実に殺される…!」
「でも…っ!!!」
黄泉は気を失っている様子で柊に抱えられている。
ふとニコたちを見る。
白夜が動けない…白夜さえいれば逃げれるのに…
そういえば
ボクの能力って
なんだ?
みんなは能力を使っているのにボクだけ…
「ヤマト…」
「ボクの能力ってなに…?」
「…っ、なゆたの能力…」
「それは…」
その瞬間、
空気がさらに重くなる。立ち上がれないほどに。
「柊くん」
「はい」
「このまま黄泉を連れて戻れ」
「…っ!まて!!」
ヤマトはなゆたから離れ黄泉を追いかける。
「ヤマト!!」
ヤマトに被る影。目線をやると目の前には相手の隊長。ヤマトに向かって刀を振っていた。
「ヤマ⎯⎯⎯」
「何回邪魔すりゃ気が済むんだよ!!!」
咄嗟に出した大剣で受け止める。
「貴様らに黄泉を奪われる訳にはいかぬ」
「だったら全力で奪うだけだ」
そうしている間に黄泉と柊は帳の外に消える。
「…クッソ…っ!!!どいつもこいつも邪魔ばっかしてきやがって!!」
なゆたは隙を見てニコと白夜に近づく。
「ニコ…!」
「ヒメ…っ、どうしよう…傷はある程度塞げたけど…妖力が…っ」
「大丈夫…」
白夜の腕を掴み、息を吐く。
思い出せ。ボクの能力を…ボクは皆を守らなくちゃいけない。だから…っ
白い光が白夜を包む。
「…っあ"…」
「白夜…っ!」
「ニコ、サクヤここを頼んでもいい?」
「わかったわ…ヒメは?ってヒメ!その怪我…今すぐ─」
「大丈夫。それよりボクは、」
ヤマトが敵の隊長と戦う姿をじっと見る。
「兄ちゃんを止めに」
強く踏み込み一気にヤマトのところに向かう。
「ほんまあの能力…便利やわ…迷惑かけてすまんな…」
白夜は薄く目を開けなゆたを見る。
「もう少し休んでなさい。私はサクヤの助けをしてくる」
そう言い走り去る。
「もう少し…あともう少しやから辛抱しとき…みんな」
「ヤマト…!」
声が届いてないのか、集中しているのかわからない。
だが、
相手、全然本気出してない。
余裕すぎる。
このままだとヤマトが倒れる。どうすれば…
次の瞬間──
ヤマトの腹が浅く切られる。
「兄ちゃん…っ!!」
足を出そうとした瞬間
"またあの日みたいに暴走しちゃえば?"
頭の中で声が響く。
「…だれ」
"暴走すれば相手の隊長を殺せるよ"
"どうせいつか爆発するんだ。それが今ってだけ"
ボクの声…?
暴走すればいい…?
けど、
「暴走して暴れるのはボクらしくないことだけはわかる」
大鎌を出し振り上げる。
トドメを刺されそうな直前で止める。
「ボクの仲間にちょっかい出さないで」
「次はお前が相手か?」
「…いや、違う」
相手の目を見る。押しつぶされそうな威圧。
それでも、
それでもなゆたは逸らさない。
「いきなりすぎた。今日は一旦引く。白夜…!」
「はーい」
なゆたの影から現れる白夜。
相手は目を丸くさせる。
「なっ、さっきまでそこに…」
有馬は先程まで白夜がいた場所を見る。だがそこには誰もいない。
「影移動…?」
「黄泉様のことは気になるけどそれより仲間が危ないからなぁ…今日はここでおいとまさせてもろうわ。隊長はん」
白夜が札を取り出す。
「転送術式。ほんじゃらまたな」
なゆた、ヤマト、そしてニコとサクヤの足元に六等星の光。
地面に沈むかのように半妖達は消える。
「どこまでもやられますね…隊長」
「本当にな。どいつもこいつも厄介な相手だ…」
「あー!!」
白雪は大きな声を出す。あまりにも大きい声に思わず耳を塞ぐ。
「なんですか…副隊長…」
「今日、ヤマトくんとお話してない!!!最悪〜…」
「まぁ、いっか。あの百鬼夜とかいう組織…次で終わりにするから」
その言葉と同時に帳が落ちる。月の光が3人を照らした。
ここまで見てくださりありがとうございます。
白夜生きてて良かったネ




