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月下の半妖  作者: 霜月パラド
半妖の鬼と特務退魔課
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103/105

その声は

黄泉を取り返そうと必死になるヤマト。

なゆたはその中で頭に響く声。その声とは───

「黄泉…っ!」


「ダメ…!ヤマト…!!今行けば確実に殺される…!」


「でも…っ!!!」


黄泉は気を失っている様子で柊に抱えられている。

ふとニコたちを見る。


白夜が動けない…白夜さえいれば逃げれるのに…


そういえば


ボクの能力って


なんだ?


みんなは能力を使っているのにボクだけ…


「ヤマト…」

「ボクの能力ってなに…?」


「…っ、なゆたの能力…」

「それは…」


その瞬間、


空気がさらに重くなる。立ち上がれないほどに。


「柊くん」


「はい」


「このまま黄泉を連れて戻れ」


「…っ!まて!!」


ヤマトはなゆたから離れ黄泉を追いかける。


「ヤマト!!」


ヤマトに被る影。目線をやると目の前には相手の隊長。ヤマトに向かって刀を振っていた。


「ヤマ⎯⎯⎯」


「何回邪魔すりゃ気が済むんだよ!!!」


咄嗟に出した大剣で受け止める。


「貴様らに黄泉を奪われる訳にはいかぬ」


「だったら全力で奪うだけだ」


そうしている間に黄泉と柊は帳の外に消える。


「…クッソ…っ!!!どいつもこいつも邪魔ばっかしてきやがって!!」


なゆたは隙を見てニコと白夜に近づく。


「ニコ…!」


「ヒメ…っ、どうしよう…傷はある程度塞げたけど…妖力が…っ」


「大丈夫…」


白夜の腕を掴み、息を吐く。


思い出せ。ボクの能力を…ボクは皆を守らなくちゃいけない。だから…っ


白い光が白夜を包む。


「…っあ"…」


「白夜…っ!」


「ニコ、サクヤここを頼んでもいい?」


「わかったわ…ヒメは?ってヒメ!その怪我…今すぐ─」


「大丈夫。それよりボクは、」


ヤマトが敵の隊長と戦う姿をじっと見る。


「兄ちゃんを止めに」


強く踏み込み一気にヤマトのところに向かう。


「ほんまあの能力…便利やわ…迷惑かけてすまんな…」


白夜は薄く目を開けなゆたを見る。


「もう少し休んでなさい。私はサクヤの助けをしてくる」


そう言い走り去る。


「もう少し…あともう少しやから辛抱しとき…みんな」



「ヤマト…!」


声が届いてないのか、集中しているのかわからない。

だが、


相手、全然本気出してない。

余裕すぎる。

このままだとヤマトが倒れる。どうすれば…


次の瞬間──


ヤマトの腹が浅く切られる。


「兄ちゃん…っ!!」


足を出そうとした瞬間




"またあの日みたいに暴走しちゃえば?"




頭の中で声が響く。


「…だれ」




"暴走すれば相手の隊長を殺せるよ"

"どうせいつか爆発するんだ。それが今ってだけ"




ボクの声…?

暴走すればいい…?


けど、


「暴走して暴れるのはボクらしくないことだけはわかる」


大鎌を出し振り上げる。

トドメを刺されそうな直前で止める。


「ボクの仲間にちょっかい出さないで」


「次はお前が相手か?」


「…いや、違う」


相手の目を見る。押しつぶされそうな威圧。


それでも、


それでもなゆたは逸らさない。


「いきなりすぎた。今日は一旦引く。白夜…!」


「はーい」


なゆたの影から現れる白夜。


相手は目を丸くさせる。


「なっ、さっきまでそこに…」


有馬は先程まで白夜がいた場所を見る。だがそこには誰もいない。


「影移動…?」


「黄泉様のことは気になるけどそれより仲間が危ないからなぁ…今日はここでおいとまさせてもろうわ。隊長はん」


白夜が札を取り出す。


「転送術式。ほんじゃらまたな」


なゆた、ヤマト、そしてニコとサクヤの足元に六等星の光。

地面に沈むかのように半妖達は消える。


「どこまでもやられますね…隊長」


「本当にな。どいつもこいつも厄介な相手だ…」


「あー!!」


白雪は大きな声を出す。あまりにも大きい声に思わず耳を塞ぐ。


「なんですか…副隊長…」


「今日、ヤマトくんとお話してない!!!最悪〜…」

「まぁ、いっか。あの百鬼夜とかいう組織…次で終わりにするから」


その言葉と同時に帳が落ちる。月の光が3人を照らした。

ここまで見てくださりありがとうございます。


白夜生きてて良かったネ

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