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月下の半妖  作者: 霜月パラド
半妖の鬼と特務退魔課
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104/104

逃げた先は

特務退魔課から逃げた5人。

変わり果てた黄泉を見てヤマトは何を思うのか

「本気であの組織やばいわ…怪我はあらへんか?」


「大丈夫…」


4人がたどり着いた場所は妖怪の国。ニコはすぐにヤマトの治療をする。


「ヒメも腕を見せてちょうだい」


「大丈夫。大したことない」


ヤマトがゆっくり近づく。


「ヤマト…?」


「ニコに治してもらえ…」


「わか、った…」


冷たい空気。ヤマトの顔が見えない。

なゆたは大人しく切られた腕を治療してもらう。


「ごめん、ニコ…」


「大丈夫よ」


「たくさん能力使わせちゃった」


「ヒメ。私はあなたたちの怪我を治すのが役目なの。だから、その役目ちゃんと果たさせてちょうだい」


「…わかった」


ヤマトは柱に寄りかかり座る。


「兄ちゃん…」


行こうとするとニコに止められる。


ただ黙ってニコは首を振る。


「今はそっとしといてあげましょ…」


「うん…白夜」


「ん?」


「どこからあの2人が現れたか教えて欲しい」


白夜は城を見つめる。


「まさか…」


「城からや。いつからおったか分からへん。気配も何も無かった。ただ歩いとったら後ろから刺されあの状態…ほんま、この俺を欺くとかええ度胸してはるわ」


「城にいた…」


昨日、ヤマトを探した時いろいろまわったがどこもなにも変わっていなかった。境界を通ってる間に来たってことか…?


「それでもボクらは負けそうになった」


黄泉…あの人があそこに居なければもう少しなにか出来たかもしれない。

けど…兄ちゃんを止めるので精一杯だった。

まだボクは弱い…


ふとヤマトが居なくなる。


「あれ…ヤマトは?」


「…ボク探してくる」


「なゆた、待って。今あなたが行くと…」


「わかってる…それでも、」


なゆたは拳を強く握る。


「それでもボクは兄ちゃんの妹だからほっとけない」


なゆたはいつでも真剣な眼差しを人に向ける。

その眼差しのせいで誰もなにも言えなくなる。


「…わかったわ。何かあったらすぐ戻っておいで」


「うん」


なゆたを見送ったあと、腰に手を置く。

振り向き、白夜のところに向かう。


「狐、ちょっといいかしら」


「あん時みたいに名前で呼んでくれへんの?」


「誰が呼ぶのよ。ちょっと来て」


ニコは白夜の手首を掴み、中に入る。


「ちょちょ…ニコちゃん?」


大人しく着いていき、部屋の中に入る。


「あの…??」


「私ねさっきからずっと限界だったの」


「げ、限界とは?」


ゆっくり近づき、軍服のボタンに手をかける。


「服を脱いでちょうだい」


「……………はっ?」


「はやく」


「あ、えっと…さすがに今はちゃうんかな〜って白夜さん思うんですけど…」


「何言ってんのよ。今じゃないとできない」


白夜の尾は期待するように揺れる。


「今じゃないと、服直せないでしょ。あんたほんっと服破くの好きね!」


「………………」


同じ手に引っかかった自分を今すぐ殺したい。


白夜はそんな事を思い、ニコの頭にチョップを入れる。


「いっったぁ!なにすんのよ!」


「毎回毎回紛らわしいねんドアホ」


「勝手に期待してるあんたの責任でしょーが!ほら!さっさと脱ぐ!!」


「なぁ、ニコちゃん」


白夜はボタンを外しながらゆっくり近づく。


次の瞬間、


白夜の片手で両手首を捕まれ、上にあげられる。顎を持たれ、すぐ目の前には白夜の顔。


「そろそろそんな風に男を揶揄ってたら痛い目に見るで。なぁニコちゃん」


目は鋭く獲物を捉えたかのような顔。


「……さいよ…」


「あ?」


「離しなさいよ!このバカ狐!!!!」


ニコは思い切り頭突きをする。


「いっっったあ!!!!」


「時間が無いのよ!!早く縫って早くあの2人がいつでも戻ってきてもいいようにしてあげないとでしょ!」


手を離し、額に手を当てる。


「ほんっま暴力的な女!!!」


「あなたが馬鹿なことするからでしょ!!ほら!さっさと脱ぐ!!」


ため息つきながらも服を脱ぎニコに渡す。


「ったく…あんな程度で私を堕とせると思ったら大間違いよ」

「もっとマシな口説きを考えてから出直してちょうだい」


「誰が口説いとんねん!!誰にでもあんな風にしたら危ないでってことや!」


「あら、誰にでもやってる訳じゃないわよ?」


白夜は口角を上げるもその口を手で隠し、


低い声、


「……へー、じゃあ次は本気で行こうか?」


「今は結構よ。ったくこんな派手にやられて…」

「縫うのが大変じゃない」


そう言いながら、傷口だらけの軍服を見て裁縫箱から糸を取り出す。

白夜は真顔に戻りじっと軍服を見つめた。


「破けたらまた持ってきてちょうだい。そん時はまた直してあげるから」


「ほんまニコちゃんには敵わんわ」


目を細め笑う。


あの時の傷はニコによって治った。


それなのに、


まだ刺された気持ち悪い感触が疼き痛む。


「…っ」


「…白夜、しんどいなら座っときなさい。あなたも動きっぱなしでしょ」


「名前呼んでくれるとか嬉しいやん…そうさせてもろうわ…」


座ると疲れと緊張が一気に解れたのかそのまま目を閉じ眠りについた。


「ほんと、無防備な男」


ニコは立ち上がりブランケットを掛ける。そしてまた直ぐに軍服を治した。


◇◆◇◆


「俺は…もう、迷わない」


「俺は…」


「黄泉を、黄泉が居るべき場所に還す」


赤い瞳が黒く滲み、


犬は小さく吠えた。

ここまで見てくださりありがとうございます。


白夜とニコ、いいですよね^^からかってごめんね^^

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