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白い宵闇の路地  作者: まこた


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9/23

朽ちた葉光

せせらぎの時刻

「常識って何ですか」

「痛みを知ることだよ…」

その博士は 眼鏡をたおやかにあげて 鼻眼鏡を完成させた…

いたるところに死体がある。

それは心の中で大量殺人が起きていたから。

その過去を今 勘違いで既視感していた…。

「まあ こんなところを歩いていてもポケモンはいないな…」

イリヤは スマホをかざしている。

「いるんでしょ」

興味のないイズヤ。

「ぼくたちはフェードアウトしていくんでしょうね…」

「なにを悲観的な…」

すこしふとりぎみのイリヤが 猫なで声のシャウトを思わせるひょうきんな声で

相方に合の手を入れる…。


「すきなものはなんですか」

「面白い文章だ。賞賛に値する…」

イリヤは目を細めて薄ら笑いを作ると斜め上を見た。

そこにあるのは空気の残滓。本当の音。


「カリスマに憧れたんですけどね…」

「仮住まいの蟻地獄の略か…」

「違う」




「美でしか美を証明できないのかな…」

日差しの中でイリヤは 汗をかいていた。

つぶやいた。その声が 静かにイズヤの魂に影を宿してくれる…。


光の宵闇は 古びた小汚い宿だった。 白く朽ちた木で出来ていて

心の底から すでに崩落しているのに…

ランプの輝きで夜に照らされていた。きっと心の中で。


「あ、君がくれた嘘。機能してるからね…」

イズヤを振り返ったイリヤは 何時間前かに 涙を流した痕跡を想像させるが

あいにく 証拠はこの世界に分子すらない。

「君が好き」「って 誰か言ってた」

イリヤは唇を動かしたが

イズヤは耳鳴りがしたように心に黒い空を映している。


商店街を曇った瞳で歩くイズヤと にこにこと歩くイリヤ。

低空飛行している幻の あたたかい空気がオレンジに光る。小さすぎた光。

イリヤのスニーカーを疎んじるようにねめつけるように凝視するイズヤはしかし

焦点の合わない 淡い瞳。


アーケードを抜けて また陽光がこの世界を支配する

「君を迎えに来たのに…このていたらくだ…」

沈んだ音で高らかに笑うイリヤ。

「でも ギャップがあるから いいんですよ」

諦めたイズヤは 精一杯笑顔を創り出した。だから気づいた。

これが 自分なのだと。 わりと 明るいじゃないか……。

挿絵(By みてみん)

腐った天井

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