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白い宵闇の路地  作者: まこた


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さびれた夜

白い風

「イズヤはさ、あたしがセクハラされてたらどうする」

「は。おこるかな。あっちいけ、こんちくしょう…とか」

「じゃあ 君がいないところだったらどうなの」

「そりゃ ホソミが自分で撃退しろよ。あたしゃ オスマントルコには関心無いよって。」

「…それは なんというか 変な奴と思われないの。あたしが。」

「仕方ない」

「あらそう…」


狭い部屋、スマホを見ているイズヤの顔をブルーライトが反射する。

たいして美しくない、しかし細い横顔が鮮やかに燃え上がる。

ホソミは興味のないふりをして、一応愛しい恋人を眺める。

きっと病んだ瞳はすべての人間の共通項…。

「あ、あたしのどこが好き…20個でいいから言ってみな…」

照れながら言うホソミ。

「…2個でいいなら。優しいし、面白いから…かな」

「…逆じゃない?それ女子が男にいうやつでしょ…」

言ってほくそえむホソミ。

二人とも男、腐った楽園に浮かぶ腐った二人…。

「…俺があんたの姫じゃだめなわけ?」

「だめやろ。ビジュ的にも。百歩譲っても…だめだろ…姫って。」

「…ですよね…うん。すまん。やらせろ」

「…腹が立ったからってセクハラするなよ…」



イズヤは透明なルービックキューブをもち、すさぶ。もてあそぶ。

なんらかの違和感があるのか

それとも まったく違うものとの同一のパターン、リンクを感じたのか…


なにか気になることがある

それを問いただしても 「何も変わらない」と言われることのほうが、おおい。


手すりのある階段を二人で歩く。二人の若い男性。

紫の空、暗くなったせいで、色彩が黒へと近づいた木々の緑が

風に揺られて 匂うはずのない香りをイズヤの心に運ぶ。

この悼みが ホソミにも届いているのだろう…

根拠のない期待が気体のように中空に漂う。それを視ている自己…。


子供のころ神社にいたとき、その感情は寂しさだった。

あざやかな赤の美しさではなく腐った甘い地獄を生きた過去のオンナたちの夢幻を見る。

愛とは何なのか

いたかどうかも定かじゃないフィクションの女性に思いをはせる…

「ただ さびしかった。ただ 友達とだきあいたかった」

その文字列には矛盾がある

友達なら抱き合う必要など無いはずなのに…

プラスアルファが永遠の矛盾…


「人間を無尽にバラバラにして識別することも意味はあるよ」

イズヤが気持ち悪いことを述べる

「ほう その心は」

「もしホソミが太って醜くなってもおなじ個体であることを科学で証明したら僕はその個体を永遠に愛する。まあ 細胞が生きてる間 命が生きてる短いあいだだけだが。」

「あっそ。ふーん。証明が必要なんだね」

「だから数学は素晴らしい! 数学は清浄も異常も規定しない…それは他がするんだ」

「うーん。でも 血糖値が正常じゃないと困るのでは。というかじゃあ数学は汚れ仕事をほかにまかせたの?」

「おお…うーむ…ちょっと待ってくれ。回答ができないな」

イズヤはぶつぶつ、変な歩き方で前へ進む。

「君は何が好きなの」

「ヨガとか唯識とか古い奴とか かな」

「そんなこときいてないでしょ。好きな食べ物とか。好きな映画だよ」

「ああ、ごめん。最近、政治や宗教が話題になってることが多くて…凝りは無い」

「まあ それは嘘だと思うけど…」


苦笑いするホソミ

「いいよ。君が何を好きでも、この宇宙の中、草木の中、水棲生物の中では

ミジンコレベルの問題だって」


同意するイズヤ。しかし無言で。

挿絵(By みてみん)


心地よい水色の瞬き

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