雑味
駅前の空間。
しれんのじれん のびやかな海苔巻きせんべい…ああ、食べた。
イズヤは
よくわからない
生きている意味
自分が誰なのか
自分はどこに向かっていけるのか
正解はだれが おこぼれ、くださるのか
組織に属し、兄貴分と舎弟がいる。それがヤクザでもカルトでもきっと同じなのだと思う。
自分は誰の子分なのか。とりあえず美しい年下の男性の 奴隷…。
この世界、統一のカラーリングで埋める
スポーツチームのカラーリングですら同じ発想。それは少し乱暴だろうか。
「自分の飼い主、くらい…自分で決めたいな…」
誰もいない部屋、薄いブルーグレーの色彩とカーテンのゆらめき。イズヤはつぶやく。
親はいる。家族も、親戚も、同級生もいる。芸能界もヤクザも宗教も理系の人たちも…。
ああ、
自分はせめて 自分の死にざまを決めてくれる、静かな瞳だけはそのくらいは
指名したい…。
イズヤはなにもすぐれてないが長子ゆえに背負うものはなくもなかった…。
くだらない…人生…だ。
「おじいちゃん♡」
「勘弁してください…」
ホソミがイズヤの膝とひざの間に、するりと入り込み、イズヤの制服のネクタイをきゅっと締める…。
「大丈夫かな 自分で歩いていける?」
「ああ、ふらふらしてるけど」
「うん。見ればわかるよ。」 マットなぬめりが落ち着いたベース音にささやかな光を生じさせる。
「舌切り雀って言ったってさ…最近の子はファッションでするよね…」
ホソミが静かに言う。
「ああ、おれが見るエロサイトでもそういう表現の広告があるけど…なんだろうな。まるで二次元みたいな扱いだな」
分けられた短冊。 区別された紙の面積。
「ああ、そういえば政治家がxでスペースをしていることは、あんまりないな」
イズヤはつぶやいた。どうでもいいことが気になる…。
半分芸能人みたいなカリスマはそこにいる…だが…。
どうでもいいことだった。
イズヤは単に情報を得たい。
好きなミュージシャンの話とか。
それともスペースはエンタメじゃなくてミーティングなのだろうか
誰を応援することにしよう、みたいな…。それはあたらずもとおからずだろうか…。
「考える意味は基本存在しないな…」
スコレーを否定するイズヤ。
腰がものすごく痛くなり 好きな人を抱いて楽しいか
頭が割れるように痛くなり いざ仕事をしろ、といわれて責任が持てるか
まるでごまかすように すべてからにげるように なにかドーピングが必要に思える。
それが音楽で事足り無くなれば…
いったい人は何をしてしまう…。
「別に試されてるだけじゃない… わかるんだ。結局は思想に消える。」
「壊す意味があったのかな」
「それで価値が生まれる、そのことは正しい。 人は死んでも燃えてもほかの物質になる。質量保存の法則、理科だけど…。」
簿記で言えば仕訳の振り替えのように
なにかの価値がほかの価値に名前と意味を 衣替えする。
まるでアクトレス…。
苦しみながら痛みながら 逃げ続けながら別の衣装に着替え続ける。
観客は一体どこの誰なのだろうか…。
自分は愛されることができる→イエス
自分は殴られる価値がある→イエス
異性は自分を殴る→あるいは…
「おれがホソミになぐられても だれも心配しないな…」
「なに失礼なことを…。ぼくは君みたいな雑魚を殴ったりしないって…」
目を細めて言うホソミ。
「この世界を恨みたくないんだ…」
イズヤはなんとなく言う。
「人を恨みたくない…」
だから なのにいろんなことの細かいことが気になり…余計なこだわりを発揮している。
首を傾げたホソミの顔を影が覆う。光の反対側が優しい影を湛える。
「いいよ。君がノイローゼになっても…守ってあげる」
「やしなってくれるとか」
「いや。きもい。金が欲しいなら…年上のおばさまと結婚でもしな」
ホソミが言う。
「ああ。君ははっきりしているな」
「そだよ」
ただしいもやさしいも プレビュー数が多ければ文化となる。そこに権威が無くても。
息吹となって色づく。
もはやギタリストが琴をひこうが
漫画家が 服を脱ぎだそうが
すべて「ああ、おもしろい」で笑顔で終われる。
やっぱりへんな社会だ。
「ホストも漫画家もため口で話すような社会になればな」
「…なってるとおもうけれども…なにか理想や要望があるのなら
ご自分でやられてみたらいかがかな…」
ホソミがテキトーにイズヤを導く。いたずら かつ 意味がない。
同性の恋人のほっとする それだけの日々。
イズヤは自分の下半身の欲求が、煩わしいながらも相手が彼なら
まあ、いいか、と思えた。
ああ、自分の出力を抑える…
【もし それで さびて壊れても 人を傷つけるのが正しい機能なら
静に 優しいリズムで狂って散ろうかな…】
猩々が笑う…
和の装いの月を カノンで染めたかのように…Δ
大都会のメリーゴーランド
悲劇のコインランドリーはいつも静か
哀しい喜劇を持ち込む洗剤の香りが泡立って空気中に漂う
風鈴が泣くように。
散歩をしたら店が複数あった




