スニーカーブルース
ジャズがロックマン
イズヤがぼやいた
その文字列はおそらく数字、ではなく英語、ではない
いかんともしがたく日本語の装いを佇ませる
その香りが沖縄の柑橘類でも北海道のミルクでも
あるいはカントリーマアムの香料であっても…
イズヤはきっとキャバクラに言ったら緊張をしてしまう
そしてのらりくらりかわしてはたいして酒も注文しないだろう
ではなにか おもしろい名台詞でも、その場で うめるだろうか…
梅の香りは きっと 12か月のうちの どのタイミングかで ぼくに訪れることが
決まっている 約束されてる
「ああ、なんだ ファジーでええんじゃな…」
なんとなく生きていることを おぼろげに確認したイズヤ
片手がふさがっていても 生きれるか。
そんな問いが 隻手の柏手の ほんとうの 問だったら…
他者に生かされていた
それは知っていた
ただ 「きれいなひと」が傷ついていると頭にちがのぼる。
それはきっと なにかの精神的な偏り、あるいは疾患なのか…そうかもしれない。
Sicsやholicとは つまるところ 美の話ではなく 病気をあらわす文字列だ。
それは日本においてもアルファベットの国においても。
指先がキーボードの上をなめらかにすべれるのは
単純にタイピングを過去に 経験した 習得した ひとつの証でしかない
ききまちがえがあるような 精神的に笑える人でも
きっと 冷静にあるいは情熱的に文字列を生み出せる
それは もはや理系でも文系でもない
ただ 自分の吐息や細胞をこの世界にこびりつけさせる行為だった
そこに どこだけ いや そこからどれだけ熱を引き算できるか
「若者はきれいなものが好きだからな」 イズヤは
ホソミをひざまくらしながら のたまう
「おまえも若いじゃん…」 ホソミがまるで猫のようにしなやかな そして軽い肢体を
彼のなかでくゆらせながら 文字列を届ける。
「そだよ。でもどっかのだれかがじーちゃんあつかいすんじゃん」
「んだんだ。5才も違えば1世代ちがうざんす♪」
どっかでイヤミでも見つけたのか変なフランス語を操るホソミ。
「おそまつさんとかみてるのか…きみは」
「うん。だから元ネタのほうも見るよ」
「…(原作って言ったらどうかな)…」
イズヤにとってはアニメと原作で出てくる原作は「スパイラル」だが
ほとんどの人にとっては火の鳥とか横山光輝なのだろう…
「イズヤはぁ…コスプレするなら ねずみ男が似合うよ♪」
「ほめてんのかな それ」
「超ほめてる! ざんしゅ…」
「斬首… ふん。」
ふざけてるはずが 罪を乞うている。(字は違う)
今は技術、機運で、あるいはご縁でうまくいっとるプロの方々も
かつては罪びとだったかも、しれない…
若者にあるいはいつかのだれかに苦悩の悔いを奉じながら
泣きながら作品を作っているお方もいるかも
…
イズヤはあいかわらずみょうちくりんな連想あるいは空想をくゆらせた。
タバコは吸わないが農業はリスペクトしている。当然ナス科がらみの農業である。JTという企業はたばこ税を課せられている。ドラッグと言う言葉があらわす対象は実は幅広い。医食同源だから結局はそこらの霞すら あるいはケミカル…。
「そこまで極端に考えれないけど」 静かにつぶやくイズヤ
「クランプがすごいことはわかる。絵が上手い」
イズヤがホソミに言う
「そりゃあさ アニメ化してる、大御所だから…下手なわけないじゃん」
「ふん。赤塚不二夫なんて なんか そこらの小学生みたいな絵じゃんか」
イズヤが目を細めて言う
「ばっかじゃないの ヘタウマじゃないし もしヘタウマでもプロはくそうまいんだよ」
ホソミがイズヤに説明する
「ネウロもうまいのかよ…」 イズヤがいじけたように言う
「そりゃあんたよりはうまいだろうが…」ホソミが言う。
「…柴田ヨクサルはきらいじゃないが 将棋うつ奴はこわいかな…」
イズヤが言う
「ん それは正しいんじゃないの…」
にこやかに目をふせるホソミ。
まじでおんなのこみたい…
イズヤの心のやらかい部分がぎゅっと締め付けられる。
「おまえさんは絵が上手いマンガ家ってのは男性漫画だとだれなんだよ」
「そりゃあ 言えないけど、一概に。うーん。パースが取れる人でしょ」
「ああ、それが正しい…うん」
パースとはパースフェクティブで お絵描きをする人はだれしもぶち当たる壁だがめんどうで 理解できず 採用しない人が多いはずだ。つまり 挫折という。
「おれは進撃の巨人は読まないけどアニメを見たときもすごい謎のスケール感、奥行きのある描写だと思った。キャラと背景の関係が…」
「でしょ。絶対君よりうまいって!」
だまってしょんぼりするイズヤ
「そりゃ、そうだな…」
イズヤは基本オタクなので パースのこと視線誘導の話、そういう
知識的な文字列は把握している
しかし ホソミのように少女漫画にまで詳しいという凝りはない…。
「気に入らなかったら一日中1カットをやり直すとかあるんだろうな」
「あると思う」
イズヤは思想って言葉の難しさを自分が知っているか省みる。
内省はものを考える習慣だ…
それが研究や分析につながるかはわからない。
なにしろ 理系とは言い難い…。かたい、とは 難しい という文字である。
1mm単位の工業製品なのか
それとも狂気のアートなのか
表現のプロの位置座標は イズヤが定義できない範疇だった。
漢字がもたらす、音の響きや思考パターン、あるいは合理性もある
ブラッシュアップされて漢検2級のような日常の漢字や言葉すら
数式的なクールさ、あるいは草書体のアート性などとリンクして連携していき
がたがたと悪路の現実を切り裂いていく…。
それがエモーショナルならその責任はだれに付随するのか 負担になる
あるいは依拠はどこにあるのか。
「まあ たばこでもくわえながら 一秒存命する役割をになうことはあるんじゃねえの」
イズヤが述べたが、その言葉もまたホソミとの共作…
そしてホソミの命はその両親あるいは戦国武将すらたずさわってこの世に
生誕していた…
文学は音楽 漢詩は存在する
猫はかわいいが 大嫌いなおじさんが猫の物まねをすると
そのおじさんをきらいになる。つまりそのおじさんがきらいなのか
猫の物まねをした人間が美形じゃないから怒ったのかわからない
「でもそうだとしたら俺が無礼か…」
イズヤはひとりごちる
「いいんだよ 馬鹿なおまえがあれこれ考えのうてさ…♬」
ホソミはイズヤの首にまとわりついた。
抱き着いた、とまとわりついた の違いがわからないイズヤ。
このあとキスしますか?
オプションはいくらですか?
損なユーモア いらねえか…
腕時計がGSHOK




