たどり着く腕 広げた貴方
思い出せる範囲の嘘(思い出)
ホソミの腕が動く
指より外側の腕
そう認識しながら
愛人の動きを観察するイズヤ
見つめた先には 女性ではない愛人
うしろぐらくはない愛人(文字列の都合でこの表記だが、単なる愛する人の意味)
嘆かわしい空をこの世界にダウンロードした自らの脳は
ゆるやかに
白い少年を見つめている
泣けば 済む
赤子はそう思った
ゆえに ちょっとばかし泣いてみたのだ
うわーん、と。
声を発する器官を有する一つの 個体
おのれの体を使った自己
文字列があるいは 付属していることを識る聴覚
「ねえ、あそぼうよ」
ホソミがイズヤの手を握り手を取り
話しかける
「うわ
あ、そうだね。うん…とびきり英知なことをして遊ぼうか、うふふ…」
じとっとした眼付をするイズヤ
ジト目で返すホソミ
「うわ…朝からきついな…きみ」
「あ、めんご」イズヤが謝る
「それ、ごめんって意味なのね、たぶん」と 返すホソミ
めつき、おてつき…
付き添いの目つきは 何か憑いたかのうような いかれたジト目…
炎が憑いた、とかメタルな文脈で「憑いた」とは 描かへんなあ…
「口笛でもふきたい気分ね」
ホソミが言う
「ふいてみよっか」
「おお、ぜひ」
イズヤはそそのかすように言う。えっちな顔になったら心のクリップボードが
目の保養になる。
「ぼくは君ではないね」
いつの間にか3秒、かすれた口笛を吹いたホソミはそう言った
ちょっと難解な言葉、イズヤは返す言葉をあぐねた
もし 中国語なら 簡体字なら どんな表記…
この言葉はスペインにもあったのかな……
「簡体字、 スペイン… あるいは唯識」
イズヤは白い景色の見えるカフェにいて
その向こうに向こう岸に此岸ではない 彼岸に彼を見た
カフェに流れる音楽を耳で知覚する
脳が信号を得ている
おれは下手したら脳のことを知らない
ご近所様は見知らぬ他人…だ
「手を握れるかしら…」 ホソミの言の葉…
「ああ。今だけは。おそらく…」 コーヒーカップを手に取ったイズヤは
ため息を消すエフェクトをテーブルの向こうの恋人に視ながら
静に安らかに微笑んだ。 言葉をはさみながら。
君を抱きしめた香り




