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白い宵闇の路地  作者: まこた


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52/72

深い沙羅

くるくるとまわる

君との約束、なにも届かないまま

ただ そばにいようと 笑ったのに…

心の中に花束を持つ胴体は頭を持ち、下肢を持っていた

その瑕疵に キズが染み込む

油のようなキャンディがとろけて 夢を融解させながら、ゆるやかに落ちていく。


「ああ、だれも苦しまなかったらいいのに」

ホソミが言う

イズヤは答える

「そりゃ同感だけど。おれが君に蹴られても誰も助けない!」

「…なんだそりゃ」

じっとりイズヤをにらむホソミ。

「つまりね みんなきれいな人の味方をするだろ。俺のことなんて誰も信じない!」

「あんたがそういう生き方してるからじゃろ!」

「うむ まあな」


「…塩あめ なめるかよ。じいちゃん」

「うん。でもその呼び方は やめてくれ」

「いいじゃん。僕より年上やし」

「五歳も違わないし… せめてお兄様とか」

「なんでそんな甘いニュアンスなんだよ」

軽くイズヤを蹴るホソミ。


「ねえ ちょっとだきかかえてみて」

「いいけど。おれ ちょっと あちこち痛いんで」

「じいちゃんじゃん」

「…うん」

「じゃ いいわ」

そっとイズヤの手を取り、両手で握りしめるホソミ。

「ちょっと元気にしてあげる」

「……ありがとう」

「…いいって」


「ああ、そうそう。すいへいりーべーの覚え方、おもいついたんだ」

「…なんなんだ、あんたは。脈絡がねーし…」


「すいへいりーべ、ぼくのふね、ななまがり 暗―く 」

「そんなだっけ」

「たぶん。ここまでだけでいいよ。あとは知らないから。」

「うちら ゆとりかもね」

「みたい」


水平線の見える海辺。EDWINじゃなくてLEEのジーンズをはいた少年が。

水色に透過するボトルシップを抱えている

「とかどう」 イズヤが言う


「じゃ…そのつづきは」

「昏い世界で明るくKLARKを楽しむ   とか」

ホソミが言う


イズヤが答えた

「うーん。喫煙者なのか。まあ 昔の語呂合わせだし。タバコくらい吸うかも」

「だね」

笑いあう男子二人。



【七つ目の角を 高く高く落ちるように 大きく曲がってしまう】

そんな  斜めな墜落



草木が茂る無人島は人間と言う個体は存在しない

ひとと共通する遺伝子の個体は当然いくらでも そこにはいて

傷みとおなじ配列を とてもおだやかに生成し続ける

その表出に

命を想う



注文の多い料理店


ああ ひとをくらうなんて あるだろうか


人間は塩と砂糖で、 「えさ」に味付けをした


美しい女性を食べたいならばきっと塩と砂糖で

美しく彩る


そうやって いつか食らうことを 望む


そんな虚言を述べたイズヤ

「それなら さそってるのは どっちなのかな」

「えっと。さそってんじゃなくて、男がこう がーっと

ついつい 変な想像をしちゃうのでは」


「喧嘩したらさ、強いのってどういう人だと思う」

「え、うーん 痛みの閾値では。あるいは 根性とか。いや 技術なのか」

「うん…。その 女に砂糖と塩をかけて食べることにだけ

こだわる男は ある程度骨はあるのかな」



「はは。 そりゃいいかたが悪い。人間としてダークなことと、

肉弾戦で笑っている阿呆かは 別問題だ…」

「そうだね…」

髪の毛をかきあげたホソミはなぜか強そうだった。


まちがった絆。まちがった式。 ま、ちがったっていいじゃんね。

挿絵(By みてみん)


にじんだ瞳が 描いた空(sora)

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