探していた永遠
拡張した月
君はうそつきだ
そう 君は餅つきだ
正月にはきつねとうさぎが 月で
笑顔で たわむれて
白いもちをねりあげる
逆算するなら今は10月で
ハロウィーンらしい…
この世界はたかだか日本で…
「ねえ なんで キスしないの」
少しだけ冷える図書館で
ホソミは言う。そういえば 誰もほかにいないから…
「べつに。意味ないじゃん。屋外でキスする意味とか」
「ん!そうだね。君が正しいよ。」
ホソミはイズヤの手を取る。
「そう 君が正しい。で、じゃあ キスするの?…しないの」
ホソミはまるで このあと自分が死を迎えるような静かな顔で
イズヤに言の葉を伝える。
自分たちは若い。死など 考えることがない。
かけがえのない今と言う時間があって
それは 真っ黒だとしても キラキラと輝く…
「死」なんて 考える必要が あるだろうか
イズヤはちょっとつらくなる。
想いはいろいろあっても 人より優れないといけない
気を使うし 話を聞いて。 夜は本当はあまり寝ないほうがいいけど
全く寝ないとそれもつらい。
怖いのは自分が無能だと誰かを傷つけるんじゃないかと言う
そういう おもい…。
「あたしは 死んでないでしょ。ほら 足が見える…」
「ああ 触れるきれいな おみ足が あるけど…」
イズヤはホソミの太ももに手を置く。その温度は、つめたい、あたたかい
そういうことじゃなくて 愛しい。でもそれは 彼をまさぐる腕 じゃなくて
ゆっくりと振動を伝える悲しいメッセージだと…☩。
「ああ…待ってる人がいるから 会いに行くんだ」
「…星旅少年って漫画を読んだんだ」
「ふーん。どんな本」
「…きれいな…というか」
「へーーー、じゃあ あたしとどっちが?」
いたずらっぽくにやついた表情で聞くホソミ。
「えっと…」
たじたじしながら くちごもるイズヤ。
「うーん。どっちもすげーよ…うん」
「なんだ、それ…」
「花火大会、行かなかったな」
「ああ、恋人が連れ立っていくイベントの名称やね…」
「…うん。そうね。」
イズヤは心の中でホソミの姿を絵にする。
絵を書く習慣がないイズヤは心のキャンバスにホソミの微笑を
映し出すように、 賭ける意味がない命を賭す……。
「ぼくたちの体はね 借りものなんだ
いつかの誰かのきおく 想いの集積 なんだ」
「…だから?」
「だから ドメインも無い、著作権も無い、全部溶けていて
今君に 音をつなげたいんだ。 ひとつ、つながっている「すべて」は
今指先から君に渡すから…」
「なんか詩的だな… 」
笑うホソミ
「あー くそ爆笑してえな…」
「なあ もし 美しい男に命を救われたと…
思い込みだとして 信じてたら…ホソミはどう生きる?」
「ん。その答えは人によるじゃん。君には 君の…言の葉が あるんじゃろ…」
「おれは君に甘えたい
今まで血を流した先人たちの努力に甘えて
君を 美しいと 奉じたいんだ…」
ちょっと悔しそうに笑うイズヤ
「おれが もっと美しければええんじゃけどな」
「ふ…」「ええよ。君はそんな程度で。」
ホソミはイズヤの手を握る、少しだけ。
地方都市のくすんだ道路…。
Δ
誰もいない沖縄の海、あるいは木々、かきわけてみえるのは
青い空
そして 上空へ向かう白い鳥や 色を持つ鳥…
空は黒く染まるが
星は熱く輝いた。孤独の熱さが恐ろしいほど物静かだ……
狭まる隘路




