けがれなきアオゾラ
拓かれた宵闇…
燃え盛る炎は青白く 脂の乗った裸身を
すさまじく きれいに おごそかに しずかに 灼き払った……
☩
「今朝 死体があがったってさ」
イズヤがホソミにつぶやいた。新聞を読みながら。
「ああ、そうですか…そんなの 楽しい?」
「…サディストじゃあるまいし…楽しくは無い でも 興味 あるかもな …」
夏休みが始まって
イズヤとホソミはあししげく会うようになっていた
いかがわしいことは なにもない
それがイズヤにとっての唯一の心残り…
「その事件ってのは亡くなったのは男性ですか」
「そう なんでわかったの」
「女性が死んでたら あんた 気にしないでしょ」
とホソミは妖艶に力みなく笑う…
そのしぐさに イズヤは照れてしまう……
性別の境など無い などというのは自分の世迷言
イズヤはそう自覚している…
だからといって 愛する対象を 操作はできない
「ああ そういえばさ なんで おまえって敬語なの…」
イズヤはホソミを見つめてつぶやく。
「……ため語だったら 怒るでしょ…」
とホソミは口をすぼめて言う。
できるならアヒル口にしてほしい……
「…怒るわけないじゃん…」
「幻想ですよ 敬語を排除したら心が伝わるなんて」
ホソミはそう述べた
「マナーが無いと何も伝わらないじゃん」とホソミは続ける
イズヤは顎に手を当てて云う
「俺の知ってるやつがいってたけど…敬語を排除したら丁寧さや上下関係は伝わらないのかな…」
ホソミはぴくりと反応したような あるいは動きを止めていた。
「あ、、なるほど…」
「女子とか ため語だったら 上下関係が無いのかって話ですよね」
「ん まあ 卑近にはそうなるな」
イズヤが言いたいこととはちょっと違った。
危険思想、というか
もし 敬語を排除しても 透明な上下関係が表現できるなら
それは 完璧主義すぎる。しかし それを完璧主義だと捉える 批評する言葉、つまり
文化がまだ存在しない
「適当に咀嚼して生きていくしか無いさ」
イズヤは軽妙洒脱なふりをして 軽く笑ってみた。
なぜ 燃やすのか
それは 人の体を。 しかし 本当には 空気も燃やしている。
目に見える透明な風を燃やした。言語のにじみ出た文化や汗の香りも
同時に燃やした。 きっと引き算でたどりついたのは
ただの カルシウムの残骸。加害者は
なにを燃やしたかったのか……
「おれは体育会系を尊敬してるんだ」イズヤはとりとめもなく脈絡が無い語列を
そっと置き始める。
「あ 知ってます」 ホソミは目をきょとんとしてイズヤを見ている。見据えているのは
年上の変人。
「彼らは 語らないじゃん 苦労を」と言うイズヤ。
「いやいや わからないですよ。教会で泣いて 泣き言を言っているかも…」
ホソミがとんちんかんな茶々を入れる。(しかし冷静なのは二人のうちどちらなのか)
「物理的に 犯人ができなかったことってなんだとおもう」
イズヤはホソミの手を見つめて いやらしさをサイレンサーでかき消して
言葉を与えた。
「そうですね 僕のかわいい感想文テイストで言うとですね…」
「 きっと 燃やした時点で 美意識を果たした でもギャップがあったんです」
「なので 犯行をした その時点で犯人が得れなかったものは 想像と実際の完全一致が果たせなかったこと ですかね」
イズヤはにやにやと呆れて見せる
「おれにしかわからない 言い方かも。お互い馬鹿なオタクすぎて…」
「つまり また同様の事件が起きるってことですか」
ホソミは蛇足と言うかわかりきっている質問をする
「まあ まだ日本にいたらね… あるいは生きていたら。あるいは 新たな恋でもしてなければ……」
閉じた寂寞…☩。




