孤高のメデューサ
不埒ないざない
イズヤはその朝
道路で見たくはないものを見る…
生き物の死骸… 鳥で無ければ哺乳類…
このあたりで 「てん」というわけもあるまいし…
めをそむけたいものの 日常豚肉や鶏肉を食べている自分を鑑みれば
避けるべきでもないと思った…
土足の自分 いつもあるいは 人の心に土足でお邪魔をする
そんなことは 日常茶飯事だろう
みな 気にしないふりで 日常を経過し継続させている…それだけ。
「おはよう」
うしろから声がする。ふりかえったイズヤをみつめていたのは
あさっぱらからおめでたそうなイリヤだった。
「後輩。今日も朝ご飯は食べてきたかね」
「ええ、大丈夫です。それより 見ないほうがいいかも」
「なにを?」
ひょこっとイズヤの体をよけ 地面を見つめるイリヤ。
「……ああ かわいそう…」
イリヤは細い声を出す。
「先輩も女の子なんすね」
「……そうだよ…」
まぶしい光を浴びている朝。体温はゆるやかに上昇していた。
やる気のない蝉が みんみんと 音階を鼓膜にこびりつかせてくる
…。
一時間目に遅れることを選択した二人は 高架下の自販機で
ルミナスのアートを鑑みる。 その上空に…☩
「あたしはね 昔のちょっとつらいドラマとか見るんだ。リップスティックとか 後藤久美子とか アナザーオリオンとか…」
たぶん ドラマの名前が出てこないのだろう。リップスティック以外はきっとドラマの名前ではない……
イズヤはそっとイリヤを見つめる。不器用な唇を…。
そして 永遠にのばすことのない手を彼女に 伸ばすことを 放棄する。
「「ああ 神様 おしえてください ぼくはこの人を愛してないのに とっても好き」」
まごうことなきイズヤの本音だった。
静かに 宵闇が その茜色を クリアパネルよりも透明に
この世界にアシストさせている。
それを静かに凝視するイズヤ。
※
ある日ある時
ホソミが述べていた言葉
「美しいものは罪なんです。」
「自分を美しいって知ってるから… でも意地を張って後退しないんです」
イズヤは その文字列を発音する生物を静かに やはり凝視した
そう とりとめもなく。
宵闇よりは白く たおやかな 残光。




