HOMURA HOT LINE
エレメンタル レガシー
イリヤは 部室の花に水をあげていた。なぜか真っ黒なじょうろで。
「雨 雨 ふれふれ♬ 局所的いいい♪」
多少無理やりな替え歌を生み出した張本人はいたって上機嫌の狂人…。
「ん 先輩 口になんかついてますよ」
イズヤは視線を落としたままぶっきらぼうに言葉を放つ。
「ははは。その手にはのらん 若造。その米粒とりますよ、とか言って
私を口説き落とすつもりだろう」
「…釘がついている」
「… … それは新しいな… いや ついとるか ぼけ」
ぶつぶつ言いながら机と椅子に住し 書籍の扉をこじ開けた、1個上の先輩は
眼の悪そうな瞳で愛すべき文字に対峙して そのまま本の世界に没入してしまった。
「こうしてると かわいいんだけどな…」
ひじをつきほほに手を当てているイズヤは
イリヤを眺めてそんなことを考えた。
好きとかありえないが 人として愛嬌がある人だとは評価していた。
イズヤはイリヤの全身を眺めた。ありえないファッションだが
彼女が着るとなんの違和感もない…。
「………餌」
「………は?」
「餌をくれ 少年。」
イズヤのほうを向いて口を開けるイリヤ。
「犬じゃあるまいし… やれやれ…」
しょうがないな…とポケットからフリスクを取り出したイズヤはイリヤに声をかけた。
「手を出してください。出しますから」
「ん。せんきゅ。」
イリヤは片目をつむり、首をかしげる。
そっとイリヤの胸元を見つめるイズヤ。
ややふくよかなイリヤの胸元を見て、すこし赤くなる。
いかん、これじゃ 浮気だ…
軽い罪悪感にさいなまれるイズヤ。
「ふふふ…雑念が多そうだな。おぬし…」
イリヤがにやにやと意地悪なことを言う。
「誰のせいだとおもってんすか。先輩は距離感がおかしい…」
イズヤは正直に苦情を言う。
「…なにが起きるかわからん…そういうことだ…」
口には笑顔を浮かべたままイリヤは しかし諭すようにイズヤに語り掛けた。
「イズヤ少年は…絶世の美女 しかも性格が良くて 自分を好きでいてくれる女性が キミを好きだと言って来たら あるいは そう君が確信出来たら…どうする」
「は…?」
ホソミ以外とキスをするとかありえない…。おれは 男が好きで…
その人は女よりも美しい…。
「興味が無い… あーーー おれ さめてるから…女より女装っこのほうが
好きって言うか…」
乾いた笑顔で 云うイズヤ。表情はともかく内容は本音そのものだった。
イズヤの言葉に 動きを止めて優しくフリーズするイリヤ…
「あ……………………
……… そ そうなんだ………」
「あ ひきました?」
「…ん いや! 全然。いろんなやつがおるから。きみはきみだ」
そして優しくうつむいたイリヤは
なぜか泣きそうな優しい笑顔をしていた。パステルカラーがはじけるような
儚い雨のイメージ。
※
「先輩…迎えに来ましたよ」
教室を出るとなぜか中学生のホソミがそこにいる。
「おまえ なんでこんなとこに…」
「知りませんよ。なんか ここにこいと アンテナが ぴこんと…」
両手を頭上に上げて猫耳のように手を曲げるホソミ。
うわ…やめろ … イズヤは心がざわめく
あ……
「すまん じゃない ごめん」
イズヤは諦めた。かっこよさを あきらめた。
「キスして」
ホソミに告白するイズヤ。
「…え うれしい」
ホソミは何も言わずにイズヤに抱き着いた。
それを予測してないイズヤ。
「イズヤ 好きだって。俺 あなたが」
顔をイズヤの胴体にうずめるホソミ。
「……」
幸せな誤算に鼓動が?ビートなイズヤ。
うねるベースライン…。
☩
気恥ずかしく手を握ったイズヤとホソミは
周りの目を多少気にしながら
焼きそば店に行く。
「べ べつになかがいい男子が手をつないでたって
法律違反じゃあるめいし…!」
ひきつった笑顔でなにかのたまっているイズヤ。
「先輩 挙動不審っすよ…」
少し呆れているホソミのほうが大人のようだった。
いつか見たヨーロッパの公園…
不思議な色合いの空 あんなところに彼を連れて行きたい…
イズヤ君は どうでもいいことを思っていた (了 end)
序列下降気味のDC




