宇宙のネイビー、空のオレンジかすむ仄か
星の美術館
歩くほどに遠い景色。
階段を上るイズヤは
何の目的も持たない
宇宙はとっても 遠い
そらをあおげば
色が無い青が目を突き刺した
心まで串刺しなのに笑顔以外の反応を脳が示せない
心とは いかにも 不自由なシステムだった
「虚空ってありますかね」
ホソミが問う
「あるでしょ そりゃ」
「ほんと?」
目をキラキラと輝かせるホソミ
「ああ ほんとだよ。だって僕の目の前にあるのも君と言う虚空だ」
「あの…あたしは虚空じゃないです。実体があるし。ほら 足もあるじゃん」
「あるけど…君はステルス機のように突如僕の心を墜落させてくれるから」
笑うイズヤ
「ん え べつにずっと いつでも ずっと 一緒にいるよ」
明るい笑顔をイズヤに向けるホソミ
「ありがとう…でも…きっと いつかは 死ぬしなあ」
「だから そのときまでいてあげるって」
「無理だよ。お互い 主張が強いからそのうち 喧嘩別れする」
「…それは そうだね 」
ホソミはあっさり同意する
「うん そのほうがなんかいい。きれいだ」
「…意味が分からない。君がいなくなったら 世界はくすむけどさ。迷惑なことに。」
「それが綺麗って言うんだよ。君の狭い心は特定の美しか わからないんだよ?」
困った顔で子供を見つめるようにイズヤを見上げるホソミ。
「すきだよ」 と言ったホソミ。
「はは その嘘が一番好き…それが 虚空っていうんだわ…たぶんね………」
ホソミを優しく抱き寄せたイズヤはとってもすがすがしい いい気分だった
ああ 最高だ なんて寂しい空だ…
すべて粉々に消えて やっと 救われる…
たとえ 地獄より静かな無の涅槃ですら…
Δ
「うーおい」
「なんだ よっぱらい…」
「先輩は先輩であって 酔っ払いではないのだ」
「すみません。なんとなくそんなかんじだったから」
「昨日ねてないんだ」
「1時間くらいですか」
「五時間」
「…ああ、それはまあ えっと普通かな。」
自分は三時間ぐらいとは言えなかった
寝すぎると体調が悪いくらいだが1時間では眠くて死ぬかもしれない
「ねえ 空の色って何色かな」
イリヤがイズヤに問いかける
「え 空だから空色…」
「じゃ 肌の色は」
「え じゃあ 肌色ですか」
「でもたぶん肌色っていう色鉛筆は日本の呼び方で日本人の肌の色だと思うが」
「まあ そうですよねえ…」
イズヤは首肯してしまう
まあ、そりゃそうだな、と。
「君は多分 実はさっぱりしてるんだよ」
イリヤは言う。
「まあ キタキタおじさんぐらいには…」
イズヤは謙遜する
「それ 謙遜か… 彼はスターだぞ…」
イリヤはつっこんだ。
「ああ、もう 褒めるなら褒めてくださいよ」
怒るイズヤ。
「いやな 君は世の中には本当に面倒な駆け引きの中にいる女性がいるとか
想像してない気がしてな」
「… それはイリヤ先輩ですか」
「一応違うと思う。むしろ君の同学年の 君が特に気にもしない でもわりと綺麗な女性とか…かなあ」
「はあ…わかったようなわからんような…」
「京極夏彦とか読めばわかるだろ。あれに出てくる女性とか 30歳とかだろうけど
あんな30歳 いたら ちょっと困るよな。うちらなにして生きてるんだか、って。むなしくならないか」
「そりゃ わかりますよ…でもあれフィクションでしょうが」
「…そうかな むしろ現実のスペックの偏りはフィクション以上だと思う」
「だから 楽しいんだ、とおっしゃりたいのでしょうが ぼくは どこにもくみしませんよ」
とイズヤは言う
「わかってる。不器用な君が思想を集団に属して命令通りに動けるとは思わない」
「まあ そうです」
「そんな君をお気楽だと疎んじてるやつは当然いるだろうが
うらやんで辛い思いをしている女性はいるのかなって」
「はあ 男性からはどう思われてるんですか」
「適当な面白い奴だと思われてる気がするぞ…」
「 はあ… まあ いいです、それで」
「そうだ ひとりでも笑ってくれるならいいじゃないか」
「ぼくら なんの話をしてるんでしょうかねえ…」
「いいよ 君が誰を笑わせることができなくなっても…
あたしが あなたを 笑わせてやるから」
静かに 灯の光のように笑うイリヤ。
太陽にしても月にしてもそれを性別に当てはめる場合 国によってどちらが男性でどちらが女性かは違うらしい
「あ 明るくなりましたね」
「そうだな。いつか 暗くなるよ。 そしたら暖炉でもくべよう」
「暑いですよ…中国地方では…山陽だと特に…」
「そうだな…」
一握の文字




