ひろいそら
複雑な服
さようなら 裁縫
こわれた 細胞
ダストセル
氷が融けるように
かきごおりのようにやさしくゆっくり流し込まれる透明な景色と音…。
「ねえ、今度かきごおりおごってくださいよ」
かわいいホソミがイズヤにのたまう
「え。全然いいよ…」
「安いでしょ。あたし」
にこにこしているホソミ。
「いやいや高めの、球だよ。」
「…野球ですか」
「サッカーだとPKでキーパー役をやらされたら球が飛んで来たら怖いな…」
「…だめですね 」
「…はい」
すこし静かになる。とてもいいかんじにきまずい空気。
パール色のそろばんなんて売ってるだろうか…
「あ おにぎり 買おうかな。コンビニで」
「タイマーかけとけばわすれませんよ」
「わかりにく…おぼえてるよ、さすがに」
「そうですかねぇ」 にやにやしているホソミ。
ああ なんで ワードの保存のアイコンはフロッピーなのか。紫のアイコンがちょっと思い出された。
あれを見て「H」と思う人がいることが信じれない…。そう
それが常識の怖さである。既知に縛られていた。見事に。
そういえば フックはふつう、HOOK のはずだよな。
それをFOOKとおもうひとがいるのだろうか
それとも 日本人が「フックがあっていいですね」というのを
聞いた海外の人は FOOKと聞こえてるのかな… いや FUっKU ぐらいかも……
財布は からっぽ
キャバクラに行く金は無い
誰かの善意は ほかのだれかに回り道して 配られるのかな
AさんがBさんに対して贈る善意はCさんに届くのかZさんに届くのか
明日届くのか 十年後に届くのか…
コンビニでペイペイで支払いをする
「楽天ペイって何ですかね…」
レジでつぶやくイズヤに店員はなにもいわない
自分が賢いと思い込んでるイズヤはところどころではたしかに賢いけれど、
本当のところ苦手も多く、いろんな個体はそれぞれ強みがあるのだ
糸じゃなくてストレング…いや 綴りすらわからないが
SWOT分析で扱われている言葉。
あるいは植物の生存戦略でも強みは大事かもしれない…
いや たしか なにかの新書にそんなことが書いていた…
CSR… 企業、じゃなくて…
カレーパンいかがっすかあー
ゴスロリなフーディの店員がレジから声を出す
ゴスロリ週間なんて きいたことない コンビニで…
いくらちまたでコスプレがはやっていても。
ああ、これは聞き間違いかもしれないな。
いや 見間違いか。
Δ
「ふあーーーーあ」
「ねてないんすか」
「ねてるよ。たっぷり」
「なら十全」
「知るか。汁粉でも食え」
にっこりとイリヤが笑った。
文芸部の部室は鉢が置いてある。水をやるのはイリヤである。
「甘いものしか食えない人っているんすかね」
「そんな宗教団体あったら、素敵だな」 笑うイリヤ。
「んなもん音楽聞いてりゃ宗教っすよ」
にっこり笑うイリヤ「言い得て妙だな」
「ははは。そっすか そりゃよかった」
にっこり笑うイズヤ。
何が大事なんだろう
キャバ嬢にとって 年下の男の子にとって
文芸部は何を描いただろう
それは産業だろうか
酒がスポンサーなら不健全だろうか
健全なら安全だろうか
身近な人の声を聴いて、 「ああ 実はつねに安全ヒモが くくられているのだな」
と イズヤは笑った。どこかの部室で 誰に聞こえるかもわからない、適当に静かな室内で。
口笛吹く




