タイトル未定2026/09/17 16:11
昏く 落下した
ホソミのたおやかな指がイズヤの細い髪の毛に絡みついていた
「きれいなかみの毛…」
「ありがと…」
「キスして…いいですかぁ …?」
「いや いいよ。10分くらい嘗めてほしいかな…」
「ばーか… 愛でおぼれるわ。」
Δ
「満点の星空ですね」
「0点だ。プラネタリウムで聞くにはね」
イリヤがにこにこしていた。
反響する電子音が くぐもっている。
眼鏡は曇ってない。
くぐもった聴覚
くもった視覚。
ああ、それはクラウドなのか フォレストなのか
雲が聞こえる
フォレストが見える
すべて F ファンタジーか…
つつっと ふかふかした椅子を人差し指でなぞるイリヤ。
「ほこり ひとつないな」
「単にからみついて 凹凸に気づかないのかも」とイズヤは言う
「つるつるだとすべるよな」とイリヤが言う
「まあ 誇り程度あったところで指でなぞれば指が黒くなるだけ。重くないし。気づかないのでは」
「そうだな…」
「先輩が…もし年下の動静をすきになったらどうします」
「無いから答えれないけども。まあ 告白もせずただ待ってるかな」
「そんな 無駄じゃないですか」
「いいんだ。この社会の価値に準ずる役割じゃなかった、とおもう」
階段を上った先にある「みち」で年下の彼と息を白くするイズヤ。
年下の男は優しい音を夜に融かす…
「先輩…いれてほしい…」
「え それはちょっと。 とてもうれしい。」
「え いいんですか…」
「…ちなみに何を入れたらいいの」
「えっと部屋のすみっこに…」
「うん もう話についていけない…」
「えっと ボトルとか 入れますか…」
「なんで疑問形なの」
「決めるのは あなただから…」
ふふっと笑うホソミ…☩
夜六時の陸橋。牛丼屋とか家電屋の光が切なく下品に光る。その光に救われる、弱い魂をイズヤは持っていた。
「どんなボトルかによるかな」
「んん じゃペットボトルとか…」
「コーラでいいの」
「スターバックスでいいよ…♡」
「ちょっと高めのボトルだね…」
乾いた心。もし好きと言ったらすべて ちゃんと 余ることなく失える。
つまらん定理は一つ残らず一つだけ知っているイズヤ。
外気に触れた想い…ああ。重いな…
死ななくてよかったけど ちょいと重くないかい…
「ん 先輩は 誤解してますぅ…」「ボトルってのは そーいうんじゃないんです。」
「まあ 浮くのは一緒ですけど…」
黙って彼の言葉に耳を傾けるイズヤ。ああ 一秒だけ あるいは1mmだけ
彼の心を手に入れたいけども…。
「ぼくが 寝てるときに 靴下にね 入れてほしかった…」
「…どんなボトルを…?」
「後悔すら洗い流す航海の ボトルシップ♡……」
年下の男の声はリフレインしている
ホソミの夢物語は重すぎるのに、
イズヤにとってはただ かわいらしい そんな 存在だった。
ああ、すべて嘘だった。
彼がひとつだけ存在する嘘、なにより きれいだ。捨ててもいい、彼を。
そしたら咲こう。彼の中で。
FRONT
GATE
ROAD
Δ
イズヤは部屋の中で 暗い灯の無い、そんな明るい部屋で
PCをタイピングしていた。
誰とも知らぬ友と チャットをしている
「ひめは なんとおよびしたら」
「ひめゆえ ひめで」
「ひめは しーですか ひーですか」
「そうね…… I see そんなわけで しーでいいよ」
「此岸…」
9⃣
何時間も、きっと2時間ほどとりとめなく会話する…
One two tri
ああ、犬がなき
猫がなげき
羽ばたいた…
くしゃみをしたイズヤ
「この白杖者…」 ひめがわらう
「ぼくは白いQueなどもちません」
「じゃあ この薄氷者…」
「わあ その響き好きだな…自虐的で」
「圧倒的に離脱したんです。ITなOLとも剥がれた生活で。」
「よくわかる。君を見てるとね。いや 君を きいていると。」
ゼロにOと返す。それに対する返答は… はばたかないサギが一羽ないていた…
イズヤは白い女のそばにいる
「ぼくをだまさないでくれ」
「なんで うしろから歩み寄ってそんなこというんです。だまされたくないなら 話しかけなけりゃいいでしょうが」
「たまたま 帰り路が一緒なんだ。」
「そこらへんで雑魚寝したらいいでしょう…」
優しい白い女
「こっちにおいで…」
イズヤはへらへらと言う
「仕方ないですね」
白い女が応じる
目が覚めると、イズヤは白い女と同じディレクトリにいる
しかし若干ずれている
「なんで また交っちゃうんだろうね」
「あなたが 弱いか、あたしが強いか、どちらかです」
白い女はくぐもったグレーの瞳で貫くようにつぶやく。
このひとは 月だ
自分が好む太陽ではない。
きっと同類だ
Δ
「もう。なんでそんなふがいないんです」
ぷんぷんしているホソミ。
「いや なんのこと」
「それ。なんもないこと…」
ホソミがうつむく
「いや 秘密にしてたけど、俺その…」
「はいはい、今日も いい日ですね」
「うん GOOD DAYだね 怒ってる?」
「あなたがE≒Gだからおこってるんです」
「ああ…」
席を立つイズヤ。いつのまにか 心がたたなくなった。
ホソミはイズヤの首に両手を回し、しかし抱き着くのではなく体重をかけて引っ張った。
PULLMEUNDER…
「わわ」
「えい」
二人は地面に不時着する。二秒の旅路だった。
イズヤはホソミの膝の上に強制的に頭を載せられた
「…なに。」
「ん。だまっとけ…」
目をつむってるのか、笑顔の薄いホソミ。
ああ、落ち着く。立ち上がらなくても 今日は本当にいい日だ…。
落ちていくだけの男と女。
ただ共にいるだけの二人の忠誠。
発火したとき あえて白い翼




