ヘヴィサウダージ
舞い散る枯れ葉
「愛はないんですか」
「そうなんです」
「愛されたんですか」
「そう思いたいけど」
「つらいですか」
「痛いです」
「胃痛ですか」
「そうじゃなくて…こう 瞳の奥が痛い…」
「それはなんでですか…」
「目に毒なんです…」
「なにがですか…」
「あの人が、僕を見てからずっと 彼が ぼくに焼き付いて…」
☩
イズヤは穴を掘っている。たぶん土とか そこらへんの草の、生えている土さんに。
アースさん。
「きみはなにをしとるんだね」
季節外れの袴みたいな服装のイリヤが声をかける。くすんだフレームのメガネの奥に
かわいらしい眼が 沈んだ輝きで溢れる。
「種を植えようって 思った…」
「反対しないよ… 収穫するんだね」
「はい 育てるだけなんです」
「たくさん水を上げればいいじゃん」
「まあ 根腐れしない程度に…」
「いいよ 多めにやりな」
「 非科学的な…」
「きみ 忘れるじゃん」
「そうですけど 一気に過多に与えても意味ないんじゃ」
「愛は 多いほうがいい…」
うっすら笑っているイリヤの瞳はとても白い綺麗な黒。
ホソミを膝に抱えて抱きしめているイズヤ
ホソミは何かを伝えようとした
「先輩はきっと 誰とも暮らせないね」
「なんで?おれは他者をおもねるけど…」
「合わせるだけじゃダメんです…あなたは 染まれない…」
「君が俺に染まるわけにはいかないの?」
「はい あなたがそれを目指してる間は…つまり」
「ああ…ずっと 永遠に 無理ってことね……」
なにも終えてないまま 中断した愛を
写生したいイズヤは
かたがはだけた年下の男性が 珈琲を いれるさまを 見ていた
ホソミの細い髪の毛は少しのびていた。
きっと 美容室で きるんだろうな
「ねえ 先輩
写真を 撮っていいですか」
「は? いや いいけど…どうして」
「いえ 記念です」
「おいおい、まさか 引っ越しするとかじゃないよね」
「そんなことじゃないですよ。まあ しいて言えば好きなんです
先輩のことが」
にっこり笑うホソミ
イズヤはあきれた ふりをしていう シニカルを意識して…
「はは こわいなあ 槍の雨でも降らなきゃいいけど」
ことを終えた二人は なにも残さない
会った形跡も 彼らの脳の履歴には残る。
でも 行為はすべてタスクにおとしこまれて
互いを少しだけだけど 好きだと思っていたことは
きれいさっぱり ゼロになる
それは とってもすがすがしい絶望で
この世界を真っ白に染めることに成功していた
久遠のいずこ より…
「先輩 もし ぼくがほかのひとに 手を握られたらどうします」
「もう一回俺が 握りしめる…」
「上書き保存ですか…」
ワードしか残せないイズヤ
白いカップのコーヒーに 口をつけたホソミは
かげりのある表情を浮かべて言う
「もう二秒後にそこに行きます。そんで…」
「それで?」
「キスしますね」
満面の笑みで笑ったホソミはたぶんすこし不幸せだった。
見たら死ぬとうわさされる絵を死ぬ前に見たら きれいで泣いたひと




