果てしない散歩路
ふたたびあるきだすふたり
「なあ、空ってなんであんな色なの」
「しーらない…」ホソミはイズヤを見つめる
「おまえといるとすごい楽しい。なのに空が邪魔をするよ」
「ちがうんじゃないですか…あなたは だれも認めてない…」
雨が白い 白い雨が降っている
それを見上げているホソミ。
「へえ… 狐の嫁入りも、 真っ青ですね…」
「いや 目に見えるまま これは白い。」
ホソミはイズヤを見る。「ふふ…変な先輩…」
「どっちが…」 陰影の中間色をまとったイズヤの貌に笑みがうっすら 流れている。
「ねえ 手を つなごうか…」 ホソミは頬をしずかにあからめて
そもそもスクールの違う上級生の掌、その指を掴んでみる
「いたいって言っても 離しません…」 他者の指に静かな圧力を加える白い男。
「いや、いますぐ 離してよ。だっておまえの手ってすごく冷たい」
「……」 少し動揺するホソミは1mmほどの愛情を指先に含有させ、スポイトで落とすかのように相手の体へ浸透させようと こころみる。
こころのなかの白い炎の国籍だか 地元だかが わからなくなった その刹那
ホソミの、 たよりのない上級生の重い 色気も無い青い肢体が
彼をただ 真剣に抱きとめる
何の役にも立たない行為 若すぎる男性同士の無駄な接触。
イズヤはみずからの首を ホソミの 首にそっと交差させる
「永遠だよ。」
「…なにが…?」
↓
Δ
☩
☩
だれも しるよしなき 知人などゼロ
すがりなき そでのみあげる オレンジの夕景に
アイス屋が立ち並ぶラスベガス ネストされた田園風景。
手をつないでいるホソミと彼を知る日本人の遺伝子の たぶん自分
その肉体は やけに ほそくてたよりない くだらねえ 肉塊。
ネイビーブルーの風がアスファルトのトレインを暴力的に淫らに通過させるから
ヘッドフォンが 必要だった…
空を転じてほほ笑む彼
空蝉の自動車とおざかる道路はカントリーロードにしてはやけにウツセミ
あほらしいトートロジーを いいねと言ってくれた ミスタードリームに
永遠の慕情を捧げた…
☩
目覚めたイズヤはベッドの中のホソミをたしかめる
「ぼくたちが今こうやって たしかめあえるのは
これまでの 世界の苦しみの結果…
単なる残滓だ。おれたちに いっさいのセンスはない…」
自分もしょせんよわい体…
そっとホソミのからだの上に手を重ねたイズヤ
ぴくりと きっと眠っている螺旋の細胞が 愛らしきものに応えた……気がした………
もうとっくにとほほの徒歩生活




