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白い宵闇の路地  作者: まこた


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14/25

飾られないフレーム

90+90=360の両手

イズヤは寝ていた。ごろごろ

家は静まり返っている

家族の風景、それは 白い文字列

霞がかった温かいみそ汁のかおり

「ごちそうさまでした」

意味のない言葉を心を添えて放つイズヤ

登校するときに すれちがうバイクに目を奪われる

いつか自分も乗ってみたいな…


「おはよう」声をかけてきたのはイズヤの友達だった

すでに教室におさまったイズヤは 漫画を読んでいた

「なによんでるの」

「それは国家機密。いや うそうそ。スキマスキって漫画だよ」

「…ニッチ産業がテーマか?」

「いや  たぶん違うと思うが…」

イズヤは首をすこし傾ける。眠くないのだが…。ああ、そうそう

まるで頭からネジが落ちるかのようだ。


「おれ バイト始めたんだ」と言う友達

「まじか POSシステムに詳しくなって俺に情報漏洩してくれ」

「…いいけど 言い方が汚らしいな…」

軽口をたたきながら笑うイズヤと友達。


イズヤは空を鑑みる…

「ああ、大変だよな。じぶんで揚げ物あげて…たばこの番号覚えて…」

「慣れだと思う…先輩が奇跡的に優しいし…」

「…そりゃよかったわ…」

イズヤは微笑んだ

「じゃあ 販売士とか受けるのかい」

と聞くイズヤ

「それどころじゃないよ…」と笑う友達

「日々の動線っていうのかな…それを覚えて構築するだけで手いっぱいだ…座学のプライオリティは今は 低い」

「あ、そうか… でも受けなくていいから読んだらいいと思う。 またとな機会と言うか

実学と座学をフィードバックできる状況が奇跡的にいま 君にはあるんだからさ」

「なるほど それはそうか」

友達はうなずく。

まあ、人から言われてするとかそんなことはないと

イズヤもわかっている。自分も気づけば漫画を読んでいるのだから…。

「そういや イズヤは待ち受け なんにしてるの」

「……忘れた」

急にトーンダウンするイズヤ

「…まあ 見せてみろ」

友達はなんとなく面白いにおいをかんじとったのかイズヤにせまる

「いやです 拒否権発動です」

「中2か」

「さして かわらんわ。わしも若人じゃ」


ともだちはすこし困った顔をしてしかし包容力のある瞳で言う

「いやならいいけど 見せてくれないか」

自然な笑顔はひとあたりがいいだけでなく 少しの疲労を感じさせる。

「…ああ」 苦笑しながら

スマホを渡すイズヤ。

なにも言わない友達

イズヤを見る

「お前は 面白いね」

ふやけた笑顔でイズヤの友達は その友達であるイズヤと言う名前の持ち主を

優しく見つめた。


文芸部の部室で 武術っぽい動きをしているイリヤ。

青く光るメガネフレーム。

「なにしとるんですか」

「体を動かして鍛錬している!」

イズヤはじろじろとイリヤを見る。

「…何拳ですか」

「知らん。 しらん拳シュタイン」

「ドイツっぽいな」

「そうでもないさ…」

二人の軽妙洒脱は単純にだめだめだった。コールドゲームである。

「バイオミミクリより前に形意拳があることに敬意を表して

暫定的あるいは便宜上 わたしの拳は形意拳としようかな」

「下手に言葉を知ってるぶん 専門家に怒られそうですね…」

「うむ その配慮はなんとなくあたしにも

わかる…」

うなずくイリヤ。


「ぼくは最近 プールでぷかぷか浮かんでますよ」

「アロハシャツ着てか」

「いや たまに着ますけど」

「着たまま入水するのか」

「いや しないけど」

「どざえもんだな」

「それ 一文字違ったら夢あるじゃないですか…」

イズヤは なんとか イリヤを常識人に翻訳したい…


イリヤは指がとおらないメガネをいじりながら

へらへらと笑い出す…

「ヨガでもするのかい」

「ああ、ヨガ教室とかはどっかであるでしょうね」

「せっかくプールにいるならヨガをすればいい。きっと

ヨガも形意拳だ!!」

「… なんとなくわかるが 違う気がする…」

イズヤは述べた。

イリヤはイズヤの眼を見た

「じゅごんのうごきをまねてみたまえ 水中で」

「おお…すごい発想だ…そして嫌だ。」


イリヤがショックを受けた顔になる

「 なぜだ… 先輩の助言をむげにするなよ…」

「なんで 心外だ みたいな顔してるんですか」

「そうだもん 実際」


 「いいですよ ぼくは どざえもんごっこで」

「それ 不謹慎だぞ☆」 めっという感じにウィンクするイリヤ。

「じゃ 先輩はDOLL AS WEAPON っすね」

「なんだ その ポケットの次元がLV4なテイストの響き…」


今日も不吉な 布教和音…

空っぽを布教している無意味なループ…


「いいでしょう 式は僕が書きましょう」

「なんのこっちゃ そして どんな式を書くの」

「いつまでも いつまでも そばにいる」って式です

「くどいてんじゃねえよ そしてぱくりか」

「…式をあげれないから 欠くんです」


「いいよ 式は要らない…」

イリヤは混とんとした目でイズヤの手を取る

「ここにいてくれる気がする 永遠に」

イリヤは唯 胸の中の魔法陣に イズヤの掌の温度を移行していた。

挿絵(By みてみん)


左辺と右辺の飛躍する 幸せな庵

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