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8月30日
龍宮院道場に行った日の翌日から工事は始まり今日に完成した。とても短期間で出来たのかと思うほど素敵で耐震性なども最高品質だと分かる工房兼訓練所が出来上がっていた。
そう、訓練所まで作ってくれたのだこの短期間で。魔法や技法を使っても普通なら此処まで短期間で出来る事はないのだが龍宮院家御用達の建築会社というか俺が合間合間に振る舞った昼食などが発破を掛けたのか格段にスピードと正確さが向上してあれやあれやという間に出来上がった。
8月31日
明後日には俺の学校が始まるのだが、今日の夕方にはようやく刻星が帰ってくる事になっている。
だからなのか自分でも分かるほど嬉しくって待ち遠しかったりもする。
ガチャリ
玄関の扉が開いた音がした。
「ただいま、海」リビングに入ってきた刻星にソファーに座っている俺に声を掛けられてきた。
振り返りながら「おかえり、刻星」いつもと変わらぬ様に振る舞っているけれど、なんだか振る舞えていない様な気がしてしまった。
刻星は口元を隠して笑っている様だったが口に出したのはからかいの言葉ではなかった。
「やっと帰ってこれたよ。海が居ない日々は苦しかった〜」
後ろから抱きつきながら耳元で囁く声は甘くとても泣き出してしまいそうな声でもあった。
「は、恥ずかしいから離れろ!」
刻星の顔を直視できずにいる俺と首筋に鼻を埋めて匂いを嗅ぎだす刻星。
何時もなら小突いたり反論したりするのだが今回はなんでかこのままで居たいと思っていると「離れたくないよ、海も離れないし」と言われてしまい顔が熱くなってきた。
「言ってろ⋯」自分で言っていてなんだか無理があった。
後頭部に柔らかな果実を当てられ挟まれ、身動きが取れずガチガチになる俺。
「海ってこおいうのに免疫がないからすぐに照れたり恥ずかしくなるのが可愛いな〜」俺の頭を撫でてくるその手は何処か悪戯をできて嬉しそうだった。
「そ、それよりも夕飯を食べようか」無理やり話しを変えた俺にクスクス笑いながら名残惜しそうに離れ俺の隣に座った。
「何を作ってくれるんだい?」その微笑みに見惚れていると目を細められてようやく「な!何が良いんだよ!」誤魔化すように質問に質問で返した。
「海、照れすぎだよ。そうだな〜油淋鶏が食べたいかな?」
食べたい物を口にした刻星の隣から立ち上がり「少し待ってろ。うまい油淋鶏食わしてやる」キッチンに向かいながら言い残した。
一人ソファーに残された刻星は「海。君と暮らせて、君から名をもらって僕は幸せものだよ」口の中で転がし確かめるよに呟いた。
海には聞こえていなかった。
そしてこの時刻星の狂気じみた感情が確かな【独占欲】へと形作られた。




