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㊷

俺と晴龍(セイリュウ)の事を話し終わり少しぬるくなり始めたアイスコーヒーを口にした。ぬるいアイスコーヒーに眉をしかめていると刻星(コクセイ)が何か言いたげに口を開きかけていた。


言い出すきっかけに声を掛けるのは何か違うような気がして俺はぬるいアイスコーヒーをもう一度口に含んだ。


「…海(カイ)は、彼の事をよく知っていいるんだね」

その声の中に何処か寂しさとも嫉妬とも言えるのだろうか、そんな言い表せない感情が見え隠れしていた。


「全部とまではいかないさ。俺と彼奴の間でも隠し事はあるし知らない事もあるしな」ここで言葉を切ってお腹が空いたと、刻星(コクセイ)の手料理が食いたいと言うつもりでいた。なのに俺の口からは親友(晴龍)に関しての事が出ていた。



「彼奴は【龍帝(リュウテイ)】という二つ名に恥じない力と精神力、そして何より非道さも持ち合わせている。それが俺の親友だ」そこで刻星(コクセイ)の眼を見て。

「そしてなにより計算高くて非道でイケメンで周りの者達には気付かせない、本っ当にいけ好かない奴だ!

彼奴自身そんな事を望んでないのにそれをしないといけない器用で不器用な俺の親友なんだよ!」


俺の無茶苦茶な言葉(思い)に刻星(コクセイ)は肩を震わした。

段々大きくなりついにはお腹を抱え吹き出し、笑い出し。


「フフフフフフフ、アハハハハハハハ!!」

俺は急に恥ずかしくなりだした。


「わ、笑うことはないだろ!」

抗議してみても刻星(コクセイ)の笑い声は止むことはなかった。


ようやく笑い声が収まった時に刻星(コクセイ)の目元にはキラリ光るものがあった。


「ごねんよ、でも海(カイ)はやっぱり僕が好きで好きで堪らない人だと改めて自覚しただけさ」

それを聞いた俺は「何だそれは」と言っていたが恐らく顔には満更でもないと書いてあるのかもしれないと心の中で呟いた。





海(カイ)と刻星(コクセイ)が仲直りをする数時間前。

空が暗く分厚い雨雲に覆い隠され始めたころ、本倉(モトクラ)家から出て自身の自宅であり今回の夏季特別校外学習先である龍宮院(リュウグウイン)道場に晴龍(セイリュウ)は帰るところだった。


雨雲で覆われた中、晴龍(セイリュウ)の顔には少しの反省も後悔も罪悪感すら現れてはいなかった。


それもそのはず自身は何も悪くないと思っているからである。

海(カイ)はその事について分かっていたからこそいちいち責めたり・怒ったりしなかったという事情もある。


自分が言ったことで喧嘩の火種を作ったのは分かっているし世間ではそれは悪いことだと分かっているからこそあそこでは形(・)式(・)の(・)謝(・)罪(・)と(・)後(・)日(・)の(・)対(・)応(・)だった。


周りの者達はそんな晴龍(セイリュウ)の本性を知らないが海(カイ)は昔からの付き合いなどで晴龍(セイリュウ)の腹黒く性根が腐っていることは知っている。


ポツポツ   ゴロゴロ〜  雨音と雷が耳に入ってきた為、異空間にしまっていた傘を取り出し傘を広げた。広げてかかげたまさにその時、大粒の雨粒と横薙ぎの風が吹き荒れ大嵐になった。


その中平然と傘をさし大嵐などないかのごとく歩く晴龍(セイリュウ)。

彼の口から零れた「封印されてなおあれほどの力を得るのか〜。流石だよ親友(海君)」は大嵐に呑まれていった。


彼はその後も軽い足取りで帰るのだった。

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