㊴
「落ちついたか、刻星」
問いかけた先には目元と鼻頭が少し赤くなり縮こまっている少女が下を向いてっ座っていた。
「う、うん。大丈夫⋯でも恥ずかしいところを海には見せちゃったな」そお言う彼女の目元にはまだ涙の跡が残っている。もお涙は流していないのにその姿は泣いているようにしか見えなかった。
刻星がひとしきり泣いた後、俺達はつい先程リビングに降りてきていた。二人してソファーに座り、手には俺が淹れたアイスコーヒーが入ったカップが握られている。なかなか飲もうとはしていないが⋯
刻星が恥ずかしいという所を作り出してしまったのは俺なので何とも言えずに、ただ片手で頭を撫でてやることしか出来なかった。
それが良かったのか刻星からも頭を手に寄せてきて、嬉しそうにしていた。
半時程2人でじゃれていると気になっていたのか躊躇いがちに刻星が「⋯海は彼と何時・何処で出会ったの?」と聞いてきた。
「俺と晴龍の出会いか⋯なんでそんな事を聞きたいんだ?
話すのは良いんだけど⋯!まさか、今日の仕返しに彼奴を辱めるのか!それならいくらでも話すし応援するぞ!」
俺の言葉に刻星は唖然となったが気を取り直し「仕返しなんてしないさ!ちょっとはしてやりたいけども⋯」と最後の方は聞き取れなかったが否定した。
「ただ、知りたいだけなんだ。海と彼の出会いとどんな風に過ごしたのか。それと⋯家族についても」
刻星の最後の言葉で俺は知りたがっていたんだと、俺の家族の事を⋯違うな誤魔化しだな刻星はとっくの前から知りたがっていたのを俺は知っていながら俺が拒絶していたんだとこの時になってようやく理解した。
「そ、うだな家族のことは日を改めて話すことにするよ。話すことは多いからな」俺の家族の事を聞けると分かり、また目元に雫が溜まりだした。雫は流れ落ち頬に涙の跡が残ったが口元は昔と、ゴブリンの時と変わらぬ笑みだった。
俺は変わらぬ笑みに癒されつつ口を動かす。
「彼奴と初めて会ったのは小学1年の時だったか、まだ家族が生きていて旅館 旅ノ倉 が営業していた頃だな。俺が彼奴を始めて見かけた時(なんでコイツは嘘しか言っていないんだ)だったな」
語りだした。外は先程よりもひどい嵐の中で狂っていない子供と大人の様な子供の出会いとバカらしい子供同士の約束を⋯




