㉖
自分の心の変化に困惑し驚いているといつの間にか、課題の提出期限の夕刻になっていた。
着ている衣類が汚れている者・汚れの他に擦り傷を負っている者・課題に間に合わなかった者と様々だった。
だが皆一様に何かの命を奪うことに対しての忌避感の表れか精神的にまいっているようだった。
「皆、城外演習お疲れ様。
低ランクの魔物であろうとも怖い目をした班・命を奪うことに忌避感を覚えた班それぞれだと思う。
今回の経験を元にこれからの進路について周りと話し・聞き・時には一人で考えてくれ。私たち教師陣も相談に乗る。
では皆これで演習は終わりだが現在地が城外な為、城内までは送る事になっている。
ただし一人で帰ると申請している者は担任の先生に一声かけて帰るように以上!お疲れ様!!」
「疲れたよー」 「早く風呂に入りてー」 「お腹すいたー」とあっちこっちから聞こえる声を縫うようにして生徒の列から離れ風木先生の元に向かった。
「風木先生、今お時間よろしいですか?」
風木は別のところを見ていたのか俺が近づいてきていたのがわからなかったようで少し驚かれた。
「! 本倉か悪い。でどうした」
風木先生に単独で帰る事に関して伝えに来たと言った。
風木先生は昼時の様な何か察知したのか俺の顔を覗き込み・・・
「帰宅の件はわかった。
だがな本倉こんな事当たり前なんだか・・・・
お前なんでそんなに怖がっているんだ?」
「怖がっている?俺が?」
今の俺が抱えている困惑が困惑ではなく恐怖であると風木先生に言われ、そうだったのかと気づいてしまった。
今にも風木先生の前から立ち去りたい気持ちに駆られた。何故そお思ったのか俺にもわからなかったが今は一刻も先生の前から立ち去ろうと思った時、総数100人以上の生徒と教師の人垣が騒がしくなってきた。
一番騒がしい人垣の端から聞こえる声は魔物が現れたにしては女子生徒と女子教員たちから興奮しているような声だった。
隅にいる生徒・教員に興奮が伝播するのは早かった。
一番端にいた先生と俺は何事かを分からないまま人垣が少しづつ割れて皆の興奮の原因が現れた。
「お疲れ様海。向かいに来たよ帰ろう僕たちの家に」
そこに居たのは左右の腰に剣を帯剣していること以外いつもと変わらぬ刻星が立っていた。




